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悪役令嬢、かつ丼ではなく

「それでは、また」


「ああ。今度はお茶会にも顔出してくれよ」


「時間があれば」


聖女もいなくなったので、今日はもう終わり。

待ち時間が長く、なんのために来たのかよく分からなかったが、そんなことを考えてはいけない。


帰り際、ロメルからお茶会に来るよう言われたので、絶対に行かないだろう「時間があれば」という返しをしておく。

ロメルも苦笑いしていたが、それ以上何か言ってくることはなかった。


「エリー。明日も休みだけど、どこか行くかい?」


「ああ。僕もお姉ちゃんとどこか行きたいな」


帰りの馬車の中。

バリアルたちが遊びに行かないかと提案してきた。


何処に行くのかは分からないが、行っても良いだろうと思う。

なぜなら、


「では、久々にメアリーに付いてきて貰いましょうか」


「「っ!」」


2人の目の色が変わる。


こうして次の日に遊びに行くことが決まった。

バリアルとアシルドは、メアリーが来るということでソワソワして、早く寝ている。


明日のために、エリーも早く寝る。

なんてことはあり得ない。


「あぁ。クラウン様」


クラウンの拠点に行くと、老婆のファーストがいた。

老婆と行っても、相変わらず見た目は若いままだが。


「今は、尋問中だよ」


「尋問中?」


「ほら、昨日学園を襲撃してきた奴らの」


苦霞と血湯の尋問中らしい。

 ーー少し見学しましょう。


エリーは興味があったので、尋問室に聞き耳を立てた。

 ーーあれかしら?カツ丼食うか?とか、やるのかしら?


「………ハンバーグ食うか?」


 ーーそっちかぁ!

エリーは予想外の発言にやられたという顔をした。


………何をやっているのだろうか。


「ハンバーグ?まあ、くれるって言うなら貰うが」


「よし。なら、この魔物肉のハンバーグを食わせてやろう」


「……やっぱりいらねぇわ」


「そうか?なら、俺が貰うとしよう」


阿呆な会話が行われていた。

ハンバーグを食べないと捕虜が言ったので、尋問しているクラウンのモノが自分でハンバーグを食べようとしているのだ。


「モグモグ。……なら、本題に移ろう。パクパク」


「ああ。どうせ、情報を話せとか言うんだろ?」


「そうだな。モグモグ。今回学園を襲った目的を教えて貰おうか」


「誰が話すか!組織を売るわけねぇだろ!!」


反抗的な態度の捕虜。

お腹がすいている前で食事をされたら、それはもう反抗的にもなるだろう。


因みに、その尋問官は、セカンドだったりする。

その後ろの方では、妹であるワンハンドレッズが冷たい目をしていた。


「なら、喋ることが組織の利益になるとしたら?」


「利益になると?」


「そう。知っていることを話せば、ここから解放してやろう。失敗したと言うことを伝えておいた方が良いんじゃないか?もちろん、俺たちのことも伝えた方が良いだろうな」


「うっ!」


セカンドの言葉に捕虜は顔をゆがめる。

確かに、本部にここの情報を伝えることは必要。


捕虜は言うべきか言わないべきか、頭を悩ませる。

そこに、セカンドは、


「因みに、お前らと仲の悪そうなあいつらにも同じ提案をしてるんだよ。どっちが先に情報を届けられるだろうな」


「なっ!奴らとも取引を!?」


セカンドは追い込む。

情報は、鮮度が命。


ここで敵に情報を知られてしまうと、こちらが不利になる。

逆に、先に情報を知らせることが出来れば、


「……分かった。話そう!」


「おお。そうか。なら聞かせて貰おう」


捕虜たちはクラウンの交渉にあっさり乗り、話を始めた。

そこで明かされるのは、衝撃の事実。


「ボスから言われたのは、学園にあるって言う魔道具の回収だ」


「魔道具の?」


エリーは自分の記憶を掘り起こしてみるが、そんな魔道具は思い当たらない。

 ーーどんな魔道具なのかしら?


「学園の地下に、近くにいる人間の思考力を低下させる魔道具があるらしいんだ。ただ、奪うときに思考力が低下させられるから俺たちはほとんど捨て駒みたいなもんさ」


「ほぅ~。聞いたことがないな。となると、あいつらも同じモノを狙っていたということっか?」


「ああ。おそらくそうだろうね。俺たちの司令部近くに使って、戦いを有利に進めていくつもりだったんだろ」


エリーはその話を聞き、

 ーーえ?うそっ!?そんな魔道具があるの!?ゲームにすら出てこなかったんだけど。


と、驚いていた。

だがよくよく考えてみると、


 ーー確かに、ゲーム内での生徒はバカが多かったわね。あれはもしかして、魔道具の影響だったのかしら?

その真実に行き着き、エリーは納得した。


「クラウン様」


「む?」


エリーが捕虜から話を聞いていると、クラウンの1人から話しかけられた。

その手には、書類を持っている。


「あちらの捕虜の尋問が終了しました。こちらがその書類です」


「ああ」


エリーはその書類に目を通す。

その内容は、先ほどまで聞いていた内容とほとんど同じ。


「……ふむ。なるほど」


ただ、1つだけ違う点が。

それは、


「魔道具は、水晶のような形、か」


魔道具の形について。

これで、見つけやすくなるというモノだ。


 ーー今度、お宝探しにでも行きましょう。

エリーはそう決め、思考力低下に対抗できるような魔道具を考えるのであった。


「詳しいことを調べておけ。ただ、絶対に学園に探索へは行くな」


「はっ!了解しました!!」


エリーは部下に指示を出しておく。

捕虜は約束通り解放する予定だ。


解放は明日。

2組同時に解放する手はずとなっている。


 ーー魔道具の事を知れたのは良かった。だけど、血湯と苦霞の目がこちらに向いてしまうのは駄目ね。もう少し注目されるのは後にしたかったのだけど。

エリーはそう思いながらも、作戦を立てていく。


その最中、


「グエッ!」

「アガッ!??」


といった、 うめくような声が聞こえたのは気のせいだ。

そう、エリーが考え事をしながらつい癖で盗賊を狩るなんて言うのは、絶対に気のせいのはずなのだ。


 ーー今度から、自重しましょう。

汚れた手を見ながら、エリーはそう誓った。


「……帰ろ」



次の日。

エリーおめかしをして、兄弟たちと共にいた。


「エリー。行こうか」


「はい。お兄様」


差し出される手。

エリーはそれをにぎって、歩き出した。


「今日は、何処へ行くんですの?」


エリーは目的地を訪ねる。

すると、バリアルが笑みを浮かべた。


「学園で面白そうな場所を沢山聞いてきたから、そこに行ってみようかな」


「なるほど。お兄様が他の方々と仲良く出来ているようで良かったです」


エリーはそう言って、何度か頷く。

 ーーバリアルは大丈夫だと思ってたけど、本人の口から聞くと安心する。


「兄様は大丈夫だと思ってたけど、お姉ちゃんはどうなの?」


アシルドに尋ねられた。

平民と仲良くなれているのか心配なようだ。


「私の友達、ですの?」


エリーはわざとらしく首をかしげる。

 ーーこれは、普通に答えて大丈夫よね?アシルドのことだから、私に対して平民となれ合うなんて汚らしいとか言わないと思うけど。


「仲よさそうな子が何人かいたね。男女両方」


「ふふっ。そうですわね。普段からあのメンバーで行動していますわ」


エリーはそう言って笑みを浮かべる。

だが、バリアルの顔にどこかうれしさ以外の感情が感じられる。


男女両方、と、バリアルから、少し変な感情も感じられた。

 ーーどうしたのかしら?


「男女?……男の子と仲良くなったの?」


アシルドは目を細めながら尋ねてくる。

どうやら、変な虫がついていないか心配らしい。


だが、それなら大丈夫とエリーは笑みを浮かべた。

 ーーそんな2か月くらいで恋愛なんて起きるわけないじゃない。


「ええ。男の子の友人も出来ましたわ。ただ、あの様子ですから恋愛などに発展することはないでしょうし、そんなに心配しなくても大丈夫ですわよ」


エリーはそう言ってアシルドを見つめる。

すると驚いたように眉が一瞬ピクリと動き、疑わしそうな目線が送られた。


「まあ、エリーだから。そんなモノだよ」


「………そうだね。お姉ちゃんはそういう人だったよ」


「?」


バリアルがアシルドに苦笑いを浮かべ軽く首を横に振りながらながら伝えると、アシルドもあきれの感情のこもった言葉をこぼした。

その様子に、エリーは首をかしげる。


「よく分かりませんわ。メアリー。説明をお願いしてもよろしいかしら?」


「っ!?わ、私ですか?」


エリーの専属メイドであるメアリーは、頬を引きつらせた。

主人をけなすわけにもいかないので、言葉の選び方が難しいのだ。


「お姉ちゃん。メアリーが困ってるから」


「うん。僕が悪かったから、聞くのはやめてあげて」


エリーは兄弟2人に止められ、メアリーの質問をやめる。

 ーーうぅん。気になるんだけど。後で2人のいないところで聞けば良いかしら?


「……エリー。さっきの質問は、メアリーにしちゃいけないからね」


「僕たちのいないところでもやったら駄目だよ」


「わ、分かりましたわ」


2人の熱意に押され、エリーは渋々頷く。

 ーー残念。じゃあ、今度ロメルたちに聞いてみましょう。


エリーの頭では、頭を押さえるロメルの姿が思い浮かばない。

ロメル、ご愁傷様。


「さて、そんな話をしている間に、ついたよ」


「あら。つきましたの?」


「……わっ!?凄い!」


バリアルが到着を伝えてくる。

窓から外を見ていたアシルドが、外の様子に驚いている。


「ここは、悪魔の水のお店だよ」


「「悪魔の水?」」


 ーー悪魔の水ねぇ。

エリーは変わった名前の飲み物に興味が湧いた。


 ーーどんなのかしら?ギレとかに飲ませたら喜ぶかしら?

エリーはそう思いながら、屋敷で待機させている悪魔に思いをはせた。


「エリー。入るよ」


「ああ。はい。今行きますわ」


すでに店に入ろうとしているバリアルに声をかけられ、エリーはその後を追う。

店に入ると、


「ん~。変わった匂いだね」


「僕は嫌いじゃないけど」


兄弟はそう言って、スンスンと匂いを嗅いでいる。

 ーーん?この匂い、


エリーはその匂いに覚えがあった。

その記憶は、前世でのモノ。


 ーー悪魔の水ってもしかしてアレ!?

エリーは思い至ったモノが悪魔の水と呼ばれていることに苦笑い。


「にがっ!」

新作「異世界に召喚されるのは良いけど「ざまぁ」される側なのは勘弁してほしい」投稿を始めました!

こちらも是非是非よろしくお願いいたします!!

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