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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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中二病現る

第十六話 遅すぎた救世主




「あぁ、どこにある?我が純白の翼よ……」


 この『メフケケ』という森しかない地域で一人、真っ黒な服を着た男が嘆いていた。


 彼の名はクロウ・エボニー。

 いつも片方の翼を紛失し、探し続けているかわいそうな男だ。

 ちなみに二重人格である。今のように翼を探している間は「黒」の方だ。


「きっとこの『星の森』に流れ星の如く舞い降りたに違いない!」

「何またブツブツ言ってるんだよ、クロウ」


 ワタシは右の『化け物さん』に引っ張られ、クロウの方へと歩いた。

 彼はワタシに気付き、笑った。


「おぉ、『デストロイヤー』か。お兄さんに会えたのか?」

「あぁ。一緒に泊まったんだ」

「随分仲良くなったんだな」

「いや、俺らが街の人間共を皆殺しにした時に一緒にいたんだ。な、『デストロイヤー』」

「……ん」


 比較的活発な右の『化け物さん』の言葉にワタシは頷いた。

 それを見てクロウは不満そうな顔をした。


「……そういやお前らに名前は無いのか?左右別々に命令した方がやり易いと思うんだけど……」


 そう言って『化け物さん』たちとクロウはこちらを見る。

 確かに言う通りだ。でも……。


「なぁ、『デストロイヤー』。キミの本当の名前は何だい?」


 クロウが神妙な顔でこちらを見る。

 クロウとは長い付き合いだ。だが、本名を明かしたことはない。なぜなら本名が無いのだから。


「……言いたくなかったら言わなくてもいいんだよ」

「……ん」


 クロウは諦めたのか、優しい顔をしてワタシの頭を撫でた。


「なぁ、『デストロイヤー』。俺らの名前、決めちゃおうぜ!面白そうじゃねぇか」


 右の『化け物さん』は楽しそうに言った。だが、クロウは良い顔をしなかった。


「あのな、面白半分で決めることじゃないんだぞ。でも……決めた方がいい」

「……ん」


 ワタシは頷き、木の枝を一本へし折り、地面に書き始めた。


「えーっと、どれどれ?左が『アリア』で、右が『レチタティーヴォ』……右長いな」


 クロウは覗き込んでから苦笑いした。

 そしてワタシは書き続ける。


『正反対だから』


 活発な右と、それよりかは大人しい左。ワタシはこの言葉がぴったりだと思った。


「まぁいいんじゃねぇの?改めてよろしくな、アリア、レチタティーヴォ」

「良くねぇよ!精々『レチタ』とかでいいから!」

「ははは。じゃあレチタだな」


 クロウは笑いながらレチタをベシベシ叩いている。この二体とワタシは繋がっているので、勢いで倒れそうになった。


「あ、ごめん」

「……んー」

「……口は閉じてても頬は膨らませられるんだな……」


 そしてクロウはその言葉を最後に黙々と翼探しを再開した。

 ワタシはそんなクロウを見て何を思ったのか、翼探しの手伝いをし始めた。


「おっ?手伝ってくれるのか?優しいところあるんだな」

「『デストロイヤー』は元から優しいぞ。動きを止めてるのは俺らだ」

「そ、そうなんだ……」


 レチタが目を細めて言った。

 元々両手を縛られ、動けなかったワタシを解放してくれたのはこの二体だ。だが、その縛っていたものを制御するようになったので、ワタシがどうやって手を動かすのかは二体に委ねられたということになる。


「……?」


 草木を掻き分けていると、フワフワしたものが手に触れた。何だろう?と思って引っ張ってみると、それは真っ白な天使の翼……つまりクロウの翼だった。……こんな感じに落ちてるんだ……。


「あったみたいだぞ、クロウ!」


 あまり口を開かないアリアがよく通る声でクロウを呼んだ。

 レチタは喋りまくるが、ただうるさいだけ。しかしアリアはあまり喋らないが、遠くまで通る声をしているのだ。


「本当か!?」


 クロウは走ってこっちまでやってきて、ワタシから翼を受け取った。じっくり見たあと、翼を背中に当てた。

 するとどうだろう、クロウがまばゆい光に包まれ、光が消えると姿が変わっていた。


 さっきまで黒かった髪が白に変わった。そして穏やかな表情になり、好青年へと変化している。

 これが「白」のクロウだ。この時は敬語になっている。


「ありがとう、おかげで元の姿に戻れました」

「ふん、どうせまた落とすんだろ」

「う……それは否定できません……」


 ____できないんだ……。


「さて、見つかったことだし、魔法の本探し続けますか!」

「魔法の本?何だそりゃ」

「レチタは記憶力を鍛えなさい。そうですね……あったあった」


 クロウは懐から太めの本を取り出した。厳重に封印しているのか、鎖が何重にもかけられていた。


「ガッチガチにしすぎだろ」

「間違って開きでもしたら取り返しのつかないことになりますからね」

「よーし開こうぜ」

「人の話聞いてました?!」


 本に近づこうとしたレチタを払い、クロウは懐に本をしまった。


「取り返しのつかないことって何だよ」


 レチタは不満そうに問う。クロウはため息をつき、その辺の石を片手に本を開いた。


「よく見ててくださいよ」


 本が開くと同時に真上にワープホールのようなものが現れた。表紙が赤だからなのか、赤いワープホールだ。

 そこに石を投げつける。

 すると一瞬で石が消えた。


「ワープホールか。そんなに危なくないだろ。どこに繋がってるんだ?」

「物語の世界ですよ。その物語の一員として見られるので、能力は全て剥奪されます。ありえないものは抹消されますね。特に……」


 クロウは本を閉じ、鎖を巻きながらレチタとアリアを見る。


 ……本当はこの二体は存在してはならないものだ。だからって消すことは……。


「俺とアリアが消えるってことか?」

「えぇ。悪魔や天使、神様だって人間と大差無い存在になってしまいます」


 クロウは優しいながらもどこか悲しい顔で鎖に鍵をかけた。


 __________


「ねぇねぇ、スクーレさん」

「スクーレでいいわよ」


 大地の神がニヤニヤしながら私に歩み寄ってきた。


「スクーレ、あなた……レインさんとキリルさん、どうするの?」

「……へ?」

「とぼけないの!スクーレだってわかるでしょ?いつ人間が滅びるかわかんないんだから。結婚する相手を決めないとダメよ」

「は、はぁっ?!」


 何言っているんだろうか、この神は。

 というか人間が滅びるとか、神が言うことなのかな?!


「ぶっちゃけ、どっちが好きなの?」

「え、えっ」


 戸惑いながらも、暗闇の中、交代で見守っている焚き火を見た。

 ……好きな人、かぁ……。


「別に人間と悪魔が結ばれても悪いことはないの。というかその方が安心できるんだからね。私たち神は安心、安全が第一なんだから」

「どっかの企業みたいなこと言いますね……」

「えぇ、企業といえば企業って言ってもいいの。……ちょっと熱くなっちゃいましたね。ごめんなさい」


 うふふ、と笑い、大地の神は上を見たと思いきや、祈りを捧げ始めた。


「……そろそろ交代だな」


 私がぼーっと大地の神を見ていると、レインが眠そうに目を擦りながら話しかけてきた。


「もっ、もうそんな時間なんだ……」

「何だ?そんなに焦って」

「な、何でもない!!」


 先程の大地の神の言葉を思い出し、私は飛び退くようにレインから離れた。


「何だよぉ、ひどいなぁ」


 レインが頬を膨らます。

 その様子を大地の神はクスクスと笑って見ていた。


「お前まで何でそんな反応するんだよ!」

「だってレインさんってば面白いですもの。でも、何の話かは教えてあげませんよ。これは女同士の秘密ですもの。ねー?」

「えっ?!あ、はい!」


 突然振られ、慌てて返事する私を怪訝な顔で見てくるレイン。そんな二人を見て、大地の神はさらに嬉しそうに笑っていた。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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