再会のような出会い3
「着替えここに置いときますね」
返事はなったが僕は脱衣場に着替えのジャージを置いて
キッチンに戻り、体が温まる特性シチューを作っていた。
ある程度出来たのでタバコを吸うことにし、手を止め
タバコに火をつけた。
家に帰るなりすぐにお風呂に入ってもらったから
ちゃんと顔は見えなかった。
雷が鳴って辺りが光った一瞬でしか顔は見えなかったけど
亜美に似てた。
僕の見間違いかもしれないが。
タバコの火を消し、僕は料理の続きをしはじめた。
数分後
リビングにジャージを着て女の人が来た。
こっちを見て何か言いたそうな顔をしている。
やっぱり亜美に似ているな
「適当にその辺に座っといて
もうすぐ出来るから」
「...」
返事はなかったが、座る音が聞こえたので
僕は気にせず料理の仕上げをした。
少し温かいお茶と特性シチューと食べやすいパンを
四角いトレーに載せ、リビングを見ると女の人は
アパートにしてはまぁまぁ広いであろうリビングの
隅っこの方で体操座りをして小さくなっていた。
僕はトレーをリビングのテーブルの上に置いて
「出来たよ」
と言った。
女の人は返事はせず、僕を見て首をたてに振り
テーブルに近寄って手を合わせ
「い・た・だ・き・ま・す」
と口ぱくで言ってから食べ始めた。
女の人は目を輝かせながら食べていた
まるで今まで食べたどの料理よりもおいしいかのように
僕はキッチンからタバコを吸いながらその表情を見て
やっぱりこの人亜美に似ている
けど亜美ではない
それはわかっている。
亜美よりは髪が長く
亜美みたいに自信満々の感じはしない。
女の人が不思議そうに僕を見ている
「どうしたんですか?」
僕は思わず話しかける
女の人は食べ終わって僕の方へ寄ってくる。
僕はタバコの火を消した。
女の人は僕の左手を握ってきた。
「僕の手に何か付いてます?」
僕は聞いてみた
すると女の人は僕の左の掌に
「ご・ち・そ・う・さ・ま・で・し・た」
と一文字ずつ書いた。
「いえいえ」
僕は愛想笑いで答えた
やっぱりそうだこの女の人は
喋らないんじゃなく喋れないんだ。
「お・い・し・か・っ・た・で・す」
「そう言っていただけてよかったです
ちょっとリビングで座って待っていてください」
「わ・か・り・ま・し・た」
女の人はリビングの方へ行った
「出来ればでいいので隅っこじゃない所に座っていてくださいね」
僕は女の人にそう言い、使ってないノートを探した。
5分ぐらい探してようやく見つけた。
さっき見つけたノートと、僕が会社で使っているボールペンを
座って待っていた女の人に渡し
「口ぱくでも僕の左の掌に書いても
今渡したノートに書いてでもいいから
少し話がしたいんだけどいいかな?」
女の人はノートに
「はい」
と書いて僕に見せてきた。
その字体はどこかで見た事のある
見覚えのある字体で
亜美と同じ字体だった。
やっぱりこの人は亜美に似ている。
読んで頂きありがとうございますm(__)m