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7.一件落着の前に一波乱

優梨愛さんも戻る気になってくれたことだし、クリスティーネのテオ様が来たら一件落着?


って、行きたいところだけど、かき回すだけかき回して去るとか、大人失格な気がする。

けれど、この国のことに異世界の人間が、これ以上突っ込んではダメだ。

いい加減なことを言うと、神託扱いになってこの国の人が何もできなくなるのは、もっとダメな選択になる。

だから結論はこの国の人に任せよう。


でも、気になるのは事実。

どうなるのかな?という想像は止められない。


一番いいのは、皇帝テオドリーコを座から降ろして、前皇弟殿下であるテオドールが正当な後継者として継いで、クリスティーネが皇妃になれば一番丸く収まる?

今の皇帝も頭は悪くないんだけど、甘やかされて育っているから、いいとこの坊ちゃんって感じ。

良く言えば素直。悪く言えば考えなし。


側近がまともだったら坊ちゃんでもいいけど、側近に小姑のような堅実な人が居たなら、こんな騒ぎになってない。

それだけでも、評価マイナス。

更にクリスティーネを断罪とか、マイナス一万点。


口に出して、説教したいのをグッと堪えた。

お口にチャック!

優梨愛さんも帰る覚悟はできたでしょうし、クリスティーネの断罪はなくなった。あたしの仕事は80%完了。

優梨愛さんを連れて帰れば、100%使徒としての仕事は完了だ。

だからこれからは見守るだけで、お節介おばちゃんにならぬよう、これ以上は黙っているのが正解だ。


アレクサルト教皇が、テオドールを連れて帰ってきた。

転移魔法って、便利だよね。


それにしても本当に前皇弟殿下なの?

なんか、ボロボロなんだけど。


「使徒瑤子様、この方がテオドール様です」

そんなキランみたいないい笑顔で言われても、どう突っ込めば?


着ている服はデザインからして神官服ぽい。それはいい。

色々乱れて過ぎてない?

髪もボサボサ、服は右側を引っ張られたのか、胸元が乱れているし、ちょっと解れているような・・・。

無理やり引っ張り出してきて、連れてきた。

これがピッタリな言葉だ。


「あのー、テオドール様ですか?」

クリスティーネの言葉に、テオドールがビクッと反応した。

勇者、勇者がいる。こんな混沌とした中で声を掛けられるなんて、凄い。

ずっと思いを募らせてきただけはある。


テオドールは、クリスティーネに背を向けたまま、頷いた。

オイ、どこの乙女だ!

普通に見れば、クリスティーネに会うことを拒んでいるようにみえるが、正面から見ているあたしには紅い顔が丸見えだ。

どうやらこちらも、初恋を拗らせてる感じ。

いいぞ、いいぞ。若いっていいね!


「わたくしのこと、覚えていらっしゃいますか?」

覚えてる、覚えてるともー。今も悶えてるし。

「いえ、」

ああん?あたしの前で嘘をつくとかいい度胸だね、テオドール君?

「―――っ、覚えてます」


始めからそう答えればよかったよね?

思わず威圧で脅しちゃったよ。


「わたくし、あの時助けて下さったときからずっと、会いたかったのです」

可愛い!メッチャ可愛い。

これこっそり録画できないかな?でも、二人の恋の邪魔をしてはダメだ。グッと我慢、我慢。

オイこら、そこのヘタレ。なんか言えよ。うちの可愛いクリスティーネにそこまで言わせて、ダンマリは許さん!


「わたしも、会いたかったです」

素直な子は好きだよ。あんたが何故クリスティーネの前に現れなくなったのかも分かってる。クリスティーネなら、大丈夫。だから男のモジモジ何て、誰得よ?ってぐらい可愛くないから、サクッと行け!

一瞬こちらを見たが、無視をする。あたしはあんたの母ちゃんか、つーのっ。

まあこの世界なら、あんたの母ちゃんと同じ年だとは思うけど・・・。

自分で言っていて、悲しくなってきた。


「わたしの、いえ、俺の話を聞いて頂けますか?」

そこからテオドールの身の上話が始まった。

話が長くなるので、割愛する。


ようするに、隠していない目はクリスティーネが見た、澄んだ碧い瞳で光属性。隠している目が灰青の闇属性。この世界でも、オッドアイズはあまり歓迎されていない。それだけでも引け目を感じる要素を持っているのに、テオドール一人でもこの国の皇帝が務まるという暗示でもあった。

だからクリスティーネが闇属性を持たなくても、問題ない。これからアプローチをしていこうとした矢先に、派閥争いに巻き込まれ、何度も暗殺されかかるうちに、死んだことにして身を隠すことにした。

クリスティーネを巻き込まないように。


結局巻き込まれて、殺されそうになったけどね。


ウダウダしているうちに今になり、合わせる顔がないって?

あの尻に蹴りを入れてやりたい!


見ていてイライラしてきたのか、テオドールを連れてきたアレクサルト教皇が、クリスティーネの方に押した。

おお!教皇なのに、前衛的な考えだ。素直に尊敬!

「あなたがサッサとクリスティーネとくっついてくれないと、俺が困るだろうが。男なら決めてこい!」


え、えーと、教皇さん、あなたから耳慣れない言葉が聞こえましたが。

こちらを向いたかと思うと、胡散臭い笑顔であたしを見た。

なに。


そのままスタスタとアレクサルト教皇が突如あたしの前にやってきた。

ん?

膝を折り、手を恭しく取り自分の顔に引き寄せた。

指先が唇に触れた。


ヒィ―――――――っ。

「わたくしが還俗して、あなたと婚姻を結ぶというのも、良いと思いませんか?」


反射的に答えた。

「い、いいです。大丈夫です」


この人、絶対に普通の人ではないですよね?

それにどこにあたしに惚れるような要素があった?

あの残念神と通じるものがあるし、絶対に振り回される未来しか見えてこない。

そんな生活誰が望むか!


「へえ、この俺の魅了が効かないとは、流石は兄上の使徒だな」

今何と言いました?

「兄弟そろって好みが似ていたのか。瑤子は一人しかいないし、ここは俺でいいよな?」

ぶんぶんと、頭を横に振った。

もう髪の毛がビシビシと顔に当たっていたぐらい。


意味がわからない。

何で、こうなった?



いよいよ、ラストに近づいてきました!

この辺りが書きたくて始めた短い連載。

もっと簡潔でも良かったかな。

後しばらくお付き合いください。

こんな偏狭な場所まで来て、読んで頂きありがとうございました。

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