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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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悲劇と踊る少女

第三話 夜中に出歩く少女



__________



「お兄ちゃんがいる予感がする……」


 ワタシは動かない口を無理矢理開き、言葉を発した。やればできる。それがポジティブというものだ。

 そんな言葉にワタシのリボンたち……二体の『化け物さん』はケタケタと笑いだした。


「ははは、預言者じゃあるまいし!ほんと面白いよ!」

「それにしてもここは人間の町か?最近の魔王はゆるゆるだなぁ」


 左右の化け物さんたちは笑い合う。

 この二匹、喧嘩したり仲良くなったりとにかく忙しい。テンションについていけない。


「あ、あんなとこにドラゴン飛んでるぞ!すげーなー!」

「マジ?!どこどこ?!」


 二体につられてワタシも空を見る。

 確かにゆっくりだが空飛ぶドラゴンが見えた。

 正確にはドラゴンのようなもの、だが。


「行っちゃったかぁ……。なぁ、早くぶっ壊しに行こうぜ!破壊が見たいんだ!」

「そうだそうだ!まずはこの町の人間を皆殺しだ!」


 再び二体は笑い出す。

 ワタシは心の中でため息をつき、町の中に入っていった。


 どこかのドアが開く。

 中の様子が少し見えた。

 ピンクの髪の女の子がいる。

 でも前にいる人間が邪魔だ。

 体が疼く。


 ____早く。早く早く早くはやくはやくハヤク!!


 獲物が見えればもう自我は無い。

 ワタシはその人間に近づいた。

 できるだけ殺気を抑えて。

 できるだけおしとやかに。


「あら、お人形みたいね。あなたも悪魔?こんなに遅くに危ないわよ」

「……お兄ちゃんはどこ?お兄ちゃん、お兄ちゃん……」


 ワタシはその人間の顔を見る。

 目の前の人間の顔はどんどん青ざめていった。


「ひっ……?!目が……ボタン?!しかも口が縫われて____」

「ぎゃははは!先にやっちまうぜ!」

「あ、ずりーよ!なぁ、『デストロイヤー』!次はこっちに回せよな、なぁ!」

「……ん」


 目の前に鮮やかな赤が広がる。

 自分より大きな人間は鮮血を飛び散らせて『化け物さん』の餌食になった。


「……もっともっとたくさん殺さなきゃ。お兄ちゃん……どこ?」


 ワタシが歩き出そうとしたその時、さっきの人間の悲鳴を聞きつけた野次馬たちがワラワラと出てきた。


「何だ何だ?」

「悪魔……悪魔だ!」

「どっか行け!」


 各々叫ぶ。

 やはり人間は悪魔のことが嫌いらしい。

 その中にはさっき見たピンクの髪の女の子がおろおろとしていた。


「ねぇ……みんな家に戻ってよ……!悪魔は悪くないわ!」

「いや、スクーレちゃん。悪魔は人殺しだ。そこを見てみろ!」

「……っ!!」


 スクーレ、と呼ばれた女の子は口を塞ぐ。すると家の奥から出てきた金髪の男の人がスクーレに話しかけた。


「……そういうことか。スクーレ、家に入ってろ。ここはオレがやる」

「で、でもっ……今は……」

「大丈夫。オレがあいつと戦えばみんなわかってくれるはずだ。いつだってそうだろう?」

「……無理はしないでね」


 スクーレは観念したのかその男の人と入れ違いに家に入っていった。

 そして人を掻き分け、前に出てきたその男の人をよく見ると、ワタシの表情は変わっていった。


「お兄ちゃん!」

「こいつが『デストロイヤー』の兄貴か?ぎゃははっ、サニーより弱そうだな!」

「……お兄ちゃん?まーた冗談を……」


 お兄ちゃん……レインお兄ちゃんは馬鹿にしたように笑う。

 ……そういえばなぜか口の封印が解かれている。なるほど、お兄ちゃんたちの近くだと解かれるのか。


「お兄ちゃんは記憶が無くなってるだけだよ。ねぇ……一緒に行こ?」


 ワタシが手を差し出し、一歩進んだその時だった。

 ワタシの方に一つの石が飛んできた。


「悪魔め!妙な企みをしているんだろ!さっさと出ていけ!」

「……っ!いってぇな!石投げんじゃねぇよ!」


 石と怒号はどんどん多くなっていく。

 それは当然のようにお兄ちゃんにも当たった。


「やめて!やめてよ、みんな!レインは何も悪くないわ!」

「スクーレちゃん、そいつらは悪魔だ!庇う理由なんて無いだろう!それとも何だ?スクーレちゃんも悪魔の味方か?そういえば悪魔を引き連れたのはスクーレちゃんだったよな!」

「きゃっ!?」


 スクーレにも石は飛ぶ。

 ワタシの片方しかない右目に彼女のすっかり怯えきった表情が焼きついた。


「ありゃあ、あの娘も敵対視されちまってるな。どうする?『デストロイヤー』。殺るついでに守っちまうか?」

「……そうするしかないみたい。お兄ちゃん」

「ん?何だ?」


 お兄ちゃんはスクーレに飛んでくる石を跳ね返しながら振り向いた。


「十分でいいから気絶してて」

「え?……ぁ……____」

「わ、ちょっ?!」


『化け物さん』に魂だけ飲み込まれたお兄ちゃんはスクーレの方に倒れ込み、彼女はひどく驚いた。


「……ごめんなさい、スクーレさん」


 ワタシはできるだけ大きくジャンプし、『化け物さん』たちに指示をした。

 すると二体は魚を食べるときより大きな口を開け、人間たちを払ったり食べたりして忙しなく動き回った。

 ワタシの意識が戻ったとき、そこは死屍累々とした町になっていた。


「……起きて、お兄ちゃん。お仕事終わったよ」

「ん、んー……まだ夜じゃん……」

「レイン兄貴、さっさと起きねーと食っちまうぞ」

「んー……んん?!」


 左の『化け物さん』は口についた血を舐め取りながらお兄ちゃんに近づく。ワタシは無言で押し返した。


「……スクーレさんはどうして寝てるの?」

「あぁ、途中飛んできた石に頭をぶつけたらしいぞ。しばらくしたら起きるだろ。多分」

「……よく見てたね……」


『化け物さん』にちゃんと戦ってたのかなと疑問を持ち始めたその時、お兄ちゃんが声を上げた。


「とにかくここを離れよう。死神たちが……ヘッジが来る。いろいろと面倒なことになりそうだからな」

「ヘッジ……死神王か。ま、『デストロイヤー』が動いているというだけであの男が動く理由になるだろう。どうする?ヘッジも殺るか?」

「やめてくれ。マジで」


 お兄ちゃんは頭を抱えながら言った。

 そしてワタシたちは死神が来る前にアメルを離れることにした。


「星空の下、駆けていく……風情があるのかないのか……はぁーあ……」

「お兄ちゃん、静かにして」

「はいはい。ただでさえお前を信用したという訳じゃないからちょっとは優しくしろよな」


 お兄ちゃんはスクーレ……さんを抱えてくれている。それだけでも大変助かる。


「カリビアのところに行こう!」


 お兄ちゃんが声を張り上げた瞬間だった。


「誰のところに行くって?」

「ゲッ……その声は……」


 前方から怒気混じりの声が聞こえた。

 その声にお兄ちゃんは身を強ばらせる。

 まさか……。


「どうして『デストロイヤー』といるのかな?レイン。詳しく聞かせてもらおうじゃないか」

「か、カリビア……これはちゃんとした理由があって……」

「さぁ、『デストロイヤー』を引き渡してもらおうか」


 カリビアは手を出す。

 あの人、勝手なことを……。


「……カリビア……」


 お兄ちゃんは明らかに困っている。

 でもワタシが前に出たら……。


「おやおやまぁまぁ!久しぶりに帰ってきたら早速喧嘩を目の当たりにするとはなぁ!」

「えっ?」

「誰こいつ」


 一斉に乱入者の方を見る。

 するとカリビアの様子がおかしいことに気づいた。


「あなたは……ヌタスさん……ですか?!」

「え?レタス?」

「ヌ、タ、ス、さ、ん!この人は魔王ライルのお兄さんだ」

「……はぁ?!」


 お兄ちゃんは信じられないという表情を浮かべる。

 ワタシも『化け物さん』だってそうだ。皆が驚いている。……気絶しているスクーレさんを除いて。


「久しぶりだなぁ、カリビア。軍はどうした?」

「……無くなりました」

「そうかそうか。お疲れ様。それで、喧嘩の続きはしないのかい?お兄さん、ヤル気満々なんだけどなぁ」


 緑の髪を揺らし、パァン!と拱手をする。なるほど、この人は武器を使わずに素手で戦うのか。


「ヌタスさんも参加するんですか?」

「なに、その嫌そうな顔。もしかして参加しない方がいい?」


 カリビアの横でケラケラと笑うヌタスと呼ばれた男。今なら逃げられるかもしれない。


「……行くよ、お兄ちゃん!」

「お、おう!」

「あ!待て!」


 カリビアが手を伸ばしたが、時すでに遅し。ワタシたちはアメルの外に出ていた。


「はぁ、はぁ……ここまで来ればいいだろ……」

「ありがとう、お兄ちゃん」


 ワタシは息も絶え絶えに座り込むお兄ちゃんに手を差し出した。……が、その手は払われてしまった。


「おい、兄貴、そりゃあないだろ。せっかく『デストロイヤー』が心配してくれてるんだからさ」

「うるせぇ。だからその兄貴とかお兄ちゃんとかやめてくれ。カリビアにお前と仲間だと勘違いされたんだから、あいつのところに戻れなくなっちまっただろ。しかもお前がアメルの人間を皆殺しにしたから逃げ場が無くなったじゃねぇか……。それにスクーレの故郷……なんだぞ」


 お兄ちゃんは暗い顔をしている。


 ……スクーレさんの……故郷……か。

 ワタシたちの故郷も皆殺された。それを忘れたい気持ちもある。お兄ちゃんは……。


「……そういやさっきのヌタスって奴?とんでもない強さのようだぜ?何というか……ゴリラだな、あの腕力」

「カリビアもたじたじになるほどだったもんな。それにどうして魔王の兄がここにいるのか……それも気になるし……」


『化け物さん』の言葉にお兄ちゃんはさらに暗い顔をする。

 とんでもない腕力だとすれば『化け物さん』はすぐに捕まって振り回されそう……。そうなればワタシだって無事ではない。どうにかしないと。


「そろそろ夜が明ける。とりあえずコルマーでホテルを取ろう」

「ちょっと遠くねぇか?」

「遠くても我慢しろ。あそこは善人でも悪人でも泊まれる、いわば無法地帯だからな」

どうも、グラニュー糖*です!


いつもバイト前にコンビニに行くんですが、珍しく牛乳(小さい縦長のパック)を買いました。後悔はしてないです。


みてみんに二枚ヘラの絵載せたから見てってね!

pixivにはいっぱいあるけどね!



では、また!

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