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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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黒池の頼み

第二十二話 うまくいかないのが人生




 尋問?を続けて二時間ほど。フローラとウィルは満足したのか、二人でパズルをやっていた。

 そんな二人を置いて俺はヘッジさんに謝っていた。


「すいません、二人がこんなことしてしまって……」

「いいんだ。もし二人がやってくれなかったら俺はヌタスさんが怖くて言えなかった」


 ヘッジさんは弱々しく笑った。


「そうですか。結果オーライってやつですね。……あ、そういえば電話は出ないんですか?」

「出るよ。というかこっちから掛けようか。……ありゃ、黒池からだ」

「俺も聞きたいです」

「いいよ」


 ヘッジさんはスピーカーモードにして電話を掛けた。二十秒ほど経つと、一定の機械音が『プルルルルッ』とせわしない音に変わった。電話が繋がったのだ。


「もしもし、俺だけど。そうそう、ヘッジだ」

『ヘッジさん!あの、お願いがありまして……』

「ん?」

『レインをこっちに送ってもらいたいのですが……』


 皇希が言い終わる前に俺は口を開いた。


「もしもし、皇希。俺もいるぞ」

『その声は……ヘラ?!なんで一緒にいるんですか!?』

「いいから。どうしてレインを?あいつは今スクーレのところに行ってるはずだが?」


 この情報については、ヌタスさんと一緒にいたらしいカリビアからの情報だ。それをヌタスさんはヘッジさんに教えたらしい。


『スクーレさんのところに?何かまた旅でも?』

「そうじゃない?」

「とにかく黒池、俺は今お前に協力できない」

『え?!』


 皇希が驚くのも無理はない。なぜなら俺も驚いているからだ。流れ的に協力するって言いそうだったのに……なぜ?


「今、俺やカリビアはレインと敵対している。理由は教えられないが……そういうことだ、諦めな」

『ちょっと待って!敵対ですか!?あんなに仲良かったのに?!』

「勘違いするな、俺は仲が悪かったし、カリビアとはただの師弟関係(ライバル)だ。だから敵対って関係が一番合ってるんだよ。黒池」


 そう言って皇希の返事も待たずに電話を切ってしまった。言葉では冷たくしていたが、こちらから見えるヘッジさんは悲しみに耐える顔をしていた。


「……ヘッジさん」

「ヘラ。……帰って召喚術を始めなさい。それでレインを送り込めばいい」

「……俺にはできません。……それにもう、人間界には手を出せないかもしれない……」


 俺は部屋にある召喚のための本を思い出した。あれはまだ改良中だ。それに、あれを便利アイテムとして頼り続けるのは本意ではない。


「まだ気にしているのか?マリフのことを」

「……俺は俺です。強くなり続けるのは生きる者の性です。気にしてはいません」


 あの人は「もう強くならない。俺よりムジナの方が強い」と断言した。そんなことは承知している。新しいあの水蒸気の力を見たその時、もう俺は置いていかれたんだと思ったからだ。


「そうか……。じゃあ俺は帰らせてもらうよ。黒池の問題がどうなるか楽しみだな」


 この言葉を最後に、ヘッジさんは右手を胸元辺りにまで上げ、黒い穴を作り出した。そしてそこに入ってしまった。


「……皇希……」


 __________


「どうだったんだ?」


 僕が電話を切り、師匠が声をかけた。


「はぁ……僕の表情を見てわかりませんか?」

「いや、人間が嫌いだからわかんねーな」

「師匠、ここぞって時に人間嫌いアピールしないでください」


 師匠は「ふっ」と笑い、僕のパソコンを再び見た。

 問題の先輩のサイトはブックマークしている。いつでも動向を探ることができる。

 それにしても、誰を頼ろうか……。


 ____カチッ……ジャーン!


 クラシックが流れてきた。これはメール用の音楽だ。通知もクラシックがなのだが、別の曲だ。そして電話だけは普通の通知音だ。

 ……ちなみに僕はシューベルトが好きです。


「メールですね……イリアくん?」

「イリアか?!マジで?!」


 師匠はイリアくんの名前を聞きつけたと同時にパソコンを勢いよくボン!と閉じ、飛びついてきた。表現ではなく、リアルに、だ。


「わっ、とと!師匠!?」

「内容は何だ?」

「えーと……『エジプトでの仕事は終わりましたか?終わり次第、アメリカに来てください』……アメリカ?てかなんでエジプトって……」

「上原のブログだろうな」

「……納得したくなかったです」


 僕は師匠から目線を変え、再び端末に目を落とした。

 エジプトの仕事は終わった。あとは明日に備え、荷物を纏めていたところだ。

 アメリカに行くとすれば、カイロからニューヨークだろう。


「まぁ日本から離れて仕事をしているって知って会いたくなったんじゃないか?」

「ふふっ、それは師匠じゃないですか?」

「う、うるさい!」


 師匠は顔を赤くして僕の背中から降りた。

 師匠はあの一件からずっとイリアくんのことを心配しているらしい。

 石は投げられていないか、いじめられていないか、健康で怪我もせずに暮らせているか、などよく聞いてくる。僕はそんなことわかりっこないが、あの子の事だ、大丈夫ですよ!といつも言っている。


「じゃあ明日は予定変更してアメリカに行きましょうか!」

「よっしゃぁ!イリアのためにもお土産買っていこうぜ!」

「あはは、自分のものは買う前提なんですね」


 僕は部屋を飛び出した師匠を追い、いつも着ている濃い青紫のコートを羽織った。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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