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8.瑤子と恋

よくわからないアプローチを受けて、ジリジリと後ろに下がっていると、ぼんくら神から『大丈夫か?』と言われたが、見たらわかるよね!

あんたの弟ってなにさ!


「ああ、俺は世界の『美と愛をつかさどる神アレクサルト」


「この世界が貴族で成り立ち、魔力を維持するために、身分を保証するために、政略結婚が悪いといわない。だが、自由な恋愛が平民でもあまりなく、この世界には愛が足りない。

愛が足りないと美に対する意識も上がらなくて、他の神はどんどん力を増していく中、俺だけが人間と変わらぬ力しか持てない。だから子を授ける力も少なくて、落胆していく姿を見るのは辛かった」


「そんな中この世界をかき回してくれそうな、しかも恋に生きているような女が異世界からやってきた。

すぐに皇帝にいれあげ、自分をアピールし始めた時、ものすごいエネルギーを感じた。これで世界も少しは活性化する。しかもそれにより、先読みの力を持っているものの、異世界から落ちてきた女子は身分を持たない。ここで皇帝が皇妃にするとか言い出したら、面白そうだと放っておいた」


その内にあれよこれよと事態が変わり、クリスティーネが断罪されるのは困るということで、あたしがやってきたと。

それはいい。

何かをするわけでもなく、見守っていただけみたいだし、クリスティーネに何かしたら性根叩き直すように、色んな手を使わないとダメだけどね。

神に一発叩ける人間らしいし。


ただ、それで何故あなたが、あたしに迫ってくることになるのかが不思議。

どこにそんな要素があった?

先ほどの話は、この世界のことであって、あたしにはなんの関係もないこと。それを聞かせてどういうつもり?


「同情を買えるか試してみたが、ダメだったか。まあ、試し程度だからいいけどよ」


さっきから何なの、この人。顔と話し方がちぐはぐすぎておかしいよ。

アレクサルト教皇の時の話し方の方が、あってて良かった。

今は逆にコメディにしか見えない。

まあ、それも仕方ないか。あのへっぽこ神の弟じゃね。

残念臭がこれ以上ここにまき散らさられないように、早めに帰ろう。


「この話し方はダメか。仕方ない、肩がこるがいつもの話し方に戻るか」

そうしてあげて。この世界の人がどうしていいかわからず、白目でいるのは申し訳ない。

もうどうしていいのか、わかってない。


「えーと、優梨愛さん。帰る準備整いました?」

「ええ、仕方ありません」

「何故、ユリアが帰らなければならない!貧民街の整備も、医療の推進も、ずっと頑張ってきたじゃないか!」

「それでも、大罪を犯しました。いくら貢献しても、罪は罪。償わなければなりません。元の世界に戻ることは、この世界で死を迎えると同じことです。どうか、それでお許しを頂けますか?」


え、あたしに聞かないで。この世界の法に詳しくないし、決めるのは神ではなく人が決めればいい。

と、思っているのだけど、それでいいよね?

『我は神託した責任がある。クリスティーネが幸せならば、この国のことには介入しない』

ですね。そのためにあたしが来たんだし。


「決めるのは、皇帝。あなたです」




ああ、このお茶美味し。

家に戻って久しぶりにリラックスした気分。

長い長い正直スッキリしない夢というか、映画を見せられた感じ。

完全に三流ともいえる出来に、がっくしだ。

それでもそれぞれが、前に向かって進めるようになったのだけは、良かった。


さて、スッキリしたざまあ物でも、読もうかな。

こんなにざまあ物読んで、こんな風に出来たら気持ちいいだろうな、って思っているのに、あたしが書くと、コメディにしかならないのか。

それよりも、描いたストーリーは悪くないはずだから、やっぱり表現力が足りない。

恋愛もここしばらくお休みしすぎて、キュンとなるような話は書けないし、ラノベ読んで満足してるし。

それがダメなんだろうね。

生身の恋愛かー。

 


出た。

「人を化け物のように言うでない」

突然女性の部屋に現れて、言うことはそれ?

汚物を見るような目で見ると、怯んですぐに謝ってきた。


「すまない。声を掛けてから来るべきだった」

いえ、厄介ごとが運ばれてくる気がして、来なくていいです。

「そういってくれるな。一応、プロポーズした男なわけだし・・・我も傷つく」

 

「有り余る時間を我と一緒に異世界の旅をしよう」

そんなことを言われましたよ。

魅力的な言葉でしたが、あたしはこの世界でぼんやりと生きているけれど、それでも今が好きだと思う。きっと寿命で旅立つ時には、飛びついた話かもしれないけどね。


それになんでしょうね。黙ってたらリューウールもアレクサルトも、カッコいい。カッコよすぎて、正直人間に思えなくて、実感が全くわかない。

なんでこんな二人にプロポーズされたのかも、わかんない。


「時間はある。ゆっくりでいいから、考えてほしい」

うん。

この強引すぎず、それでいてさりげないアプローチや、頭を撫でる手の優しさを嫌いに慣れない。

意外にリューウールのことは、気に入っているのだと思う。

繋がれた手を解かなくていいかな?と思うぐらいには。


「瑤子は、温かいな」


ちょっとだけ、恋に気が付いた気がする。

あと一話でラストです。

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