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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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カリビア、アイザー、そしてヘラ

贈り物は丁寧に的確に……

第四十四話 お客さん




「……はーい」


 皆が座っている席の近く……先程レインが占領していた部屋の隅のすぐ横にある扉のドアノブに手をかける。木製なので湿気には細心の注意を払っている。

 そんな扉をギギギと開けた。


「この辺にいい釣りポイントはないかな?……なーんてな」


 特徴的な魚の尻尾、そしてそれに似合わない猫の耳を持ち、釣り道具を背負っている男……俺は見間違いかと思い、目を擦った。


「アイザー?!」

「ふぅん、なかなかいい家じゃないか。町の境の川、いい魚が釣れたんだ。食べるかい?ヘラ?」


 アイザーは家の外見を一瞥したあと、持っていた壺から魚を数匹出した。


「ま、待てよ!どうして俺の名前を……あっ」

「わかったようだね?そうだよ、カリビアに聞いたんだ。努力家の良い子だと聞いている。ついでに家の場所もね」

「情報提供も甚だしいな!?」

「怒るならカリビアに怒ってくれよ。ウチがここに来たのはカリビアに頼まれたからなんだ」

「は?どういうこと?」


 カリビアさんは自由になることを拒んだはずでは?


「カリビアはこっそりあるものを作ってたんだ。それを渡しに来た」


 そう言いながら袋から拳大のものを取り出した。

 カリビアさんが作ったとすれば、恐らくマジックアイテムだろう。


「それは?すごいゴツゴツしてて置きにくそうなんだけど」

「どこの誰に頼まれたかは知らないけど、何かの鍵らしい。まぁロクでもないものの鍵だろうけどな」


 手を出せ、とジェスチャーをされたが、俺は断った。……無理矢理手を掴まれて握らされたが。


「そんな鍵を俺に渡すなよ」

「まぁまぁ、ヘッジの弟のムジナではなく、お前を選んだんだから受け取ってやれよ。……カリビアはムジナにも警戒しているみたいだからな」

「ムジナも?……そうか……」


 魔王の参謀をやっていたのであれば、何かしら情報が行っているのではないかと思ったのだろう。

 俺も城での生活は知らないが、ムジナはそんな情報を渡すような奴ではない。だから心配は不要なのだが、この為だけにアイザーはこんな辺境の地にまで足を運んでくれたのだから秘密にしておこう。


「じゃ、確かに渡したからな」


 アイザーは俺に背を向け、ニヤ、と笑った。


「待って!」

「……ん?」


 俺はアイザーの腕を握っていた。

 どうしてかはわからない。でも、ここで引き止めないといけない気がして……。


「……」


 俺は俯いたまま、次の言葉が出てこなかった。


「な、何?言いたいことがあるなら言ってくれよ」

「……」

「……はぁ。一つだけ教えてやるよ」

「?」


 アイザーは俺の手を反対の手で握り返し、微笑んだ。


「ヘラ、ウチはいつでもヘラの味方。だから心配しなくても命は狙わない。恐らくノートはその鍵を狙ってくるだろう。でも、それを逆手に取って考えると、ノートはその鍵が大事だってこと。だから返り討ちに遭わせてやれ!」

「アイザー……あぁ!やり遂げてみせるよ」


 俺はアイザーに笑顔を見せた。


「なんだ、元気じゃん。……また、いつか会いに来るよ。ヘラ……」

「あ……」


 アイザーは少し悲しそうな顔をして去っていった。

 アイザーはカリビアさんのことをずっと心配していた。

 カリビアさんにはヘッジさんが敵に回ったというとてつもなく悲しい事実がある。


 敵の敵は味方。つまりアイザーは味方だと言いたかったのだろう。

 ……とりあえず家の中に入ろう。鍵は隠しておかなければ。ポケットの中に入らなそうだし、異界に廻貌と一緒にぶち込んでおこうっと。


「____ヘラ!誰だったの?」


 一番最初に気づき、近づいてきたのはお姉ちゃんだった。


「……アイザー」

「アイザー……アイザー?!彼、生きてたのね!よかったわ!」


 ツインテールを揺らし、目を輝かせて胸の前で手を合わせ、詰め寄るお姉ちゃん。

 そうか、お姉ちゃんはヘッジさんと同じような年齢層だから知っていたのか。


「アイザーのこと知ってたの?」

「えぇ。だって私たちの両親と同じ故郷なんだから」

「は?……はぁああっ?!」


 ____同じ……故郷?!ど、どういう……だってあいつは猫と魚がくっついた変な奴で……。


「昔よくウサギの女の子とアイザーと私で遊んでたのよ。実はあの町の人の一部が呪われているの。ウサギにはサメ。猫には魚。そして……私は呪われず、ドラゴンの呪いがかかったのはヘラ、あなただったの」

「な____」


 申し訳なさそうに言ったお姉ちゃんの表情は曇っていた。

 俺は何か言おうとしたが、うまく言葉に出来なかった。それでもなお、お姉ちゃんは話を続ける。


「あなたが生まれる前に町を離れたんだけど、私にかかるはずだった呪いがそのままの時間のままあなたに移った。だから成長した呪い……後天性に見えるドラゴンソウル、というようになったの。今まで黙っててごめんなさいね。ヘラ」

「……で、でも、ドラゴンソウルは先天性のものしか無いって____」

「先天性なのは先天性だったのよ。でも、なぜか私の中の呪いは発生せずに、呪いが燻ったままあなたのところに入っていったの!」

「……っ」


 正直、頭がついていかなかった。

 これがお姉ちゃんから渡った呪い?殺されたドラゴンの怨恨が募ってできた呪いが?じゃあやっぱりイレギュラーじゃないか。俺の強さはマリフの言った通り、偽りのものだというのか?

 そう言うと、お姉ちゃんは首を横に振った。


「でも、でもね、ヘラ。あなたが強くなったのはあなたが努力したおかげ。何も意味がないという訳じゃないわ。ムジナくんが生きていられているのも、リメルアを倒して人間を助けたのは誰?……あなたでしょう?」

「でも、リメルアに勝てたのはドラゴンソウルがあったから……」


 あの時、俺のドラゴンソウルは暴走した。でも、皇希たちの姿は見えていた。

 ……結果、皇希やリメルアに恨まれることになったのだが。


「それは間違いないわ。……廻貌っていうのはね、本当に強い人の前にしか現れないと聞いたの」

「廻貌が?あんなに口が悪いのに?言うこと聞かないのに?」

「それをどう解決するかはあなた次第よ。それが嫌なら……返してらっしゃいな」



次回最終話

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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