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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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ハッキング・ルッキング

第二十四話 猫の手も借りたい




「日本に、ですか?」

「あぁ、どうやってやるかは二人がよく知ってるはずだが?イリア、ムジナの心配をしすぎて脳ミソなまったか?」

「なまってないよ」


 師匠は僕の鞄を開け、パソコンを取り出した。そしてとあるファイルを開く。そこには今捕まっている犯罪者リストが入っている。


「……犯罪者の手も借りるのですか?」

「そうだ。今人間界にいて、さらには魔界と繋ぐことができる五体満足の人物……ここまで言ったらわかるだろう?」

「……まさか」


 僕の頭には、ずっと探していたあの女性の姿が浮かんだ。


「そうだ。マリフ・ハルビレン……あいつの頭脳を借りるとしようか」


 __________


「……いろいろトラブルが起きてるようだね?」

「何のつもりだ、マリフ」


 マリフが収容されている刑務所。そこにまた一人、男がやって来た。彼は手に封筒を持っている。

 今、マリフは部屋の外の自動販売機にもたれかかって不敵な笑みを浮かべている。


「上原、ちゃんとブログを更新してくれてボクは嬉しいよ」

「上や環境省やらの対応に困ってるがな」

「それはごめんって。でもおかげで黒池を導けている。先輩として本望だろう?」

「……まぁそうだがな」


 上原は封筒を開け、中から資料を取り出した。そこには写真が多数含まれていた。


「おや、それは?」

「黒池ちゃんからのレポートだ。この調査のことについて書かれている。それをコピーしたんだ」

「ふーん……で、読め、と?」


 手渡された封筒と資料たちを持ち、その紫の瞳を上原に向けた。


「驚くだろうな」

「もう読んだのかい?ネタバレ禁止だよ?」

「するわけないじゃないか。ネタバレはゲーム、映画、アニメの天敵だからな」

「へぇ、意外だ。堅苦しいドラマとか見てるものだと思ってたよ」

「ふっ、よく言われるよ」


 上原は少しだけ頬を緩めた。

 そしてマリフが読み始めて数分後。ヘラヘラしていた彼女の表情が変わった。


「何だい?これは。なぜムジナの記憶が壊れている?」

「不明だ。だが、あちらで何かがあったみたいだな」

「ふぅん……なるほどね。良いところに目をつけたじゃないか、あの子たち。ボクを使うなんてね」


 マリフは一通り言った後、無造作にゴーグルを装着した。


「また始まったのか。ほんと、信じられないな」

「……ちょっと黙っててくれる?これでも抑えるのに必死なんだ」

「はいはい。辛くなったら背中をさすってやるからな」

「はは、そりゃあ光栄だ……うぅっ」


 マリフはゴーグルの上から目元を押さえてしゃがみこんだ。


 ゴーグル越しでもわかる、目から流れる血。目を閉じたいのに閉じることができず、さらには見たくないものを見てしまう最悪な能力。異世界観測。パラレルワールドを見る力。


 ……しばらく経ち、マリフの息が整ってきた。ゴーグルを外し、目を擦る。手には決して少なくはない血が付着していた。


「医師に見てもらうか?」

「いや、いい。いつものことだ」


 マリフは下を向き、血の付いた手を払い、足早に歩き出した。


「……マリフ?」

「……しばらく一人にしてくれないか?最近、どんどん間隔が短くなってるんだ……体がいつまでもつかわからないよ……」


 マリフは上原に苦笑いを見せ、そのまま部屋に戻っていった。その後、上原も部署に戻っていった。


「……ふぅん、リスト、ねぇ。楽しみだよ」


ぼく(わたし)は画面から目を離した。


 ……ただ、誰かに会いたいだけ。ぼくは誰にも危害を加えない。エンターテイナーだからね。ぼくが楽しいと思えることの邪魔をするやつは、何人たりとも許さない。でも、手伝ってくれるなら善人でも悪人でもウェルカムさ。


 だから一つだけ手がかりを残しておくことにするよ。


 ____今、俺は刑務所のカメラを乗っ取って映像を見てたんだよ?


 __________


「……ヘラ!」


 私たちはアメルを出発し、東へ、東へと向かっていた。そしてついに極東のイリスに到着したのでヘラに挨拶することにしたのだ。


「あれ?どうしてこんなところに?」


 泉で釣りをしていたヘラが不思議そうな顔をした。なので事の経緯を話すと、彼は納得してくれた。


「……アメルでそんなことが、ねぇ……」

「そっちは何か変わったことは?」

「そうだな……カリビアさんが捕まった、とかかな」

「え?!何で?!」


 ____あのカリビアさんが捕まるなんて……!?あんな強い人が……!?


「……カリビアさんは敵だったんだ。ノート側の人だったんだ。だから……俺たちは、ノートの仲間を必死に匿ってたんだよ……!」


 ……言葉が出なかった。


「……ノートくんが?」


 隣で大地の神が口を開けて驚いている。

 どうして「くん」付けなのだろうか。


「知り合いなんですか?」

「……神の中でも有名なのよ。変な人とは思っていたんですけど……そう、ついに始めちゃったのね……」


 私の問いに大地の神はため息をついた。


「あ、あの、あなたは?」


 ヘラは大地の神を見て不可解だ、という顔をした。そういえば言ってなかったな……。


「私?私は……大地の神よ」

「……は?」

「だーかーらー、大地の神なの!」


 大地の神は頬を膨らませ、今度は信じられないという顔をしているヘラに詰め寄った。


「そ、それはわかった。でもどうしてここに?」

「レインさんの弟を助けるのを手伝ってるの。あ、でも『デストロイヤー』との戦いはあくまで見守るだけのつもりだけどね」


『デストロイヤー』という一言を聞いた途端、ヘラの表情が固くなった。


「『デストロイヤー』だと?危険だから外に出ないようにと言われているが……」

「あー、えっと……その、なぁ。ヘラ。その『デストロイヤー』って、もしかするとオレの妹かもしれないんだ」

「……何ぃっ?!」


 ヘラが驚くのも無理はない。

 レインは兄弟などいない!と豪語していたのに、サニーという弟がいる。

 ムジナだって弟はわかるけど、彼だけだよというような反応だった。

 妹なんて存在していたのかという話題すら無いはずが、あの子がレインのことをお兄ちゃんと呼んでいる。

 では、何がそうさせているのだろうか。


「それに、情報は流れてきてると思うが、左右の動くリボンが凶悪って話があるだろ?あいつらが血気盛んでな……。次は容赦しない、だとよ」


 左右の動くリボンというのは『化け物さん』のことだ。左と比べて右が騒がしい。サメラとヤーマイロのダブル吸血鬼であれば、左がサメラパターンかもしれない。


「死刑宣告みたいなものか……」

「そ、そんなこと言うなよ!」

「事実だろ」


 いつものように睨み合うレインとヘラ。私は慣れていたが、隣で大地の神はオロオロとしていた。


「と、止めないと……!」

「大丈夫ですよ。いつもこうなので」

「いつもこうじゃダメなんです!」


 ……と、そんな話をしていると、二人は睨み合うのをやめた。


「……はぁ。で?その……大地の神、だっけ?大地の神なら見てほしいものがあるんだが……」


 ヘラは釣り道具を片付け、イリスの森の奥にあるヘラの家に案内してくれた。

 ヘラは木造の家の裏手に回り、家より少し低い建物のドアを開けた。

 倉庫だろうか。中には鍛冶道具や剣、家に置き切れない本が積み重なっていた。

 しかし、普通ではないところが一つ……。


「なんで穴開いてんの」


 私とレインと大地の神は一斉に、とても明るくなった天井に顔を向けた。


「こいつのせいだよ」


 ヘラは真横に開けた異界からズルリ、と黒い剣を取り出した。

 それを見たレインは驚いた顔をした。


「あー!お前!?」

「む?誰だと思えばあの時の弱っちぃ奴か」


 黒い剣はひとりでにクルンと回り、レインに切っ先を向けた。それをヘラは慌てて掴んだ。


「挑発はやめろ、廻貌(エガタ)

「廻貌……あの廻貌なの?」


 大地の神は廻貌と呼ばれた剣をまじまじと見る。


「……大地の神か」

「ふふ、知ってもらえてるだなんて光栄ですわ。……それで、どうなの?あっち(地下)は」

「……知らぬ間に襲撃を受けたみたいでわかってない。お前こそ、大地の神なんだから大地についてわかるだろ?」

「わかるわけないですよ。神は地下に手を出せないんですから」


 ____神は地下に手を出せない?それって、とんでもない無法地帯じゃ……?


「おいおい、なんで手を出せないんだよ」


 レインは腰に手を当てて前屈みで聞いた。


「ザコのくせに生意気な……。いいだろう、教えてやろうぜ、大地の神さんよ」

「うーん、そうですね。基本的に、神の力は距離とか関係無いんです。ですが、地下は違うんです。あらゆる世界が合体した幻想の地……そしてそれを守る幾重にも重なった結界。そのせいで神の力という概念は分散され、地下に届く前に消えてしまうんです」

「ふーん、わからん」

「……脳ミソまでザコだったとはな」

「うるせぇ!つまり神が弱いってことだろ?」


 ここまで言い切ったあと、レインはハッと我に返り、大地の神の方を見た。だが、彼女は怒ってはいなかった。


「……弱いのは否定できませんね。地下は神でも悪魔でもない、妖怪の力が強いんですから」

「でも、霊界は……ハレティは力を失って……」

「____霊界が力を失って、妖怪が暴走したんです」


 私の問いに大地の神は真剣な眼差しで答えた。


「どういうこと?霊界から力を受け取れなくなって、衰弱するはずじゃ……!」

「それは幽霊だけ。妖怪は入ってないの。だから悪魔より強力な妖怪は、地下のパワーバランスを一気に崩してから地下を守る柱であった廻貌を追い出したのよ。廻貌の前所持者の魂を剣に封印して、ね」


 大地の神の言葉に全員が一斉に廻貌に視線を向けたが、結局廻貌は沈黙を貫いたままだった。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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