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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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夢の終わり

私が眠いので今晩はここまで!

次回は10月30日午前10時すぎくらいを目標とします。単発で見ている方、順を追って見てくれている方、わざわざホームまで行っていただいてシリーズ初期から見てくれている方、Twitterを探してくれている方……失踪はしません、お待ちください!!

第三十三話 ロスト




 __________


「____ト……リスト!」

「____師匠!」

「ダメ……魔力が空っぽだよ……!」

「うーん、これはボクの発明品でも難しいな……」


 目を少し開けると、皆が取り囲むように覗き込んでいた。

 やはり黒池に連絡は届いていないのか、彼の姿はない。


「あ!起きた!大丈夫?リスト」


 真っ先に気づいたのはムジナだ。


「あ、あぁ。……最後の方聞こえていたよ」

「じゃ、じゃあ……」


 ムジナが申し訳なさそうに目を逸らした。周りの皆も口をつぐむ。


「オレはもう魔法を使えないんだな」

「……ごめんなさい。オレの力不足で……」

「いいんだ。……やることはやったのか?」


 やることというのは、ムジナが薬を取りに行ったり、レインを連れてくることだ。しかしレインの姿はない。


「薬は取ってきたよ。でもどうやらレインは移動を続けてるみたいで、見つからなかったんだ」


 ……まぁ薬を取ってきてなかったら、死神の力を使ってオレの魔力を調べることはできないからな……。


「そっか……」


 皆が手がかりを無くし、落胆したその時だった。


「あ、そうだ」


 マリフが声をあげたのだ。


「マリフ、何か良い案でもあるのか?」

「この前作ったロボットを元に、魔界に飛んで手紙を渡すのさ。リスト、キミならレインに関係するものとかあるよね?」


 マリフが意気揚々と話す。彼女の言う通り、ポケットに手を突っ込むとレインに貰った手紙が出てきた。それを見たマリフは嬉しそうに頷く。


「結構結構!それなら十分さ!ちょっと貸してね……っと!」


 慣れた手つきでロボットを作っていく。元になったのは、牢屋に転がっていた様々な発明品のうちの一つだ。


「いつ見てもすごい早さだなぁ」


 ムジナも感嘆の声を漏らす。

 そしてみるみるうちにロボットができあがっていった。


「これをそこのワープホールにぶち込んでっと……いってらっしゃーい!」


 ラジコンカーのようなロボットは、ワープホールに吸い込まれていき、魔界へと飛んでいった。端から見るとシュールな光景だが、やっていることは世界を救うことだ。


「こんなのでいいのかよ……もっとさぁ、何かあっただろ」

「効率が一番だよ。あのロボットは音声機能も付いている。直接話すと良いさ……っと、おや。早速見つけたようだ。さっきの手紙のお陰で縁が結ばれて、近くにワープするようになっているからね」

「すごくトントン拍子で頭が追い付かないな……本当に何も知らなかったのかよ?」


 その言葉にマリフは目を逸らす。この人、いつも陽気なのに嘘つくときはわかりやすいんだな……。


「ま、黒池をカリビアの近くに送ったのは偶然じゃない。ボクの弟子のことだ、きっと勝つだろうと思ってのことだからね」

「嘘だろ」

「嘘だよ」

「おい」


 そんな会話をしつつ、マリフからトランシーバーを受け取った。


「……もしもし?」

『____……____……』


 ノイズだらけで何言っているのかわからない。だが、繋がっているのは確かだ。


「マリフ、ノイズは何とかならないのか?」

「え?ノイズ?うーん……これはどうかな?」



 マリフはどこから取り出したのかわからない工具でちょちょいと修理した。

 ……だいぶとマシになった気がする。


『____人間界に繋がっているのか?!応答してくれ!』


 渋い声が聞こえる。

 この声は、ノイズとトランシーバー越しでもわかる、あの人の声だ……!


「デス……デスなのか?」

『この声は……リストか?そういえばそっちに行ったって聞いたな……。あの話は本当だったのか____ってちょっと、押すな!……あー、レインがどうしても話したいって言ってる、代わるぞ!』


 ラジコンカーが蹴られたのか、ガシャン!という音と騒ぎ声も聞こえる。ともあれ、元気そうで良かった。


『もしもしっ、リスト!』

「レイン、元気そうでなによりだよ」

『うーん、今は大変な目に遭ってるんだけどね』


 たはは、と笑うレイン。

 ……今から呪いのアイテム送りますとか言おうとしていたんだが……。


「どんな?」

『『デストロイヤー』っていうのと戦うことになったんだ。それがオレの妹だって話さ』

「えっ?!」


『デストロイヤー』はトレジャーハンター界隈でも結構噂になっており、誰も行きたがらない海で一人、暮らしているそうだ。


 そんな『デストロイヤー』に狙われ、さらには親族だと言われたレインは一体何者なのだろうか。……まぁオレからすればただの阿呆なのだが。


『ほらー、みんなこんなにビックリするんだよー』


 後ろを向いたのか、声が遠ざかる。耳を澄ませると、スクーレが「そりゃそうじゃない」と呆れた声を出していた。


「とにかく、レイン。そっちに連絡を寄越したのは他でもない。お前の手をちょっと借りたいんだ」

『何するの?』

「呪いのアイテムの呪いを消してほしい」

『……はぁ?!』


 そりゃこんな反応をされるのはわかっていた。だが、事態は一刻を争う。砂漠がジャングルになるのが先か、それを阻止するのが先か。地球の命運はオレたちにかかっている。


「呪術師はお前しかいないんだ!」

『……わかったよ。そっちにそんなヤバイの置いとくわけにはいかないし』

「さっすがレイン!ありがとうな!早速送らせてもらうよ」


 後ろを向き、マリフに親指を立てる。

 彼女は頷き、ムジナに合図を送った。

 そんなムジナは死神の力を使ってオレの異界を開いた。


「もー、リストの異界、グッチャグチャ。掃除してよー」

「ごめんごめん。この際、もう開けないから全部出しちゃって良いよ。なに、少し前に戻るだけさ」


 ふふ、と微笑んだが、やはり少し寂しい。


 ____やっと近づけたというのに。


「あった!……どうしたの?リスト」

「え?何もないよ」

「そう?じゃ、貸して」


 ムジナはトランシーバーを手に取って、楽しそうにマイクテストした。


「あっあー。どーお?聞こえるー?」

『……ちょっと待て、どうしてムジナがそこにいるんだよ?』

「うぇ!?ヘラ!?」


 いつの間にかヘラに代わっていたのだろう。ムジナがひどく驚いた。


『大方家出でもしたんだろ』

「う、うん……」

『……無理に戻れとは言わないが……無事でよかった』


 少し離れて言ったのか、声が小さかった。


「えへへ、ありがと。ヘラ、レインと代わってくれる?そっちに送るから」

『わかった』


 その言葉にムジナは呪いのアイテムを手に取った。……重そうにしている。


『……代わりましたー、レインだぜー』

「今度こそ送るよ。さっきラジコンカーが出てきたとこで待っててね」

『おけー』


 しばらくして、ガサガサという音が聞こえてきた。


『おーおー、ワープホールだな。すげー』

「行くよー!それっ!あ、あとこのラジオもねー」


 ムジナがワープホールに投げ入れた。

 ……もうちょっと丁寧に扱ってほしいものだ。


『うわっ、あぶねっ!……あれ、この魔力ってさー』


 レインの訝しげな声のあと、ガサガサと音がした。誰かに話をするのだろうか。


『あ、私の魔力ですね。……もしかして、砂漠のあの人が隠したがっていた宝物でしょうか……?』

『うーん、ムジナ、これってどこで取ってきたの?』

「リストが取ってきたから代わるね」


 はい、と言ってグイグイ押し付ける。

 オレは何も言わずに受け取った。


「……もしもし。それはエジプトの砂漠で取ってきたんだ」

『……そうなのですね』

「……っ?!誰だ、お前!?」


 突然聞いたことのない声を耳にし、叫んだ。

 声の主は女の人だろう。もしかすると、さっきレインと話していた人かもしれない。


『あら、人に名前を聞くときは先にそちらからと、昔習わなかったのですか?』

「……めんどくせぇ。リストだよ。お前は?」

『大地の神です』

「……は?」

『大地の神です。名前はないです』


 ……なんだ、その吾輩は猫である。名前はまだ無いみたいな言い回しは。

 まずどうして魔界にいる神がそれ知ってるんだよ。

 ……って、神?大地の……神?!


「お、お前!」

『はい、何でしょう?』

「今、エジプトの砂漠はお前が願いを叶えたことによって大変なことになっているんだ。どうか、戻してくれないか?」

『……そうなのね』


 返事をした大地の神の声は低かった。だが、話し合いでなんとかなる、この神は話が通じる神だとオレは信じている。


『……確かに願いを叶えました。でも、それは神の恵みだとしたら?それをしたことによって喜んでいる人がいるとすれば?あなたはそれでも願いを消すとでも?』

「そ、それは……」


 確かに、考えてみればそうだ。

 地球を救おうとした人たちの仕事を肩代わりした。

 しかし、その下には大変なものを隠してあった。恐らく、願いを叶えようとした人は神の力で呪いを押さえつけようとしたのだろう。


『解除するのは簡単よ。試練を授けようにも、どうやらあなたには力が無いようね?なら……代償はどうしましょうか』


 代償、怖い言葉を言ってきた。

 ……もう何もないオレから何を取るつもりなのだろうか。


『……そうねぇ……では、ムジナさんをいただきましょ』

「えっ」

『そんなに構えるほどではないわ。ただ魔界に帰ってきてもらうだけ。魔力無いみたいだし、良いことずくめじゃない』


 そう言われればそうだ。この場にいる悪魔たちには、揃いも揃って魔力の少ない者ばかり。もう一度ワープホールを開けと言われたら無理だ。


 ……そして、これがムジナとの最後の別れ……かもしれない。

 そう思ったら悲しくなってきた。


 ……大嫌いな死神なのに。

 死神はオレにとっての仇なのに……。


「……少なくとも、オレは嫌だね」


 震える唇が紡いだ言葉がこれだ。

 いつかは帰らなければならない。だが、今じゃなくても……。


『代わりなんて、どうするの?』

「……それは____」


 オレが口を開いたその時、トランシーバーが手から離れた。


 ……盗んだ相手は、ムジナだった。


「行く!!行くから……リストを困らせないで!」


 トランシーバーに向かって叫ぶムジナ。

 ハウリングしてもおかしくないほどに。


「ムジナ!?」

『懸命な判断ね。……それでいい?レインさん』

「……ムジナがそれでいいなら……」


 レインの苦し紛れの声が聞こえる。

 ……オレにはムジナと地球、どちらかなんて選べやしない。

 オレは……オレはどっちも大切で……。




 ____剣一。町が襲われるのと、私が悪人に襲われるのと、どっちを助ける?




 ……オレはふと、面狐から言われた言葉を思い出した。あの時、オレはどっちもって言ったんだっけ……。あぁ、なぜ今となって面狐との思い出が頭によぎるんだ?




 ____お前は昔の事しか考えていない。未来を考えれば、どっちが賢明かわかるはずだ。




「……ムジナ」

「ん?」

「……行ってこい」

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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