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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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謎の多い人たち

第三十六話 海へ




 __________


「何か言ってた?」


 後ろにいたスクーレが声をかける。

 だが、オレは答えを言わなかった。


「何も」

「何も?……内緒なのね」

「ふふ、謎の多い男の子っていいじゃない」


 ラジコンカーを持ち上げようとして、キリルに止められた大地の神が微笑む。

 いや、その状態で微笑まれても。


「……とりあえず海に向かわないとな。ムジナ、歩けるか?」

「う、うん。なんとか」


 キリルに手を引かれたムジナがにへら、と笑う。まるで親のところに連れて行かれる前の迷子だ。


「よし!まずは海に行こうぜ!そして塩をゲットだ!」


 オレは意気揚々と拳をあげた。


 ここから海まではそう遠くはない。とりあえずアメル方面に向かわなければ。

 ……と、ムジナが肩を叩いてきた。


「道は知ってる?迷子にならない?」

「迷子みたいな表情の人に言われたくないよ」

「えー、そんな風に見えるのー?」


 ムジナは頬を膨らませる。

 本当に子供っぽいやつだ。

 こいつは自分の実力を理解しているのだろうか。


「見える見える。オレよりちっちゃいんだからさ」

「むむ……反論できない……。ね、ヘラぁ」

「なんでこっちに振るんだよ、知らねぇよ……」


 ムジナよりかは年上であろうヘラに振るが、首を横に振られた。もう二人とも子供でいいよ。オレもだけど。


「そういやどっちが先に誕生日が来るんだ?」


 キリルが質問を投げかけた。そういや知らないかもしれない。


「オレだよ。人間界でいう十一月十一日」

「俺は十二月十九日だな。意外だろ、俺の方が後なんだ」

「う、うん、本当に意外だな」


 オレも驚いた。ヘラの方が後だったなんて。それにしては精神が大人びているような……。

 そんなことを口に出すと、こんな返事が返ってきた。


「ヘラは修羅場を潜ってきてるからね」

「いや、おかしいだろ!」

「まぁ年齢とかは関係ないんだけどな。ムジナは死神だからループしてるだけかもしれないし、インキュバスの俺は、若く見えるだけかもしれない」


 そう言われても、呪術師のオレには理解できない。呪術師は一方通行、つまり人間と同じなのだから。


「そ、そうか……すごいな」

「ところで、海まではどうやって行くの?歩いて行けるの?」


 スクーレから純粋な質問が飛んできた。

 歩いて行けると思うんだが……。


「旅終わったんだし、ヘラのテレポートで飛ぶのダメー?」

「いやいや、知ってるところまでしか飛べないし、それにデ……キリルとかスクーレとか人間もいるし、大地の神もいるしさ……」


 ちら、と三人を見る。

 三人とも揃って「?」というような顔をしている。こいつら、楽しむ気満々だろ。


「大丈夫だ。スクーレはよく力に当てられてるみたいだし、オレも訓練してる。大地の神は……神だからいけるだろ」


 適当だな、おい。


 だが、間違ってはいない。

 キリルはリストと同等、いやそれ以上かもしれないし、スクーレは中にハレティが入っているかもしれない。本人は入ってると言っているようだが……。


 そして神は神だ。神本人もテレポートはよくやっているだろう。もし神の住まいが雲の上なら、いつも紐無しバンジーをしているだろう。危険極まりない。


「……本当に大丈夫なんだな?海の前辺りまでは連れていけるけど……。まず、海には特別な結界が____レイン、聞いてる?」


 結界云々の話はいいだろう。魔力のない軍が通れたのだから。なので、海の前辺りにまでテレポートしてもらおう。


「あぁ。じゃ、海の前まででよろしく!」

「わかった。手を繋いでくれ」


 ラジコンカーを地面に置いたまま、オレはスクーレと大地の神の手を左右に、その隣にヘラ、キリル、ムジナといった感じに輪になって並んだ。

 なぜオレが真ん中の方かというと、アダプターみたいな役割だから、と言われたからだ。


「三……二……一……!!」


 ヘラの声に合わせ、視界が歪む。耳鳴りがする。締め付けるように頭が痛くなってくる。

 はっきり言って……。


「ヤバすぎだろ!」

「うるさい。だから勧めなかったのに……」


 ……体は気持ち悪い。だが、確かに周りの景色が変わっている。テレポートには成功したのだろう。


「他の皆は大丈夫か?」

「えぇ。何ともないわ」

「レイン、何かあったのか?」

「どーしたの?」

「……どうやら負担がレインさんに全部行ってしまったみたいね」


 スクーレ、キリル、ムジナ、大地の神は五体満足のようだ。というか負担が全部来たってひどくねぇか?!


「どういうことなんだよ、ヘラ……」

「あ、あはは……。治してあげるから許して」


 そう言って両手に緑の光を湛えた。……のだが……。


「おい、インキュバスって治癒系は使えなかったはずだが?」

「最近使えるようになったんだ」

「は!?チート!改造厨!」

「何とでも言え。努力の末の結果だ。ほら、頭貸せ」

「うぅ、わかったよ」


 ヘラは自慢げに言う。その後、頭に手を乗せて治療を始めた。能力は折り紙付きだが、なんか悔しい気もする。


「ヘラは何でもできるよね。羨ましいなぁ」


 ムジナがニコニコ笑いながら口に出す。

 オレの治療が終わったヘラは、ツカツカと歩み寄り、両手でムジナの手を握った。


「ど、どうしたの?」

「いつも言ってるだろ?全てはお前のためだって」

「……うん……」


 ……一瞬、ムジナが嫌がっているように見えた。普通は礼を言うところなのだろうが、肯定しかしていない。

 となると、本当にムジナは嫌がっている……?!


「どうした?レイン。何か言いたそうだな」

「え゛っ……いや……」


 完全に思考が彼方に飛んでいたときに話しかけられても。

 だが、これは言わない方がいい。オレは首を横に振った。


「ふーん……じゃ、行くか。海はあっちだな」


 赤いコートに手を突っ込んだヘラは早足で海と思われる方向に歩き出した。

 静かに見守っていたスクーレたちも後を追い、最後に歩き出したキリルはオレに何か言おうとしたが、前を向いて追いかけた。

 残ったのはオレだけだ。


 ____何かおかしい。


 違和感を感じる。どうしてヘラは海の方向を知っているんだ?それに、テレポートを一度試したことのある言い方だった。


 なぜ結界があるとわかったんだろう。

 テレポートの仕組みはよくわかっていない。が、ある程度のサーチができるのだろう。


 あと、執念にも思えるムジナの護衛。

 本当、謎の多い男だ。


 ……ムジナを気にしているのはノートも同じ。まさか……いや、そんなこと、あるはずがない。


 とりあえず、追いかけよう。

 話はそれからだ。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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