プロローグ
拙い文章ですがよろしくお願いします。
ある程度書けたらその都度投稿していきます。
※先行販売に当選したという部分を第一期販売分に当選という形に修正しまし
た。
※VR事故について本作なりの具体例を加筆。
幻想世界Onlineそれは日本初の純国産VRMMOゲームである。初めてVR技術が世に出て約30年、世界では2番目となる家庭用のVRMMOタイトルだ。
ここでいうVRMMOというのは仮想現実大規模多人数オンラインゲームの事である。最新型はフルフェイスヘルメットのようなタイプで脳に接続し、意識や感覚といった物が現実と同じように仮想空間で再現される。その仮想空間の中でインターネットを介して同時に世界中の数多くの人と交流する事が出来るのだ。
世界で初めて家庭用にVRゲーム機が発売されたのが約10年前である。当時は高価であり、気軽に遊べるものではなかった上に世界初のVRMMOもまだまだ技術力が追いつかず、満足出来るようなものではなかった。当時は家庭があったこともあり、購入する事はなかったのだが今は事情が違う。
私の名前は西森望、51歳のバツ1である。若い頃からオンラインゲームが趣味で特にファンタジー系にどっぷりと嵌っていた、某FF様には大変お世話になったものである。昔から平日は一生懸命に仕事をし、休日は1日中ゲームをプレイする、結婚してからもそのスタイルは変わらず、去年娘の成人を機に妻から離婚を切り出されてしまった。
そんな時、日本初の純国産VRMMOの発売のニュースが発表されたのだ。私は昔からの夢でもあったVRMMOという事もあり、発売日に合わせて会社を早期退職した。残念ながらベータテストには当選出来なかったが、無事に幻想世界Onlineの第一期販売分には当選する事が出来た。
「さて、なんとか第一期販売分に当選出来たか。会社まで辞めて当選してなかったと思うとゾッとするな、我ながら思い切った事をしたもんだ。」
私はパソコンの前で当選メールを見ながら苦笑していた。初めての国産VRMMOという事で第一期の販売分は当選率が1/100程だったのだ、狭き門だったので本当に運が良かった。幻想世界Onlineは全員が同じ世界でプレイする事になるので落ち着くまでは販売数を限定して順次解放するらしい、第一期に当選しなければいつプレイ出来るか分からなかっただろう。
「さて、掲示板もかなり盛り上がっているが私のプレイスタイルはすでに決まっているんだよな。」
幻想世界Onlineの世界観はファンタジーであり、剣と魔法の世界だ。機械等も簡単な物なら存在し、これからプレイヤーの行動によって進歩していくらしい。RPGのように魔王を倒すのが最終目的という訳ではなく、プレイヤーの行動次第で何でも出来る自由な世界で自由に冒険する事がコンセプトらしい。
ただ、ある程度のスタート地点だけは決まっている。私達プレイヤーは始まりの街に訪れた新米冒険者という設定でゲームが始まる。最初だけはファイター、レンジャー、キャスターの3つの初期クラスからのスタートになるが、その後はスキルを選んで自由に行動する事が出来る。
「私もいい歳だし、若い子達と一緒に遊ぶのは限界があるだろうから昔から好きな狩人スタイルでソロ活動だろうなぁ。」
私も若い頃は徹夜して必死にレアなモンスターを狩って遊んでいたが、さすがにこの年になって最近の若者と話しが合うかも分からない。それに大体のゲームでは遠距離職を選択したり、ソロで生産等をする事が多い。それであればまずは今までのスタイルでプレイしてみようという考えである。
「最初に選ぶスキルは<弓術>、<木工>、<錬金術>、<料理>は確定だろうなぁ、グラフィックもかなり綺麗みたいだし、ソロで冒険しながら色んな景色を探して旅するのもいいかもしれないな。」
デモムービーを見た限り、雄大な光景が広がっているようだし、掲示板にも景色や食べ物についての書き込みもかなり多い。幻想世界Onlineでは五感の設定が出来る、VR事故を防ぐ為に痛覚に関してはかなり厳しく設定されている。VR技術が世に出たばかりの頃は五感の設定がしっかりと規制されておらず、脳が想定外の負荷によって深刻なダメージを負ったり、痛覚が本当に怪我をしたと感じて身体に傷付いたりする事故が多発していた。その為、現在ではしっかりとした五感の設定が義務付けられている。その中の一つに味覚もあり、リアルと同じように感じる事が出来る。但し、依存性等は再現されず、生命の危機に瀕するような場合にはストッパーが掛かるようになっている。
「種族が悩むんだよなぁ・・・。」
現在の所、最初に選べる種族は<人族>、<エルフ族>、<ドワーフ族>、<獣人族>の4つである。見た目はそれぞれの種族の範囲の中で自由にクリエイト出来る。獣人族であればベースになる種族等も複数用意されているようだ。それぞれの種族には特性があり、初期ステータスに若干の差がある。しかし、Lvが上がっていけば自由にステータスやスキルにポイントを振れるので基本的には自分の好きな種族でスタートして問題はないようだ。
「この辺は実際にキャラクリエイトする時に考える事にしよう。あぁ、早くプレイしたいな。」
正式サービス開始まであと3日、もうすぐ私の幻想世界Onlineでの物語が始まる。
お読み頂き、ありがとうございます。