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【改訂版】夢のつづきを見にいこう  作者: 羽藏ナキ
第一章:ギタリスト

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タラレバ

 翌日、僕は簡単に昼食をとってから家を出た。

 昨日はいつのまにか寝落ちしていて、起きた時には朝の八時を回っていた。たくさん寝たからなのか、がむしゃらにギターを弾いたからなのか、昨日は最悪の気分だったのに、いまは身体が軽い気がする。

 その一方で、胸の内にはすっきりしない違和感があった。


 昨日の昼から降り出した雨はすでに止んでいるものの、空には薄い雲が張って一面が灰色に染まっていた。風が吹くと、湿気を含んだ空気が肌にまとわりついてきて、少しだけ居心地の悪さを感じる。過ごしやすいわけではない。だけど、大きな不快感はない、そんな天気。雨ではないけど晴れでもない。今日の空模様はまるで自分の心をそのまま映しているようだった。


 外に出てからは特に目的もなくぶらぶらと歩いた。特に行きたい場所があったわけではない。家でじっとしているのが落ち着くかなくて、なんとなく外の空気でも吸おうかと思い立っただけだった。

 どうせならいつもとは違う景色を見ようと思い、いつもは折り返して南に向かうところをさらに北上してみることにした。商店街よりもさらに北へ進むと駅とは反対方向ということもあって、周りは古いアパートや民家が目立つようになってくる。


 しばらく道沿いに歩いていると、学校が見えてきて足を止めた。正門を見るとどうやら中学校のようだ。校舎の隣にあるグラウンドからはかけ声が聞こえてきて、今度はそちらに目をやる。ユニフォームからしておそらくサッカー部と思われる面々が列をなしてグラウンドの外周を走っている。だらけた様子のない統率の取れた集団で、その様子からは真剣さがうかがえる。


 例えば。

 例えば、彼らの中に将来プロのサッカー選手になりたいと思っている人はいるんだろうか。


 ふと、そんなことを思った。

 ひとまわりも年下の彼らを見ると、自分よりもずっと広い可能性に溢れていると感じる。世間から見れば、僕もまだじゅうぶん若いと言われる年齢かもしれない。まだまだいくらでも可能性が広がっていると言われるかもしれない。だけど、学校という枠を超えて社会に出てから、自分の至らなさを嫌と言うほど感じさせられた。あのバンド活動しかり、いまの会社員生活しかり。もはや、自分の可能性なんて残っていない気がしてしまう。


 もっと早くに始めていたら。

 あの時、もっと踏ん張れていれば。

 なにか、変わっただろうか。


 そんなタラレバが頭をもたげる。

 僕は強く頭を振って、早足で帰路についた。


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