表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改訂版】夢のつづきを見にいこう  作者: 羽藏ナキ
第三章:恋する少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/59

最高の目覚め

 今日の朝は最高の目覚めだった。

 夢にあのスガッチが出てきてくれて、しかもその夢の内容がすごかった。わたしの部屋で二人きり、まるで長く付き合っている恋人みたいにゆったりと過ごしたのだ。わたしの手をそっと握って、「千沙、好きだよ」って言ってくれた。

 あまりの衝撃に目が覚めたときは飛び起きて部屋中を見渡した。すぐに夢だと分かって少しがっかりしたけど、印象の残る夢だったからか起きてからもずっと内容を覚えていて、今日一日あの甘い時間を思い出すたびに顔がにやけそうになるのを堪えていた。おかげでいつもは嫌な学校も今日はそれほど苦ではなかった。多少モヤっとすることは、夢の中のスガッチと一緒に乗り越えることができた。

 退屈な授業が終わって放課後になったいまも油断すると上がってくる口角と戦いながら、わたしは下駄箱で靴を履き替えていた。


 わたしが通う中学校は家から歩いて二十分くらいの距離にある。人によって感じ方は違うかもしれないけど、わたしは結構遠いなと思っている。正直毎日歩いて通うのは面倒だから自転車で通いたいけど、ウチの中学は自転車通学が禁止されている。入学してから一年が経ってこの面倒臭さにも多少は慣れてきたけど、まだあと一年同じように通わないといけないと思うと、少し憂鬱な気分にはなってしまう。

 歩きながら、学校に居たときのように夢を思い出して気分を上げようとしたそのとき、ヒュウっと乾いた風が吹いて、その冷たさに思わず身体を縮こませた。


「うぅ、寒」


 十一月に入ってからというもの、めっきりと寒くなった。十月はまだ少し暑いかなと感じる日もあったくらいだったのに、いつのまにか周りの街路樹は紅葉に色づき、制服は冬服じゃないと耐えられないくらいになっている。

 秋の到来を感じたばかりだけど、このぶんだとすぐに冬の厳しい寒さに見舞われることになるんだろうな。夏のときはあんなに早く涼しくなってほしいと思っていたのに、いざ寒くなるとあの蒸し暑い日々が恋しくなってしまう。

 さすがにあの夢でも冬の寒さには耐えられない。しかも悲しいことに時間経ったせいで一部の内容が曖昧にもなってきていた。

 わたしはため息をつき、寒さに耐えるように背中を丸めながら早足で歩を進めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ