銃は人に向けないこと
第三十八話 ロシア
塩が入った瓶を仕舞い、ついにオレたちは『デストロイヤー』の元へと向かうことにした。
「……で?本当に今エメスにいるのかよ?」
「あぁ、確実にな。嫌な気配がビンビンしてる」
ナビゲーターを務めているヘラが顔をしかめた。
オレにはわかりっこないことを、楽々と感じ取るなんて、さすがインキュバス……いや、普通か?オレが弱いだけ?
「ほんと、前よりひどくなってるわ」
大地の神は目が閉じてて表情がわかりにくいが、もし目が開いていたらヘラと同じような表情をしているだろう。
彼女によると、オレたちが『デストロイヤー』のことを知るよりも前から知っていたようだ。しかし、神が易々と手を出せないので、オレたちが人間と戦い終わるのをじっと待っていたらしい。
「……なぁ、キリル、スクーレ」
「ん?」
「どうしたの?」
オレは後ろを向き、キリルとスクーレに声をかけた。
言いたいことは、警告だった。
「二人は隠れててくれ」
「どうしてだ?」
「そうよ、私たちは十分戦えるわ!」
「二人は『デストロイヤー』の強さを知ってるだろ?だったらなおさらだ」
ホテルにいたとき、スクーレは眠っていたが、キリルはオレと共に行動していた。というか助けられた身だ。
オレたちはどうにでもなるが、二人は人間だ。命を大切にしてほしい。
「……わかったよ」
「キリル?」
キリルは上着のポケットに手を突っ込んだ。
そして出した手の中には……。
「そ、それって……!キリル、それはお前が持ってろよ!」
「少しでも力になれば良いと思ってな」
「拳銃なんか、護身のためにあるようなもの!オレは受け取れないね」
拳銃を押し返す。
キリルは眉をひそめたかと思いきや、スクーレの腕を引っ張り……。
「えっ!?」
「なっ?!」
拳銃を頭に押し付けた。
「……こうしたら受け取ってくれるか?」
「キリル!いい加減にしろ!」
薄ら笑いを浮かべるキリル。こいつ、本気なのか?
「……ロシアンルーレット、知ってるか?祖国……ロシア発祥だと言われているデスゲームだ」
「し、知らないよ……」
「ま、そうだろうな。ロシアも知らないだろう?」
そう言ってスクーレに何かを耳打ちした。
「……キリル……」
「どうする?レイン」
相変わらずニヤニヤしているキリル。
どうする?って言われても……やることは一つしかないじゃないか。
この卑怯なキリルに一喝を____
「ま、待てよ!?そうだ、レインには呪術があったんだな……だが、撃とうとしたら、即、発砲するぞ?」
「何てやつだ……。……ったく、受け取りゃ良いんだろ?受け取りゃ!」
「なんだ、話がわかるじゃないか。しっかり活躍させてくれよ?」
スクーレを解放し、シリンダーに弾を入れられる状態にした。その手つきは相当慣れており、かなり落ち着いていた。
「おいで、レイン。ロシアンルーレットとはどういうものか見せてあげよう」
「んー?」
オレが隣に来たとき、キリルはおもむろに銃口をこちらに向けた。
「え……えぇっ!?」
「バン」
キリルが引き金を引く。思わずオレは反射的に目を閉じた。
……が、どこも痛くない。
「びっくりした?」
ニヤニヤしながら再び開けたシリンダーの中に弾を親指で詰め込んでいくキリル。
だが、そんなことを考えるほどオレの頭は混乱していた。
「し……」
「し?」
「心臓飛び出るわ!!うわーん!」
オレはヘラに泣きついた。
当然ヘラは驚いているが、そんなことはお構いなしにオレはヘラの体を離さない。
「れ、レイン……ちょっ、離れろよ……っ」
「やぁーだああああっ!あの人怖いーーーっ!!」
ヘラがため息をつく。
すると焼きもちを焼いたのか、ムジナが近づいてきた。
「えへへ、レインって泣き虫さんだねー」
「お前に言われたかねーよ!!!」
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




