サタナエル編2-4
夜、セリオンはバイクを走らせた。森の神殿に行くためだ。
森の中には平らな林道が通っており、バイクで走ることができた。セリオンは急いだ。
セリオンの視界に神殿が見えた。
「あれか」
神殿は異教時代の遺物である。もはや誰も手入れをするひとはいなかった。
セリオンは神殿の入口近くにバイクを停めた。セリオンはバイクから降りた。
神殿の入口に近づき、門を開ける。
「!? シエル! ノエル!」
セリオンは神殿の奥で、寝転んで失神している二人を発見した。
「遅かったわね。待ちくたびれていたところよ」
「おまえは?」
「私は悪魔アナト。安心して。二人には何も危害は加えていないわ。二人はただ眠っているだけよ」
アナトは怪しい笑みを浮かべた。
「二人を迎えにきた」
セリオンは大剣を構えた。
「ウッフフフフ、気が早いのね。でも、あなたの相手は私じゃなくて、ほかの者にしてもらうわ。出なさい!」
セリオンとアナトのあいだに影が噴出した。影はしだいに形を取り始めた。影は鎧の戦士のなった。
鎧戦士は目を光らせた。その手には斧を持っていた。
「あなたの相手はこの鎧戦士よ。さあ、行きなさい!」
アナトは鎧戦士に命じた。鎧戦士はセリオンめがけて、大きな斧を振り下ろした。
セリオンはとっさに横に跳びのいた。すかさず大剣で横に薙ぎ払う。
しかし、鎧戦士にダメージを与えた様子はなかった。鎧戦士はまるで機械のようだった。
手にした斧でセリオンに襲いかかる。鎧戦士の斧は大きくてとても大剣で受け止められるようなものではなかった。セリオンはうまく鎧戦士の攻撃をかわした。斧の刃が冷たい風を起こした。
セリオンの顔に冷たい風が当たった。セリオンは鎧戦士の攻撃の合間に反撃した。
一回、二回と斬りつける。それでも鎧戦士は平然としていた。
「まるで機械人形だな……」
鎧戦士が斧で薙ぎ払った。セリオンは後ろにステップして回避した。
セリオンは大剣に雷を纏わせた。大剣が雷で放電する。
鎧戦士が傲然と歩いてくる。鎧戦士は斧でセリオンを打ち付けてきた。
セリオンはその一撃をかわすと、雷の一撃を鎧戦士に叩きつけた。雷電が火花を散らし、鎧戦士を感電させた。鎧戦士はよろめいた。セリオンは立て続けに、雷の大剣で攻撃した。
鎧戦士は体をふらつかせた。セリオンは鎧戦士に最大限の雷の一撃を放った。雷鳴がとどろき、雷が鎧戦士の体全体に打撃を与えた。雷電が鎧戦士に打ち付ける。セリオンの必殺技「雷鳴剣」である。
鎧戦士は大きな音を立てて、あおむけに倒れ込んだ。鎧戦士は闇の霧と化して消えた。
「次はおまえだ、アナト」
セリオンはアナトに大剣を向けた。
「ウッフフフフフ! お見事ね。おあいにくだけど、私はあなたの相手をする気はないの。この二人は無事に返してあげるわ。第三幕が始まるの。楽しみにしていて。第三幕はまるでオーケストラのようだから!」
「分からないな。おまえたちはいったい何を考えている!」
「私たちが考えていることは一つよ。すなわち彼の復活よ。それまでは一種のお祭りのようなものにすぎないわ。あなたには主役をやってもらうわ。これはもう決まっていることなのよ。彼は帰ってくる、この地上に。私は楽しみだわ。さようなら、青き狼・セリオン」
そう言い残すと、アナトは消えた。
セリオンは急いでシエルとノエルのもとに駆け寄った。二人ともけがや傷はないようだ。セリオンは安心した。