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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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デストロイヤー戦2

第四十話 化け物たちの輪舞曲-破-




「言ったな?返り討ちにされるのはそっちの方だろっ!」


『デストロイヤー』が何かを呟いた直後、左の『化け物さん』が動く。

『化け物さん』とオレがぶつかったときの衝撃波が後ろに行き、それをヘラが防ぐ。

 強化魔法を飛ばすムジナと大地の神を守るだけではなく、その後ろの方向にいるスクーレとキリルを守る役割も果たしている。


「……レイン、少しはやるようだな」

「当然。オレはお前らのお兄ちゃんだからな」


 だが、兄より弟などの方が強いという例は存在している。

 ムジナがそうだ。

 あいつはいつもニコニコして無邪気に振る舞っているが、実はとんでもない奴だ。


 ……これはサニーに聞いた話なのだが、ノートがムジナを狙っているらしい。

 なんでも、同じ力を持つ死神としてのようだが、その真偽はわからない。

 だが、ムジナが覚醒したのはノートが関わった直後だ。


 この話をしてしまうと、ヘラがどんな行動に出るのか、ということで嫌な予感しかしていない。だからしていないのだが……。

 あいつのことだ、命に変えても守るとか言い出しそう……。


「何ボーッとしてる!レイン、前見ろ!」

「へ?……うぉっ!!」


 ヘラの叫びで我に返った。

 ギリギリで避けたのはいいが、地面に大きな穴が開いた。しかし、深さはそれほどではない。そこが救いだろう。

 つまり、衝撃だけで破壊力はそれほど無いということだろう。


「あっぶねぇ……」

「よそ見するくらい余裕みたいだな。『デストロイヤー』、もうちょっと本気でやるか?」

「うん。お兄ちゃん、ワタシが勝ったら、ワタシに無いものをちょうだい?」

「無いもの?」


 急に条件を出されても、と言いたいところだが、お兄ちゃんとして成さねばならないこともあるだろう。

 ……見たところ、左目か?

 とんでもないこと言うなぁ……。


「ふん、お兄ちゃんのくせにかわいい妹が欲しいものがわからないのか?」

「……うるさい。……目、じゃないのか……」


 あとは縫ってる首を戻……いやいや、そんなえげつないことはさせないだろ。だってオレの妹(仮)だぞ?……ない、よな?

 あとは……。


「レイン、集中しろって!」

「くそっ、考える時間すらくれないのかっ!」


 再びヘラに助けられてしまった。

 しかし……本当に何なのだろうか?


「……斯くなる上は、これを使うしかないのか……」


 ポケットの中の硬い感触を確かめる。

 正直、どう使うのかはわからない。しかし使うのかどうかは自分次第だ。


「何か企んでるようだけど、どうする?『デストロイヤー』」

「関係ない。クレッシェンド」


 今度は明らかにポケットを狙った攻撃だ。さっきよりは遅くなっているが、勢いが激しい。やはりさっきから言っている言葉に秘密があるのだろうか……。


「……『デストロイヤー』、機嫌悪い?」

「そんなことない」

「やっぱ機嫌悪いじゃん……」


 攻撃しながら話す余裕だってあるようだ。……なぜか腹が立つ。


「レイン……もしかして、あいつらは……」

「何かわかったのか?」


 オレは逃げ惑い、しかめっ面しながらヘラに声をかけた。


「あぁ。……間違いなく、音楽用語を使ってる。クレッシェンドで確信に変わったよ」

「音楽ぅ?」

「そう。ちょくちょくオペラ用語が入ってるようだが……誰かが入れ知恵でもしたのか?」

「知らないよ、そんなこと……だけど、ありがとう。ヘラも『デストロイヤー』も何言ってるのかは全くわからないけど、ありがとう」

「わからないのかいっ!」


 ____わからない。はっきり言ってわからない。だが、これだけははっきり言える。


 オレより妹が賢くなってる……!!


「……ちっ、仕方ない。指示するから、お前は逃げろ!」

「さすが頭脳!」

「う、うるさい。ほら、来たぞ!」


 今度は右だけが来た。しかも、少しゆっくりだ。一体だけなら……やれるか?!


「こうなったら、これを使うしかない!……くらえっ!」


 ポケットからビンを取り出し……投げた。

 塩だ。塩なら少しは効いてくれるだろう。


「うわっ!?痛い痛い痛い!!!」

「レチタティーヴォ!?お兄ちゃん、何したの!?」


 レチタティーヴォと呼ばれた右の『化け物さん』。確か左はアリア……だったっけ?


「塩。塩を投げた」

「塩……!?」


 慌てる『デストロイヤー』。とにかく、レチタティーヴォは動けなくなった……か?


「海の塩だ。……って当たり前か。これで残りは一体だけだな!」


 オレが自信満々に叫ぶと、後ろの方から大地の神とムジナの話し声が聞こえた。


「あら、まさかあんな使い方するなんて思ってなかったわ」

「え?そうなの?」

「えぇ。試練のために作るだけ、もしくはお守りのためと思ってたけど……。まさか……ねぇ?」

「ま、調味料にしようとしても、あの海の物じゃ……なぁ……」


 ヘラも会話に入った。

 というか調味料にしようと思ったヘラもヘラだと思うが……。オレにはそんなことを考えている暇はない。

 今は『デストロイヤー』の取り巻きであるアリアを倒さねばならない。


「次はお前の番だ、アリア!」

「塩はもうないのにどうやって戦うっていうんだ?」

「……力業、だ!」

「つられないで、アリア」


 挑発して、アリアの暴走を狙ったが、そううまくはいかないようだ。


「くっ、そううまい話はないか」

「イレギュラーはいけない。全てレールの上の道を行かないといけないの」

「もっと柔軟な思考を持ってもらわないとな」


 オレはレイピアを握り直し、左手に力を込めた。魔法を込めた一撃なら、なんとかなると思ったからである。


「まずは風……だっ!」


 オレは思いっきり振るった。

 その勢いでつむじ風が舞い、アリアの方へ飛んでいく。

 大きく真っ黒な口を広げ、食べようとしたのだろうが、無理だと判断したアリアは避けようとした。


 そこに、オレは足を踏み込んだ。


「反応が____」

「突き……刺す!」


 風の抵抗など何のその、というように右手を勢いよく突き出す。

 間髪避けたアリアはオレに向かってニヤリと笑った。


 ……だから、オレは左手をポケットから出した。


「惜しかったな」

「いいや、とどめだ!」


 片手で持つのは結構キツいが、これはこれ、それはそれ。

 レイピアから手を離し、前に倒れる勢いを利用して、その鈍く輝く銃口をアリアに向け、狙いを定めた。


 固まらない決意を表すように、左上、右下と揺れる。

 サイトの向こうの景色には絶望しかないだろう。


 だが……オレが倒れるまでに、決意を固めねば。


「……ぁああああっ!!」


 ____バン!!!


 ……耳を貫く爆音がオレの目の前の黒い塊から発せられた。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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