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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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怪奇討伐部Ⅳ最終話

見てて懐かしいですね

次回からは別の連載ツリー(?)となります!

次はSFですよ〜

最終話 それでも歩み続ける




 __________


「ヘラ。何か言ってた?」

「……廻貌、地面の下にまで行って返す必要があるのかな、って思ってただけ」

「なにそれ、答えになってないよ」


 部屋に戻ってきたヘラを、オレは彼の本を読みながら迎え、質問を投げ掛けた。

 そういえばヘラの表情、ちょっとスッキリしてるかも?


「あはは、そうか?……そっか」

「誰が来てたの?」

「えっ?」


 急に笑顔が凍るヘラ。なんかまずいこと言ったかな……?


「____え、えぇっと……いやぁ、忘れ物したーってヤーマイロがさー!」

「……」

「ほ、ほんとだぞ!ほんと!ほんと!」

「……ならいいけど」


 目を逸らしたあと、視界の隅でヘラが胸を撫で下ろしたのが見えたのは秘密にしておこう。秘密は誰にだってある。ヘラにも、もちろんオレにもだ。

 どうせノート絡みのことだろう。


「……なぁ、ムジナ。地下ってどうなってるんだろうな?暑いのかな?寒いのかな?」

「ヘラならよく知ってるんじゃないの?本とかで」


 オレは部屋にある本棚を見回した。


「わからないよ。ここにあるのは大抵人間界にある本。人間たちが地下を有効活用できていたなら、シフたちがこっちに来ないし」

「そ、それもそうだね」


 なら、どうやって地下の限られた場所にエガタを戻すんだろう?


「……廻貌は何か案はあるか?」

「なんだよ……えぇ?地下に行く方法?」

「そうだ。……急に起こしてすまない」


 エガタは寝起きだったのか、不機嫌そうに浮かび上がり、オレとヘラの間で一回転した。


「うーん……」


 エガタが唸っていると、部屋のドアを叩く音が聞こえた。ヘラが「どうぞ」と言うと、ギィと音を立てて入ってきたのはレインだった。


「レイン?」

「作戦は立てられたのか?」

「……ちょっと違うこと考えてた」

「何でだよ……カリビアを助けるんじゃなかったのか?」


 レインは腕を組んでヘラの目を見つめた。


「助けるよ。……なぁ、レインは地下への行き方を知ってるか?」

「はぁ?地下?……なら、コルマーに詳しい奴がいるぞ」

「本当か!でかしたぞ、ザコ!」

「だからザコじゃねぇ!」


 いつものように睨み合うレインとエガタ。確かにコルマーは情報が飛び交っている無法地帯だ。そんなところには行かせられないとお兄ちゃんに言われていたのだが……。ヘラと一緒ならいい、よね?


「だが、一つだけ忠告させてくれ。……この前、地下に向かった命知らずが行方不明になった。くれぐれも気をつけてほしい」

「行方不明……か。廻貌、地下の案内はできるのか?」

「少しだけはな」


 正確には『剣としてのエガタ』ではなく、『中の魂』だろう。


「……で、カリビアさんのことだけど……できれば俺じゃなくてレイン、お前たちに任せたい」

「お、オレが?!」

「何言ってるの、ヘラ?!確かにオレはお兄ちゃんがあっち側だから目立ったことはできないけど……ヘラの強さじゃないとヌタスさんに負けちゃうよ!?」


 オレとレインがヘラに詰め寄る。

 ……ヘラ、もしかしてサニーくんとスノーちゃんがいるから大丈夫って信じて……。


「俺だってカリビアさんにはお世話になったし、助けたいよ。でも……」


 そう言いながらエガタに目をやるヘラ。

 エガタはそっぽを向いた。


「エガタの地下が妖怪たちのせいで荒らされてるのが許せない、一刻も早く妖怪を倒したい……ってこと?」

「……そういうこと、かな」


 ヘラまでもがそっぽを向いてしまった。

 その顔は彼の髪と同じく、赤くなっていた。


「それならそうと早く言ってくれよ!お前にはオレの兄弟を取り返すのを手伝ってくれた恩がある。カリビアのことならオレたちに任せて、行ってこい!」


 レインはニッコリと笑い、部屋を出ていった。

 バタンとドアが閉まる音がする。その音はオレの頭を貫いたような気がした。

 ……やっと、やっと、今、戦ってるんだなって思えたかもしれない。


「……どうした?何か考え事か?」

「ううん。何でもない。下のみんなに伝えて、コルマーに行く準備をしなきゃ。……そのためには家に帰らないとね」

「あまり無理するなよ。何なら、俺一人で行くから」

「ダメ!」


 オレはヘラの腕を力一杯引っ張った。

 ヘラのバランスが乱れ、膝から崩れ落ちた。


「な、何するんだよ!」


 ヘラがこっちを見て抗議する。


「いつもいつもそんなこと言って!オレだって戦えるんだからな!」

「ムジナ……」


 ヘラが膝に手をついて立ち上がる。

 そのあと、オレの手を握った。


「悪かった。ムジナもちゃんと戦える。知ってるよ。俺より……誰より強いこと。ちゃんと戦力として考える。____よし!じゃ、コルマーに行くぞ!」


 __________


「スクーレたちに言わなくて良かったの?」


 イリスを飛び出した俺とムジナ。

 もうすぐコルマーだというところでムジナが質問を投げ掛けてきたのだ。


「レインが言ってくれると思うからな。……ほら、そろそろコルマーだぞ」


 コルマーの雰囲気は前とそんなに変わりはない。破壊と再生を繰り返す街としても有名だ。そこだけ聞くと生命力が強すぎる町として捉えられるだろう。

 ……住んでいる人のことを考えなければ、だが。


「コルマーなんて久しぶり!前はお兄ちゃんがすごい守ってくれてたんだけど、今回は自分の身は自分で守らないとね!」

「お前のコルマーのイメージは偏見だと思うけど……この辺りか」


 しばらく歩いていると、建物が増えてきた。

 路地裏が多く、落書きも多いし喧嘩も多い。むしろこの街では喧嘩も娯楽の一部と化しており、度々行われる街を上げての大会では、街の住民をも巻き込んだ大惨事になることも多い。

 しかし、また新たな旅人や、コルマーの街の便利さが気に入っている人たちによって毎回復興されている。

 なので破壊と再生の街なのである。


 ……そういや、スクーレたちはこういう路地裏でレインと出会ったって言ってたなぁ……。


「あ!あの人じゃないかな?」


 ムジナが肩を叩く。

 確かに見ない顔だ。いや、この街に訪れる人たちはみんな見ない顔だが。


「こんにちはー……」


 恐る恐る近づくと、怪しい黒っぽいフード付きコートを着た人物は、そのオレンジの瞳をこちらに向け、光らせた。


「……お前たちも地下に行きたいのか?……そうか……命知らずだな」


 俺が頷くと、その人物はポケットに手を突っ込んだ。声を聞いたところ、男性らしい。

 そしてポケットから何かを取り出した。


「何、それ?」

「いずれわかるだろう。地下に行くには……このビンの中を満たすといい。その材料は……どこにもないがな」

「は?!それってどう……いう……」


 俺が一歩踏み出すと、その男の姿はどこにもなかった。まるで最初から誰もいなかったかのように、だ。


「ねぇ、ヘラ。そのビン、ちょっとだけ入ってるよ?」

「え?……本当だ。キラキラしてて綺麗だな……」


 小さなビンの中をじっと見つめてみると、ギリギリ見える程度に虹色に光る粉のようなものが入っている。もしかしてこれが探すもの?


「これを一杯にするんでしょ?たっくさんいるね!」

「嫌なこと言うなよ……。まさか、このちょっとしか入っていないやつって、前行方不明になった人が入れたもの……じゃないかな?」

「そうかもね!……でも、こんなの見たことないよ?あの人もどこにもないって言ってたし」

「……とりあえず家に戻ろう。本のどこかにあるかもしれない。……目処がつくまでお休み、かな?」


 俺はポケットにビンを入れ、無くさないように入っているかを確認した。

 もし、研究できるならマリフかカリビアさんに渡したいが……それは叶わないだろう。ヘッジさんは今敵なのだから。


「ヘラ!家まで競争だ!テレポートは無しだよ?」

「遠くないか!?……でも負けないぞ!」


 ムジナがスケートリンクのように地面に氷の道を作る。俺はそれを溶かそうと、炎をばら撒いた。

 正反対の力。俺たちにはレインたち兄妹のようにハッピーエンドが待っているのだろうか?


 今が楽しければいい。

 俺の戦いは生まれたときから始まっていたんだ。最後まで辛くても、ムジナやレイン、お姉ちゃんやスクーレがいてくれたら……。


 だから、俺はそんな少し先の未来に向かって一歩踏み出すことにした。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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