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年下の彼  作者: ku-to
6/10

その6: 頭痛

感想ありがとうございます。

これからもがんばって書いていきますので、辛口。甘口の意見待ってます。

6.頭痛


頭が痛い。

目を開けると見覚えのある部屋。そう、私の部屋。

体を起こそうとすると「いたっ!」

頭がガンガンする。


たしか私ヨウコの結婚式に出て楽しい二次会にも参加して・・・。

「二次会!新婚旅行!!!」


急いで目覚ましを見るとすでに昼近く。

完全にもう出発したあと。

「あちゃー。最悪!見送るっていってあったのに。」

携帯に目を向けるとメールがきてる。


”昨日は楽しかったよ。ありがとう。でも完全に酔っ払ったね。多分見送りにはこれないだろうね。私達は楽しんできます。そらも友君に迷惑掛けたんだからちゃんとお礼言うんだよ。”


「だれ?友君って・・・」


独り言のようにつぶやいた。痛い頭をフル回転させて考える。 あっ!  思い出した。

あの失礼な男。

私を小学生だとか。

小さいとか。

痛いとこを突いてきたあのでっかい男の事。たしか、あいつだ。


思い出したとたん、怒りがこみ上げてきて、大声で叫んでいた。


「どうしてお礼なんていわなきゃいけないのよ!迷惑掛けられたのは私よ!謝罪しやがれ〜!!!」


おもいっきり叫んだらまた頭が痛くなってきた。

「二日酔いだな。」


ズキズキする頭を抱えて水を飲もうとベットから降りようと足を床に伸ばした。


グニャリ。

「どうぅわぁ」


なに?なに?なに!!?

今足を下ろしたところ、床じゃない。なんだかやわらかかった。しかも変な声まで聞こえた。

猫?犬?何??

このマンションはペット禁止だし。私飼ってないし。なんなの??


あまりの恐怖にベットから降りられない。一度出した足は、自分の体に入りそうなほどに引っ込めて私は毛布を被るとギュッと目を瞑った。


「いってぇ〜。」

その怪しい物体がもそもそと動き出す音がする。

私の体はますます硬直していく。


「あれ?起きたの?おはようそらちゃん。」


そう言って私の体を揺すってきた。

あまりの恐怖に声もでない。誰?だれなの?なんで私の名前知ってるの?


「まさかその体制で寝てるの?毛布取っちゃうよぉ〜?」

そう言うと毛布の端っこがつかまれた。


「・・・??!!」


声にならない。ギュっと毛布を握り締めたけどあっさりとられてしまった。


「おはよう。そらちゃん。」


大きな瞳が私を見て微笑む。


今までの恐怖が一度に飛んだ。そしてメラメラと怒りがこみ上げてきた。


「なっ・・なんであんたが私の家にいるの?どうやって入ったの??何?訳わかんない。」


私はパニックになって手当たりしだい近くに置いてあった枕やら布団やらを投げつけた。


「落ち着け!!な?とりあえず説明してやるから。水もってくる。」


ひょいひょいと避けながら彼は満面の笑みでキッチンへ水を汲みに行った。

そうだった。私は二日酔いだったんだ。思い出したら頭がまた痛くなってきた。

これは二日酔い?それともこの状況に混乱しているせい?

私はまた頭を抱えてうずくまった。




彼の話によると・・・

私はあの後デロンデロンに酔いつぶれ、そのまま寝てしまったらしい。

新婚旅行を控えている陽子達は時間がなく私を家まで送れなかったので友君にお願いしたらしい。

私は最後まで1人で帰れる!

と言い張っていたが誰の目から見たって一人でまともに歩ける状況ではなかったらしい。

そりゃそうだ。 私全然覚えていないんだもの。


で、住所は結婚式の名簿から探し出し、タクシーで友君と家まで帰宅。おんぶして部屋の前までくると、鍵をかばんから探し出しベットまで運んだけど私が手を離さなかったんだって。

仕方ないからまたおんぶしたまま鍵をかけ、ベットに転がすと友君の腕をつかんだまま寝てしまった。

おかげで自分は帰ることができなくなり仕方なくベットの横でそのまま寝たらしい。

一応陽子のだんな様である蓮先輩に連絡を入れたが、大爆笑されて、相手にしてくれなかった。との事。


「はぁぁ〜。」


話を全部聞かされて、ため息しかでない。

お酒に弱いわけじゃないし記憶をなくすまで飲んだことだってない。ましてや大切な親友の結婚式で悪態をさらすなんて。


「お酒弱いのに飲みすぎるからだよ。」


そう言って友君は水をもう一杯汲んできて私に手渡した。

さっきまでの怒りもどこへやら。自分の不甲斐なさに落ち込んで今は友君に感謝さえしているくらいだ。


「お礼ってこういうことだったんだ。」


私は陽子からのメールを思い出しさらに落ち込んだ。


「大丈夫?」


やさしく声をかけてくれる彼にまずはお礼を言わなくっちゃ。


「あの・・・」

「でもまぁ、ちっちゃいからおんぶしても軽いし全然楽チンだったけどね。」


私がしゃべろうとしたとき、彼の言葉と重なった。

・・・また小さいって言った。

でもなんだかもう怒る気になれない。


「あれ?怒んないの??」


彼の心配そうな顔が私の顔を覗き込んだ。


「私ってそんなに小さい?小さいんだけど、けど!私ってそんなに幼く見えるのかな・・・」


まだ、お酒の残っている体と頭痛のする頭と昨日の自分の不甲斐なさに、落ち込んでいた。


頭痛がまたひどくなった。


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