4、初めての恋人ロボットについて
俺の初めての恋人ロボットは、親父に買ってもらった。
恋人ロボットの店に行き、まずは好みの写真から顔を選ぶ。
「モモさんに似てるほうが良いのか?」
と親父に言われたが、そうでもない。
モモさんは、女っぽい感じの人だけど、俺はどっちかというとショートカットでちょっとボーイッシュな感じの美少女が好きだ。
そんなつもりなかったんだけど、写真を見ながら
「これか・・・これ、こっちも良いかな」
なんと選んでいたのが、みんなショートカットだった。
「ほう、お前はこういう子が好みか」
う、親父に言われると恥ずかしいったらありゃしない。
こういうとこ、みんな誰と来るんだろ。1人で来るのかな。母親役のロボットと来るのだろうか・・・さすがに、このとき俺はまだ16だったから、1人じゃ無理だしなあ。
俺が選んでると、店のロボット(女性型)が
「みなさん、大学入学くらいでいらっしゃいますよ」
と教えてくれた。俺はまだ高校生だったから早いほうだったらしい。
けどなあ、中学生になったら興味あるだろ? え、ないの? あるだろー!
で、高校生になったら彼女欲しいじゃん。てことで、親父に頼んで、初体験に風俗行って、それから恋人ロボット買ってもらうことになったんだ。
好みがだいぶはっきりしてきたら、そんな感じの写真ばかり見せられて、何が何だかわからなくなった時に、最後に見せてもらった写真がドンピシャだった。
「あっ」
思わず声が出た。
心臓のあたりが、ドキンって鳴った。
これっていわゆるトキメキってやつだろ。うん、本で読んで知ってる。本当になるんだ。コレ! って思う子を見たら、自分でわかるような本能が備わってるんだなあ。
妙に感心しながら、
「じゃ、この顔で」と注文。
これだけじゃない。
この後、身長や体つきなんかも注文できる。細かくはないけど、だいたいの体格が選べるようになっている。
「お前だったら、小さめの子が良いんじゃないか」
「どーせ俺はチビだよ」
という親父との会話を、店員は微笑ましく見ていた。
「お客様でしたら、こちらの体型がお似合いですよ」
と、示されたのはチビでガリだった。
なんでだ。
密かにおっぱいを楽しみにしていたのに。Aカップくらいしかないじゃないか。
とは思ったが、確かにショートカットの子にあんまりボインがくっついててもな、気持ち悪いかもな。こういうとこは、店員の意見を聞くのもアリだろ。
「うん・・・」
とはいえ、俺の反応はイマイチだ。だって、おっぱい・・・
「お使いしてみて、違和感がありましたらいつでも変更できますよ」
とりあえず、そういうことだったので、貧乳で我慢することにした。
まあ、初めての恋人ロボットだしな。あんまり完璧に仕上げても先々のためには良くないからな。
あとの設定は親父の出番だった。
「まだ16だからなあ。一日3時間で良いか?」
「えー、それだけ?」
「当たり前だ。清くタダしい男女交際からだぞ」
「はあーい」
そりゃそっか。
俺も部活やバイトに(おっと、勉強も)忙しいからな。
そうして手に入れた初めての恋人ロボットと俺は、清く正しい男女交際をスタートさせたのだった。