表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リピート再生  作者: 朝霧
3/3

二千十七年八月二十七日(1回目)

 二千十七年八月二十七日(1回目)

「うっわ、ぐっちゃぐちゃじゃん……キレーな顔してるのにかわいそー。どうしますこの女? もう廃人みてーになってますし、慈悲深く殺してやりましょうかね。こんなんじゃもう売り物にはならないでしょーし!」

「…………それ、俺に寄越せ」


 二千十七年十月十一日(1回目)

「身体の具合は? ……ああ、傷が少しはマシになってきたな。口枷を外すぞ…………こら、噛むな。悪いが死なせてはやれない」

「なんでこんなことするのかって? なんで死なせてくれないのかって?」

「きまぐれだよ」

「あと、高校の頃、実は少しだけ好きだったんだ。それだけ」


 二千十八年一月二十六日(1回目)

「……寝てるのか」

「何もしない、何もしない……だからそんな顔するなよ」

「…………なあ、最近やっとお前に酷いことをした奴等を全員殺し終わったけど、他に何かして欲しいこととかってある?」

「え? なんでそんなことしたのかって?」

「……全員この世からいなくなれば、少しは安心できるだろう?」

「あと、単純に俺が気に食わなかったんだ」


 二千十八年三月十三日(1回目)

「だいぶ、調子が良くなってきたな」

「なあ。これからどうしたい? 自由になりたい?」

「……いや、聞いただけだよ」

「悪いが『自由』だけはあげられない」


 二千十九年十月二十四日(1回目)

「なあ、触っていい?」

「抱きしめて、口付けて、お前に酷いことをしてきた外道共と同じことをしてもいい?」

「……お前のこと、ぐちゃぐちゃにしていい?」

「いやなら、それで俺のこと殺していいよ。それで自由にしてあげる。あとは好き勝手に生きてもいいし、お望み通り死んでもいいよ」

「…………馬鹿な女。本当にいいんだな」

「もう二度と、離してなんかやらねーぞ」

「自由なんてやれないし、勝手に死ぬのも許さない、絶対に」


 二千二十二年四月一日(1回目)

「……全部殺してきたよ」

「ごめんな、痛かったよな、苦しかったよな……」

「ちゃんと守ってやれなくてごめんな」

「なあ、俺もそっちにいっていい……?」

「いやだっつっても、いくけど」

「……ああ、全部全部、やり直せればいいのに」


 二千十二年四月四日(2回目)

 ここはどこ。

 あの人がいない。

 身体中痛くて痛くて仕方がなかったはずなのに、痛くない。

 あれ、おなか……

 いない、いない……なんでなんでなんでなんで!!!!!?

 あれだけの目にあったのなら確かに無事では済まされないだろう、そんなことはわかってる。

 だけど、なんで私だけ無事なの?

 ここはどこ、ねえ、あなたは、あなたたちはどこにいってしまったの。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ