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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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悪魔、大学に行くかもしれない

第十七話 人間界の学校




「おはよぉ……」


 大きな欠伸をし、リビングにやって来たのはイリアだ。

 オレは「おはよ」と返し、湯気が立つコーヒーを注ぎ、イリアの前に置いた。


「ありがと、ムジナさん。未だにムジナさんがここにいることが信じられないよ」

「あはは、オレも。まさかまたイリアに会えるとは思ってなかったよ」


 オレはコーヒーにミルクを注ぎながら笑った。


「ムジナさんはのんびりでいいよなぁ。あと十分くらいしたら出ないと」

「もうそんな時間かい?早いね。前は遅かったのに」

「魔界とは違ってアメリカは早いんだ。どうせ夜からじゃないの?」

「む、学校なんてねぇんだよ」


 ……と言っておきながら目を逸らした。

 本当はあるんだけど……シフの話を掘り返すのはまずい。まずオレが悲しみに耐えきれない。


「シフさんが行ってたんじゃなかったの?」

「んんん?!ななな、何で唐突にそんな話が出るのかなぁ?!」


 オレは思いっきり体をびくんと跳ねさせた。……マジでそういうのやめてくれ。


「え、違うの?」


 一方、イリアは純粋な眼差しでこちらを見てくる。……くそぅ、嘘はつけないじゃないか。


「……チッ。あぁ、そうだよ。霊界の塔があるところに学校はあったんだよ。そこにシフを通わせていたんだ。楽しそうだったよ」

「……ムジナさんは?」

「え?」

「学校行ったことないの?」

「あるわけないだろ」

「そう……なんだ」


 イリアはまだ湯気が立つコーヒーに目を落とした。彼が何を思っているのかはわからない。だが、憐れんでいるのは確かだろう。


「ならさ、一緒に行く?」

「……はい?」


 予想外の言葉が飛んできた。

 オレが……人間界の大学に?


「だーかーら!ムジナさんも一緒に行くの!」

「で、でも……」


 オレが尻込みしていると、扉が開く音がした。その方向を見ると、ベアリムでもない、長い茶髪の女の人が立っていた。


「あら、イリア、お友達かしら?」

「お、お母さん……帰ってきたなら電話してって言ってるのに……」


 イリアの言葉に彼女は微笑んだ。

 ……これが理想の親子……。


「そうだったわね。……それで、学校に行くって聞いたんだけど……あなたも?」

「えっ、オレはまだ決まったわけじゃ……」

「ふふ、何事も経験が大事よ。理事長に連絡しとくから、行ってみなさい。楽しいわよ」


 そう言って彼女は携帯を片手に部屋を出ていってしまった。


「理事長?」

「お母さんってば、理事長の友達なんだ。だから入れたってのもあるけど……行く?」


 イリアはオレの目を見て言う。

 ……理事長とか反則だろ!


「……こ、ここまでされちゃ、行くしかないだろ」

「やったぁ!」


 嬉しそうな顔をし、テーブルを回ってピョンっと抱きついてきた。

 人間好きなオレにそんな事をされてはたまらない。オレはイリアの頭を優しく撫で、抱き返した。


 __________


「『砂舞いし……大地を焼くのは……砂漠かな』……うーむ」

「何やってるんですか、師匠。下手な俳句はやめてください」

「何やってるかわかってるじゃねぇか」


 そう言って紙をグシャグシャにしてゴミ箱にぶち込んだのは、僕の師匠であるリスト……いや、今は『獅子ヶ鬼剣一』と名乗っている。というかこっちが本名らしい。


「下手なのは否定しないんですね……」

「ふん、俳句なんてもんは考えるな、感じろってやつだぞ。いわゆる暇潰しだな」

「季語もクソもない俳句でしたもんね」


 僕はゴミ箱にぶち込まれた紙を見ながら苦笑いした。


「それよりお前、調査するところの目処は立っているのか?」

「えぇ、もうバッチリと。それに、残念ながらネットで話題になってしまっていますよ」

「……オカルト好きな奴らが騒ぎ立ててるだけだろ?政治と違って、自然界で起こってるものは隠蔽のしようがないからな」


 師匠はこのホテルのテレビのリモコンを手に取り、スイッチを押した。すぐに電源が付き、エジプトのローカル番組が始まった。現地の言葉なので全くわからない。


「師匠、明日早いんですから夜更かしはダメですよ」

「わかってる。日本じゃないところは珍しいからな。そうだ、ロシアに行ったことあるんだって?」

「少しだけでしたけどね。……僕はもうお風呂に入ってきますから、師匠も早く入ってきてくださいよ」

「はーい」


 ソファーに寝転がる師匠。

 入ってくる気は本当にあるのだろうか。


「……エメスといい、クノリティアといい……魔界は警備がザルだな。だが、これは黒池にとっていい経験になるはずだ。……恐らくな」


 そう小さく呟いた師匠の呟きは、ローカル番組のタレントの声に掻き消された。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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