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第参拾仇話 お土産

「うん!このマグロ凄く美味しいな!来て良かった!」


「そうでしょ!?海鮮と言えば北部なんて言われますけど、紀伊も負けちゃいませんよ。このシラスも是非召し上がってください」


翌日、黒潮に案内されやってきたのは魚市場だった。

昨夜の事から咲羅はあの忌々しい巨大な魚人を見てしまった影響もあり、本能的に口に入れる事に拒否反応が起こり魚介類に手をつける事は控えるようだ。


昨夜、動転していた朱鷺田は日を跨いだ事で綺麗サッパリ忘れてしまったのだろう。

上機嫌にマグロを食しているようだった。


何も手付かずな咲羅に対し、光莉が話しかけている。


「あれっ?咲羅食べないの?朝だから逆にお腹空かないのか。でもさ、甘い物は別腹でしょう?黒潮、確か紀伊ってミカンが有名だったよね?」


「はい!私の名前も蜜柑ちゃんですから、美味しい柑橘類も沢山ありますよ。他にも梅干しが美味しいんです」


その言葉に朱鷺田は食いついたようだ。

梅干しは旭の好物でもある為、お土産にはうってつけだと思ったようだ。


「梅干しも有名なのか。それは是非旭に食べてもらいたいな。今日は家族にお土産を買いたいなと思ってたし、良い地酒があったら教えてくれ。谷川も喜ぶだろうし」


「そうだ、俺と朱鷺田は折角参区に来たんだし。折角なら中心街の小坂を案内してくれよ。黒潮は勿論、光莉や咲羅もいるし。地元の人しか知らない穴場とかあるだろ?そう言う所が知りたいんだよ」


那須野の提案に光莉は嬉しそうに頷いているようだ。


「じゃあ、角筈ダンジョンに出入りしてる朱鷺田の坊ちゃんもいるし。5人で埋田(うめだ)ダンジョン攻略でもしに行きますか!大丈夫だって、絶対迷うから」


「光莉、それと銀行の近くにあるバラ園はどうだ?美術館も近くにあっただろう?」


「あぁ!そこの銀行も協会と同じ方が設計されたんですよね。では、皆さんのリクエストにお応えして。帰りは小坂で観光と行きましょうか」


その帰り、帰宅した朱鷺田は玄関で旭に出迎えられた。


「トッキー、おかえり。昨日の夜大丈夫だったか?...って、嬉しそうな顔してるから余計な心配だったか」


「うん!そうだ、旭にお土産。梅干し、好きだろう?紀伊の名産品らしくてな。食べ比べが出来るように色々買って来たんだ」


そう言いながらお土産袋を旭に渡しているようだ。

旭は驚きながらも嬉しそうに品名を確認しているようだ。


「ありがとう、トッキー。ゆっくり味わうとするか」


「そうしてくれ。旭は本当に幼い頃から梅干しが好きだな。おにぎりにしたり、梅酒にしたり。その魅力ってなんだ?」


その言葉に首を傾げながらも旭は考え事をしているようだが曖昧過ぎて中々自分の意見が纏まらないようだ。


「魅力って言われてもな。俺の習慣というか、ありふれた物だし。あると元気になるって感じか?まぁ、でも。これだけは俺も分かるよ。好きな物には一途だって」


旭は照れ隠しをしながら、逃げるように玄関から立ち去り居間の方へと戻って行く。

しかし、顔を真っ赤にし真意を知った朱鷺田は彼を追いかけ後ろから彼を捕まえようとする。


「旭!その好きな物って勿論、俺も入ってるよな!?俺も旭の事、大好きだぞ!愛してる!」


「...あぁ。まぁ、ありがとうトッキー。気持ちは受け取っておく。ほら、風呂入ってこい。それか、一緒に銭湯にでも行くか?」


「うん!行く!直ぐに準備してくるから待っててくれ。ほら、谷川!!紀伊の地酒買って来たぞ!受け取れ!」


「はっ!?ナイスみどり君!丁度良いおつまみがあったんだよね。谷川さんは晩酌してるからさ、2人でお風呂行ってらっしゃい」


「鞠理、俺にも少し分けてくれよ。じゃあ、留守番頼んだ。...本当に良いな。家族って」


その彼の言葉に朱鷺田は嬉しそうに微笑んでいた。

《解説》

・皆が最初に訪れた場所はくろしおの停車駅、南海駅の近くにある黒潮市場ですね。

周囲には遊園地のポルトヨーロッパもあり西洋風の街並みを楽しみ事が出来ます。

作者が行った時、丁度マラソン大会があって会場近くから和歌山駅まで送迎バスがあったのでタダ乗りで帰って来ました。

運賃が浮いたのでありがたかったです。


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