眠たくなる
彼が沈んだ後、私はただ水面を眺めていた。
この水面の下にはかつて私が住んでいた街が眠っている。
でも本当に私は、あそこに住んでいたのか?
確信がない。
確かに住んでいた記憶や風景も思い出せるんだけどね。
だって嘘みたいじゃない?
いつここに来たか分からないし記憶だって曖昧だし。
一度、潜ってみた事がある。
そしたら急に眠くなってしまって気付いたらプカプカ浮いてた。
どうやら水に入ると眠気が襲ってくるらしい。
でも何処か私が今ここにいるような場所(陸地のような場所)に行きたいと思って水に入れば眠気は襲ってこない。
そうやって色々とこんなビルの最上階に移ってきた。
ここではお腹も減らない、トイレに行きたいというようなものもない。
なんでここに私が居るのかも勿論分からない。
ただ、自分は飛び降り自殺をした事だけはハッキリと覚えている。
あと、生きてる間からちょくちょくここに来ていることも。
死んだはずの私は「ここは世界が終わった所、ノアの方舟のような神話がまた起こったのだ」と勝手に解釈して納得している。
たまに私と同じような人が迷い込んでくるらしく私は、その度に自分の勝手な解釈で納得させる。
そして皆、同じように水に帰っていくのだ。
皆、眠たくならないのだろうか。
皆、何処に帰っていくのだろうか。
私が今まで出会ったやつは皆、「帰りたい」と言っていた。
でも不思議と私は帰りたいとはちっとも思わない。
なぜ帰りたいと思わないのか、その理由もなんとなくわかっている。
勢いで書いちゃってます三( ゜∀゜)
あと一部で「なんにも覚えちゃいないわ」って言うのは相手が混乱するのを防ぐため、自分の記憶に自信がないので嘘をついているからです(-_-)