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怪奇討伐部Ⅳ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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死の目覚め

第一話 静かな戦い



 今、人間たちが当たり前に住む人間界の他に、祓われるべき悪魔たちが棲む魔界。死後の世界、黄泉の国といわれる霊界。そして崇められたりする天使たちが住む天界などがある。


 あるとき、人間たちが新しい土地を求めて魔界へと侵攻していった。その過程で霊界の長は殺され、その機能は完全停止してしまった。なので罰として侵攻のリーダーの魂は人間界、霊界、魔界を繋ぐため、死神王により縛られた。


 とある男は人間界に帰り、その発端となった男は人間界と魔界の交流を成功させた。それを可能としたのは、その男が正義のために逮捕した一人の発明家の悪魔だ。


 ____これは人間たちが人間界に帰ったあとの話である。



__________



 青い空、白い雲。

 ……そして目の前にあるのは……。


「あぁ……あと何粒飲めばいいんだろうか……」


『記憶喪失、不安定患者用の薬』や『痛み止め』と書かれた袋だ。

 どうしてピクニックに来てまでこんなもの飲まないといけないのか。オレは目の前でニコニコしながら水筒を持つ弟に聞いた。


「あと三粒。頑張って、お兄ちゃん」

「いや、飲めるんだよ?飲めるんだけど、一気に飲んだらダメとか意味わかんないんですけど。あとでかいんですけど」

「そこはなんとか頑張って」

「いやいやいや!!悪魔用とか言って渡してきた医者に問題があると思うんだけど!何?!喉は伸縮自在のゴムでできてるとか思ってるわけぇ?!」


 オレはあの気に食わない医者の顔を思い出しながら叫んだ。どう見ても喉に入らないやつだよ!てか今までよく二粒ぐらい飲んできたな、オレ!


「まぁまぁ。それの効果はてきめんなんだから、我慢して」

「……そもそもだ。お前がオススメした病院だぞ?本当にあそこ信頼してんのか?サニー?」

「うん。黒池さんが一回入院してたとこだから。忍び込むのは簡単だったけど」

「その時点で警備ガバガバじゃねーか!!」


 ありえん。そんなとこの薬なんか飲んでられっか。……はぁ、急にアホらしくなってきた。正直にこんなでかい薬を飲もうと思ったオレが悪かったよ。……でかいって言っても爪の半分ぐらいだけどさ。


「でもお兄ちゃんは僕の呪術で治せないから……マイナスな点は全部受けるのに」

「何でだろうな」

「知らないよ……。とにかく飲んじゃって」

「はーい」


 そんなこんなで薬を飲んでいると、遠くから戦闘音が聞こえてきた。


「……お兄ちゃん、またどっかで戦ってるみたいだね」

「そうだな……行ってみるか?」

「うん!」


 オレたちはまずピクニックの用意を片付け、異次元に押し込んだ。

 ここはアメル付近の丘。なので人間たちが多いのだが、スクーレがいるので許してもらっている。オレ的には魔界の中でここが一番のお気に入りだ。近くに花畑もあるし、太陽は暖かい。


 オレは骨折が治り次第ここに来たかった。それが今日、叶ったんだ!


「……あ、ヘラ!……と何だあの剣」


 丘を下り、林の中に入ると、開けた場所でヘラが黒い剣を振るっていた。


「こんにちは」


 サニーが一歩前に出る。するとヘラはこちらを見た。


「……あぁ、レインとサニーか。こんにちは。骨折、治ったんだな」

「おかげさまでね」

「とにかく二人が仲良くしているのはめでたいことだ。そうだな……何かしてやりたいな」


 ヘラが剣を地面に刺し、腕を組んで考え込んだ。


「いやいや、いいよ別に。そういや剣変えたの?」

「こいつがヨジャメーヌをぶっ壊したんだよ」

「えぇ?!」


 ヘラが自らヨジャメーヌを壊すはずがない。オレとサニーは急いで今地面に刺さっている剣を見た。

 呪い系は感じない。どうやら操られている訳ではないらしい。

 ……と、視界の隅で何かが動く。剣が……動いている?んなアホな。オレは目を擦ってもう一度見たが、やはり動いている。


「お、お兄ちゃん……剣……動いてる……」


 サニーも気付いているようだ。……嘘だろ?


「こいつは『廻貌(エガタ)』。気に食わない奴だけど、今は相棒だ」

「へー、ヘラっていつも名前つけるよな」


 そう呟きながら触ろうとすると、そいつは勝手にぐるりと回り、刃をこちらに向けた。


「レイン、危ない!」

「わっ!ごめんよ」

「触るな、呪術師」

「喋った!?」


 ヘラの声に退き、謝った直後。

 剣が喋った。

 動くだけではなく、喋っていたのだ。まるで生きているようだ。


「動いただの喋っただのうるせぇな。マスター、こいつらは何だ?」

「あの、僕たちは敵じゃないです!」


 サニーが前に出る。オレはとりあえず警戒はしておこう。


「む……本当のようだな。そっちのザコはただ警戒してるようだが……」

「ザコって言うな!剣の分際で!」

「ザコはザコだ。そっちの青い髪の奴より魔力が少ないじゃないか」

「口が過ぎるぞ、廻貌!……ごめんな、こういう奴なんだよ」


 ヘラが廻貌を叱る。だが、廻貌は回り続ける。知らんぷり、というわけだ。


「ヘラさん、それ……憑いてるのがあまり良いものではないようですね」

「やっぱりな……廻貌は地下世界から来たらしいからな」

「地下ですか?なんとまぁ良くないものが住み着いてそうなところで……」

「地下は危険だぞ。サニー、ヘラ。危ないから行くなよ」

「「その口で言わないでよ」」

「ダブルアタックは胸に刺さります……」


 オレは落ち込みながらも頭の中で考えていた。

 地下世界……か。一度行った者は帰って来ないと聞く。現に、コルマーの酒場にいた馬鹿のうち一人が地下世界に行くと言って帰って来なかった。そんなところに二人を行かせるわけにはいかない。


「ザコ。邪魔をするなら容赦はしないぞ」

「だからザコって言うな!それに邪魔をするほど暇じゃないんだよ、オレたちは。な、サニー」

「うん。僕たちは妹を救うためにノートに立ち向かうんです」


 サニーがヘラと廻貌に向かって言う。

 すると廻貌は回転を止め、オレとサニーを交互に試すように見た。


「ふん、ノートか。めんどくせぇ奴と敵対してるんだな」

「ノート、知ってるのか?!」

「知ってるも何も、地下世界で知らん奴はいないからな。まさか地上の方が知名度低いとは……。遠い方が天の憧れが強いっていう皮肉かもしれんな」

「ねぇ、弱点とか知らない?」

「知るわけねぇだろ」

「だよなぁ」

「だが、お前じゃ無理だ。それにお前のその呪いの剣……お前にはもったいない」


 廻貌はオレを見たまま言った。

 呪いの剣……あまり使わない太い剣のことだろう。確かにあれは呪われている。それに使いにくいからレイピアをよく使ってるんだけど……。


「それでもオレは妹を取り返すんだ」

「お兄ちゃん……」

「……行こっか、サニー。その……いろいろありがとうな、ヘラ」

「いいよ。気をつけて。俺も出来る限りのサポートはするからね」


 ヘラは申し訳なさそうに微笑んだ。

 それはあの旅の中では決して見せることがなかったものだ。

 なので新鮮だった。


 オレたちがヘラと別れたあと、廻貌とヘラは話し始めた。


「サポートするなんて、大きく出たものだな、マスター」

「……そうだね」

「元気ないじゃないか」

「……俺が今やるべきことはお前を地下世界に返すこと。だが……お前を返したら俺は戦えない。そうだろう?」

「あぁ、そうだ。それにその悲鳴を上げている体じゃまともに戦えないだろう?」

「まだいけるさ。海でも宇宙でも地下世界でもやっていける。たとえそれが魂の許容を超えたとしてもね」



「……お兄ちゃん、ごめんなさい。巻き込んじゃって……」

「当然のことさ。場所の目安はついてるのか?」

「うん。使い魔が海の方向で何か黒いものに殺されたらしいんだ。その黒い奴は多分あの化け物だと思うんだ」

「あの化け物……?」

「見ればわかるよ」


 サニーは笑顔で話す。だが、それは作り物の笑顔ということは火を見るよりも明らかだ。


「黒いもの……何か思い出しそうなんだけど……」

「無理だよ。お兄ちゃんには記憶消去がよく効いてる。思い出すなんて絶対不可能だ!」

「……そうかもしれない。薬でもダメだったもんな」


 薬とはナニルがくれた薬だ。そういえばあの人はどこに行ったのだろうか。


「お兄ちゃんにはずっと能天k……じゃなくて、笑顔でいてほしい」

「ちょっと変な言葉が聞こえたけど良しとするか。……さて……アナスタシア。そこにいるんだろう?」


 オレは何もない虚空を見つめる。そこにドレスを着、見るからに不健康な女性が現れた。


「ふふ……やっぱり廻貌は苦手ですわ」

「お兄ちゃん、この人は?嫌な気配を感じるんだけど……」


 サニーは敵意を露わにしている。


(わたくし)は睡魔のアナスタシア。一度眠ればそこは冥界ですわ」

「睡魔のアナスタシア……。どこかで聞いたことが……。でもどうしてお兄ちゃんが名前を知ってるの?」

「……サニー、お前は優しさに触れすぎた。……眠って全て忘れなさい」


 サニーは警戒している。

 オレはアナスタシアに眠らせるように指示するため、片手を上げた。


「お兄ちゃん……どうして……」

「サニー。私の幻術は何よりも強い。ノートだって届かない。このお兄ちゃんは本当にあなたが知っているお兄ちゃん?あのインキュバスは本物?……保証できないでしょう?そういうことなのよ」

「……でも寝たら死んじゃうんだよね?」

「死なないように努力するわ。難易度は……そうね、針の穴にラクダを通すようなものかしら。もしも目が覚めたのなら、次は死神王を頼りなさい。……幸運を祈るわ」


 アナスタシアは薄ら笑いを浮かべる。

 白い光が瞬く。サニーは必死に寝ないようにと耐えていた。その目はオレを絶望と不信感の塊だった。

 次の瞬間、サニーは倒れ、寝息を立て始めた。


「……これで良かったの?ノート」


 アナスタシアはサニーを抱え、頭を撫でながらこちらを見る。

 オレ……いや、ボクは指を鳴らし、変身を解いた。


「はい。ありがとうございます」

「そういや本当のレインはどこなの?」

「丘で寝かしてます。クッキーに睡眠薬を仕込みましたからね。今ごろアメルはパニックになってるでしょう……」


 ボクはその状況を頭に浮かべ、苦笑いした。


「あらあら、魔界を任された神なのに放置で大丈夫なの?スクーレに叱られるわよ。それか人間たちからクレームが来るわよ」

「む……どちらも恐ろしいですね……。わかりました、カリビアのところに移動させておきましょう」

「ふふ、それなら不死の死神の仕事が無くなりますわよ。かわいそ」

「……放置、しときましょうか」

どうも、コンパスを買って、地図を見ながら無事迷子になったグラニュー糖*です!(おいおい)


今麺類の店で書いてるんですけど、久しぶりに天ぷらを食べました。

感想は特に「天ぷらだったなぁー」って感じです。エビでけぇ。


ついに4期まできたんですけど、どうですか?

サニーくんおめでとう!ってことしか思えませんね!


では、また!

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