デストロイヤー戦
第三十九話 激突『デストロイヤー』-序-
「ねー、こうしてても進まないし、行こうよ!」
ムジナが促す。
一体誰のせいで……。
「ムジナの言う通りだ。ほら、行くぞ」
我が意を得たりと話に乗るヘラ。
こ、こいつら……。
「銃を受け取ってもらって、機嫌良いわね」
「あはは……大地の神、あなたは人工のを見て不快に思わなかったんですか?」
大地の神とキリルは少し後ろの方で話している。確かに、気になるところだ。
……というか、キリルは悪魔のオレが銃を使うのかを試したいのか?
「思わないわ。それもいつか土に還るのでしょう?」
「お、おぉうっ?!ま、まぁ……多分そうじゃないでしょうか?」
たじろぐキリル。
もうほぼわかってないでしょ。
「……もしかしたら、一回爆発とか起こしたら『デストロイヤー』来るんじゃねぇのか?」
「おぉ、ヘラ、ナイス!」
何と言っても、エメス、でかいしね。
しかし、誰が爆発を起こすのだろうか……。やっぱりヘラ?
「……そんな目で俺を見るな」
「お願い!いや、お願いします!」
「うぅ……アピールするためには建物ひとつ壊した方がいいんじゃねぇのか?」
「どっちでもいいんじゃないかな~?」
「……うわ、大地の神のオーラが半端ない。やめとこう」
ヘラは渋々右手を上げ、力を込めた。
すると、彼の体から赤黒いオーラが滲み出てきた。
ドラゴンソウル。
死せしドラゴンの一方的な呪い。
「ヘラ、ドラゴンソウルは操れるようになったの?」
「……ちょっと……だけどね」
ムジナの言葉にヘラは少しだけ表情を緩める。
そして二人が話している間にキリルとスクーレを建物の影に隠す。
ヘラの年齢でドラゴンソウルは危険すぎる。だが、何度も暴走して、抑えて、使って……の繰り返しだと聞いた。
なので慣れているのかと聞かれれば、首を縦に振るだろう。
しかし、それは本当なのか、ただのやせ我慢なのかは定かではない。
「____行くよ!そーれっ!」
ドラゴンソウル保持者とは思えない掛け声を上げて炎を撒き散らすヘラ。
大地の神は「もう……しょうがない人ね」と、大木を生やし、炎を囲み、薪とした。
強すぎる二人の力が合わさり、みるみるうちにそれは巨大な火柱となってエメスを赤く照らした。
「あっつ!あっつぅ!!」
「ヘラ、やりすぎだよ」
いつもは赤いヘラの髪の毛は、ドラゴンソウルのときに黒くなる。そしてなぜかコートは破れ、手は異形と化していた。
バルディや大地の神も手が異形と化しているが、同じものかどうかは不明だ。
「あ……でも、来たみたいよ」
大地の神が木へと変化した手で示す。
その先には、上下オレンジ色をした、スカート姿の少女……『デストロイヤー』がいた。
やはり、左右の『化け物さん』は健在だ。
「お兄ちゃん」
「……久しぶり、だな」
ボタンの瞳が見つめてくる。
正直言って恐怖でしかない。
「早くやろう?この子達が急かしてくるの」
「『デストロイヤー』……オレは……」
オレ、まだ妹だと信じきれていない。
サニーさえ……サニーさえいれば、確立してくれるのだが……。
この不安定なオレの頭では、これだ、という答えが出せない。
しかし、不安定に不安定を重ねている今では____。
「きっと……きっとだけど、お前のことを思い出せるかもしれない」
「ふん……レイン、思い出す前に仕留めてやるから安心しろよ」
右の『化け物さん』が怖いことを言ってくる。
結構自信がないので、本当になりそうで恐ろしい。
「こ、こっちは秘密兵器があるからな!」
「後ろにいる人たちか?」
後ろにいる人たちというのは、大地の神、ムジナ、ヘラのことだ。
ヘラはわかるが、大地の神とムジナは何をするのだろうか……?
「……えっと……ヘラ以外は何するの……?」
「「応援しまーす!主にバフ係!」」
「息ピッタリだ!?てかもうちょっと頑張ってよ!ねぇ、ヘラ!」
ヘラの方を向いて同情を得ようとした……のだが、彼は苦笑いしている。めちゃくちゃ嫌な予感がする……。
「ちなみに俺はムジナの護衛だから」
「そっちかー!あー、お前、そういう奴だったなー!」
「やっべ!あいつらグダグダじゃねーか!うはっ」
大爆笑する右の『化け物さん』。笑うならちょっとくらいフォローに入ってくれたって……え?敵?ダメ?そんなー。
「そ、そっちこそ、戦略もなしに突っ込んでくるつもりだろ!?」
「それはどうかな?な、『デストロイヤー』?」
右の『化け物さん』は『デストロイヤー』に話しかける。だが、彼女は口の封印が解かれているにも拘わらず、口を閉ざしたままだ。
「……(それ、言ってると同じものだよという顔をしている)」
「……(あぁ、こいつわかってるなという顔をしている)」
後ろでヘラが「はぁー……」と言いながら腕を組んだ。オレ、何かやった?
「まぁまぁ、早く引き裂きたくて仕方ねぇんだ。レイン……墓の準備はできているか?」
「ふっ、お前らなんかに負けるかよ。兄ちゃんがしっかり魑魅魍魎のお前らを封印してやるから、覚悟しな!」
一瞬で取り出したレイピアを『デストロイヤー』に向ける。どちらが操るのかは不明だが、前の戦いぶりを見たところ、『デストロイヤー』が『化け物さん』に振り回されているようだ。なので『化け物さん』たちから狙えば____。
「レイン兄貴、どっち向いてんだ?」
「____なっ?!」
右の『化け物さん』の方に足を向けたそのときだった。
左の『化け物さん』が、オレの後ろに回り込んでいた。
「ごふっ!?」
溜まりに溜まりきったストレスを解放するように、思いっきり首を振り、オレの背中を攻撃した。
肺に入っていた息が漏れる。
それは、一瞬のことだった。
「ぎゃはは、驚いたか?いつも何も考えずに暴れてるだけだと思ってただろ?」
「正直、な。……やるじゃねぇか」
立て膝になったオレは、レイピアを杖代わりにして立ち上がった。
「アリア、カバレッタ」
「あいよっ」
間髪入れず、『デストロイヤー』が指示を投げる。
カバレッタ?アリア?何だそれ。
「うわっ、早っ!」
さっきとは比べ物にならないスピードで攻撃を仕掛けてきた左の『化け物さん』。
その……カバレッタとか関係があるのか……?
「カバレッタ……アリア……?」
ムジナを庇いながら呟くヘラ。何か共通点でも見つかったのだろうか?
「ちょ、ちょっ、ちょぉっ!?」
レイピアでなんとか弾いていたが、そう長くは持たずに一発、二発と食らってしまった。
「いてて……防御張ってくれ!」
「やってるよ。でも、精一杯なんだ」
後ろに向かって叫ぶが、もう実行しているという旨の答えが返ってきた。
やっていてもこの火力。やはり『化け物さん』は化け物だ。
「ユニゾン」
直後、右の『化け物さん』も動き出す。
左右同時なので慌てて呪いの剣も出したが、遅いとばかりに剣を弾き飛ばされてしまった。
「くは、よえーな。こんなやつが兄なんて、本当なのかよ?」
「言わせておけば……げほっ」
「本当のことを言って何が悪い?」
これには、反抗の言葉も思い浮かばなかった。
「言い負けてるじゃん……」
「ヘラも何か言ってやってよ!オレ、頑張ってるよね?!」
ヘラは「え~、そこ、俺にふる?」という顔をして、口を押さえながら目を逸らして言った。
「ま、まぁ、強いんじゃない……かな?少なくともスクーレよりかは」
「人間と比べられた!?」
「うわっはー、見え見えのお世辞きたー」
左の『化け物さん』が堪えられないというように、わざと煽る。
こいつら……こいつら……。
「えぇーい!こうなりゃ意地だ。見てろよ、ヘラ、そして『デストロイヤー』!お前らなんかオレの敵じゃないってこと、証明してやる!かかってこい、返り討ちにしてやる!」
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




