悪魔、刺される
第二十一話 事件発生
砂漠から戻ってきた僕たちはホテルの部屋に戻り、シャワーを浴びたりご飯を食べたりしてから再びヘッジさんに連絡を入れることにした。
師匠はベッドに寝転んでこちらを見ながら、もらったお菓子を食べている。
そして一つ食べ終わったと思いきや、次は僕の鞄からパソコンを取り出した。まぁ師匠にはパスワードも教えているし、少しでも現代の事について知ってもらいたいので問題視していない。いわゆる『お勉強タイム』だ。
「うーん……やっぱり繋がらないですねぇ」
「……んなっ!?黒池!見てくれ!」
ベッドの上から僕の服を引っ張ってきた。僕は不機嫌そうに答える。
「何ですか?今電話して……」
「このサイト、見てくれよ!」
師匠が指しているのは、同じ刑事の上原先輩のサイト……僕たちがエジプトに行く原因を作った人のサイトだ。
インターネットのタブにはSNSも書かれており、恐らく先輩の投稿のリンクを押したのだろう。
「これは……ちょっと貸してください」
僕はSNSのタブに戻り、投稿を見た。
『後輩とそのパートナー、エジプト行ったんだがwまぁ言ったの俺だけどなw乙www』
……僕は呆れて言葉も出なかった。
「そこのリンク押したんだぜ」
「そ、そうでしょうね……先輩はいつも投稿にブログのリンクと写真載せますからね……って、バズってるじゃないですか!」
いいねが千を超えていた。しかも、世界的に問題になるであろう環境問題なのでリプライには、まとめサイトやニュースの公式アカウントからもメッセージが入っていた。
写真を見ると、草木が生い茂る砂漠が写っている。その中には師匠が写っていて……え?
「なんで師匠が?!」
「まさか……鞄にカメラが?」
師匠がベッドから飛び降り、僕の鞄を乱雑に開けた。その後間もなくカメラが見つかった。
「……師匠」
「わかってる。何を言いたいのか、オレにはわかるぞ」
「日本に帰ったら、先輩を締め上げましょっか」
__________
『次のニュースです。現在、エジプトの砂漠にて異常なことが起きています。安全のため、エジプト行きの飛行機は全て止まっており、旅行中の方においては順次、日本に帰国してもらうと発表されました。現在警察が解決に当たっています。次のニュースです____』
手元にあるリモコンの赤いスイッチを押す。ブツンという音と共にニュース番組を放送していたテレビの画面が黒くなった。
オレはため息をつく。どこもかしこもこのニュースだ。
「ムジナ、学校お疲れ様。楽しかった?」
イリアがフライドポテトを盛った皿を持ってやって来た。それを目の前の丸い机に置く。イリアはポテトを一本取り、ニコっと笑った。
「うん。楽しかったよ。また行きたいな」
オレは上ずった声で答えた。何せ、オレの正体を知らない人間たちが珍しいオレの目を見て「カラコン?!」やら「イリアと同じで小さいな!」など寄って集って質問責めに合ったりしたのでフラフラになったからだ。それを思い出し、そんな声が出てしまった。
____ピンポーン!
突然チャイムが鳴った。こんなご飯時に誰なのだろうか。オレとイリアはドアスコープを覗いた。
そこには今日質問責めしてきたうちの一人だった。
「どうしたんですか?」
イリアがドアを開け、やって来た男子生徒に声をかけた。しかし彼は下を向いたまま何も話さない。
「あの……」
「うぁああああああっ!!」
……お腹に鋭い痛みが走った。
体から熱いものが流れる感覚がある。
軽く「ぐふっ」と声が出た。
……これは一体……。
「ムジナ!!……お前っ……!」
イリアはオレの名前を呼んだあと、男子生徒を睨んだ。そして手を出してしまい、すぐに取っ組み合いになってしまった。
近くを歩いていた人が悲鳴を上げる。
そこでオレの視界は真っ暗になってしまった。
……どれくらい経ったのか。
目を覚ますと、オレは天井が白い部屋……簡単に言うと病院にいた。
____そうか、オレ、倒れて……。あの時刺されたのか?
声が出せないので、代わりに思考を巡らせた。
まだ視界に霞がかかっているが、だいぶ回復したのだろう。
「あ、起きた!ムジナ、わかる?」
イリアが目に涙を浮かばせて抱きついた。
「……っ!」
「あぁっ、痛かった?ごめんね」
急いで手を離したイリアは申し訳なさそうにしている。そしてキョロキョロと誰もいないことを確認し、オレに耳打ちした。
「何も言えないならそれでいい。でもこれだけは聞いてほしい」
「?」
「ムジナを刺したあの人の家系は、代々エクソシストをやっているんだ。だからムジナが死神だってことがバレちゃったらしいんだ。でも、あの人はあまり信用されてないらしくて、あのあと警察に何度も『ムジナは死神だ』って言ってるけど、誰も信じないんだ」
……エクソシスト、か。確か悪魔払いだっけ?それならオレに怪我を負わすことは可能だ。聖水やら何やらの加護を受けた物ならダメージは大きい。
「……あれ?ムジナ眠いの?」
いつのまにかオレはうとうとしていたようだ。イリアはベッドの掛け布団を引き上げ、オレに掛けてくれた。
刺されたお腹には包帯が巻かれており、動けないからだ。
……しばらくお世話になろうかな。
オレはイリアの優しげな顔を最後に、再び眠りについた。
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




