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現と夢幻の狭間で  作者: 丘多主記
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珍しい日の午後

 午後一時。部活に所属していない――正しくはさせてもらえなかったであるが――太樹は、学校が終わるなり、とてつもない驚きと嬉しさを感じながら、そそくさと帰宅していた。地元の公立校ということもあり小、中と同じ学校だった同級生も多く、始業式だろうが卒業式だろうが、一日も欠かすことなく嫌がらせや暴力を受けていた。



それが今日は、誰一人としていきなり頬にビンタを張ったり、トイレから出ようとしたときに数人がかりで囲んでリンチしたり、立ったときに椅子を引いたり、靴箱に呪いの手紙や画鋲を置いたりといったことをして来なかったのだ。もっとも、太樹に誰も話しかけてこないということだけは変わらなかったが。



「ま、どうでもいいか。いじめられてることに変わりはねえし。さてさて、今日の食事分の買い出しをしないとね」



そんな事を言いながらも、何もされなかったことが嬉しかったのか、店主との会話がどうも苦手――そもそも太樹は人と話すのが苦手である――話しかけられたくないのと、その上家から一時間近くかかるため、普段は絶対にいかない商店街の方に足を向けていた。



「スパート違って、いいもの売ってるなー」



昼間とはいえ、今時の商店街にしては珍しく人混みが出来ている。そこには当然学生服を着た同級生 ―太樹をいじめている奴ら―もいる。こんなところで色々されても困るので、太樹は目立たないように隅っこの方をそっと歩いていた。



「へい兄ちゃん! 北海道産トマトはどうだい?!」



「今日はコロッケが安いわよー? 学生さんだからサービスしてあげるわよ?」



「へい! 今日の夕飯にアジはどうや?! ヒラマサもあるぞ!」



店を通りかかる度に太樹はその店の店主から声を掛けられる。一瞬立ち止まり話かけようと試みるがどうしていいかわからず、結局全部無視をしてまっすぐ商店街の端へと歩いていった。



「こういうとこはやっぱりあわないみた……?!!!」



そう言おうとした時、何者かに太樹は、建物と建物の間に引きずりこまれていった。


こんな経験、みなさんあります? 私はないです

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