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スマホ(お守り携帯)

 今日は紫にスマホを買うのに案内を頼まれた。

 どうやら「お兄ちゃんとおそろいがいい」だそうだ。

「いや、俺の機種もう売ってないぞ……」


「ふっふっふ、お兄ちゃんにスマホを買ってあげるくらいの甲斐性はありますよ!」

「いやさすがにスマホは高いんじゃ……」


「じゃあ安いのにしましょうか、とにかくお兄ちゃんとおそろいがいいんです!」


 妹に二言はないらしい、今までの生活でよく分かっている。

 あれ……今まで? 何年だっけ? まあいいや……。


「まず、iOSかAndroidかくらいは決めようぜ?」


「うーん……お兄ちゃんはどっちがいいと思いますか?」


「宗教戦争を起こす気は無いぞ」


 コレばっかりはもはや宗教なので好きにしてくれとしか言い様がない。

 スポンサー様の意向通りにするしかないだろう。


「ふむふむ……じゃあお兄ちゃんの監s……コミュニケーションが簡単なのはどっちですか?」


「監視って……」

「なんのことです? 聞き間違えは良くないですねえ……教育的指導が入りますよ」


 それ絶対ヤバイやつじゃん!


「そうだな……Androidの方が自由度は高いぞ」


「そうですねぇ、自由度が高ければ管理も簡単……」


 何やら陰謀を張り巡らせているようだ、せめて俺に聞こえないとこで計画を立ててくんないかなあ……。

「ちょっと思いついたことがあるので買って渡しますからそれを使ってくださいね」

 嫌な予感しかしねえ……。

--------一週間後。

「はいお兄ちゃん! このスマホをプレゼントします!」


「お、おう」


 それは所謂「ハイエンド」なスマホだった、見たところ特別な点はなさそうだが……何でショップで買わなかったんだろう?


 そのスマホを操作してみて気づいたことがある。


「なあ、これどこで買ったんだ? ほとんどアプリが入ってないぞ」


 そう、携帯ショップで買ったらてんこ盛りに入っている使いもしないプリインストールアプリが入ってない、SIMフリーにしたってちょっとシンプルすぎないか?


「いいんですよ細かいことは! しょうがないじゃないですかxdaにROMがあったのこれしかなかっ……いえ気にしないでください」


 xda……カスタムROM配ってるアレか、名前くらいは知ってるが……。


「なあ、デフォルト以外にコレなんか入ってるの?」


「いいいいいいえええ!? 何でそんなこと思うんですか! やだなあお兄ちゃんは、妹が信用できないんですか?」


 あ、コレ入ってるやつだわ……でも言っても絶対認めないしなぁ……よし! 後でPC使ってROM焼いとこう、AOSPからなら大丈夫だろう。


「あ、そうそう。ブートローダーはバッチリロックしてるので気をつけてくださいね。もちろんお兄ちゃんが私が監視アプリを入れてる何で思ってないでしょうけど!」


 ピンポイントに釘を刺すなあ……隙がない。


「さあSIMカードを差し替えましょう! やってあげますね!」


 俺から今持ってるスマホを強奪して荒っぽくSIMカードを抜き取る紫、手慣れてるなぁ……。


「そうそう、『防犯』のためにSIMのPINロックはかけておきますね、パスワードは私が管理するので大事に使ってくださいね」


「いや、PINは自分で管理したいんだが……」


「私はパスワードマネージャをちゃんと月額課金で使ってますよ? お兄ちゃんまで課金する必要はないでしょう、私に任せてください!」


「なあ……俺でも課金してないのに何でそんな金があるんだ?」

「私の家計管理能力をなめてもらっては困りますね、資金運用は完璧にしてますよ」


 コイツは人生二週目なんじゃないだろうか? 用意周到すぎる。


「でもいくら何でも資金足りないだろ」


「ふっ……私をなめてもらっては困りますね、githubとAWSで配布してるソフトにスポンサー様がいますよ」


 スポンサー様って……いやまあ確かに寄付歓迎のソフトとかあるけどさあ……。


 紫の底が知れなくて怖いまである……。


「なあ、さすがにこのスペックのスマホをもらうのは悪い気も……」


「嬉しいでしょう? この最新型で!」


「は、はい!?」


「よろしい」


 肯定はしていないんだが……。


「ではコレを渡すので約束を、一、私からの連絡は最優先、電話でもメッセンジャーでも即時のレスポンスを渡すこと、

 二、私の認めない人と連絡を取らないこと、守ってね!」


「はいはい……守んなかったら没収か?」


「ううん、ちょっと数日二人っきりでスマホの使い方講座をします」


 おお、意外と優しい!

「ちなみに一回目で二日間で四十八時間を想定しています。多少プラマイありますけど」


 二日丸まるじゃねえか! ていうかどうやってもプラスにはならんだろうが! え、なに! コイツ時空を操れるの?


「はぁ……分かったよ。できる範囲で守るよ」


「約束ですからね!」


「はいはい……」


 そう言って俺は紫からスマホを受け取る。

 とりあえずアクティベーションロックをかけとこうか、設定を開いて、あれ? 設定がない?


「あ、そうそう、お兄ちゃんのデバイスを探す機能は私が把握してるのでなくす心配はないですよ! パーフェクトに監視するので安心してください!」


 せめて本音を隠してくれ……。

「ありがとな、前のスペックの限界でキツかったんだわ」


「へっ!? そ、そうですね! お兄ちゃんは私に感謝して一日五回の感謝の土下座をするべきですね!」


「そこまでは感謝してない」


「もう! 素直じゃないですねえ! 本当は私と一緒で嬉しいんでしょう?」


「ああもう、分かったよ! 嬉しい! 嬉しいよ!」


 シスコンと言われようとこのスマホ(お守り携帯)はスペックは高いもんな、そこは感謝しておこう。


 そうして自室に帰ってスマホを起動してみるとタスクバーにVPNアイコンがあった……どこのVPNに繋がってるんだろうなぁ……。


 大体予想は付くがビッグシスターの存在を真面目に考えるとキリがないので俺は考えるのをやめた。

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