表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 雨世界
2/4

第2話

 しかしそこから顔を出したのは、樹が心配していた熊とか鹿とか、あるいは猿とか、そう言った森の動物たちではなくて、一人の普通の人間の女の子だった。

 それも、とても美しい少女。

 年は、たぶん、十七歳くらい。(おそらく地元の高校生だろう)

 その少女は長い黒髪を後ろで縛ってポニーテールの髪型をしていて、上は水色と白のパーカー。下はデニムのハーフパンツに黒のストッキングをはいて、足元は真っ白なスニーカーという格好だった。

 その茂みの中から出てきた、少女は山の中で出会った樹のことをじっと少し遠くから見つめていた。

 樹も、(こんな場所で人に出会うとは思っていなかったので)どうしていいものかわからずに、まるで本当になにかの森の動物と顔を合わせてしまったときのように、じっとその少女の顔を見つめ返していた。

 少女は、とても澄んだ不思議な瞳をしていた。(その大きな黒目の中には、樹が映っているはずだ)

 まるでその少女の瞳には、樹のすべてが映り込んでいるかのように思えた。

 樹がじっとしていると少女はぱんぱんと服についていた草や葉っぱを軽く払ってから、ゆっくりと川辺の石ころだらけの道を歩いて、樹の座っている場所までやってきた。

「……こんにちは」

 感情のない声でその子は言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ