その2: 出会い
その1がすでに出会いだったような気がするけどそこらへんはご勘弁を。。。
思いっきり走って走って。
やっと建物の前にあるベンチまでたどり着いた。
「はぁ、はぁ」
ドキドキが止まらない。
こんなに走ったのは久しぶりかも・・・・。
ってか、運動してないから体力落ちた?困ったわ。
なんて、関係ないことまで頭の中をめぐってる。それより今はあの爽やか変質者の方が大問題よ。
少し落ち着いて、ベンチに腰を下ろしたとたん真横から、それもすごく近く、耳元で声がした。
「走るの速いね。ちっちゃいからパタパタはねてるみたいでかわいかったよ。」
あまりの近さに飛び跳ねちゃった私は、さっきの猛ダッシュのせいで足が言うことこ効かずその場に座り込んでしまった。
「あ〜あ。せっかくの綺麗な洋服が台無しだよ。大丈夫?立てる?」
私の腕をつかまえてベンチに座らせるとニコニコしながら話を続けた。
「なんで逃げちゃったの?せっかく声かけたのに。」
こいつ・・・(ぜったいあやしい・・・)
「普通知らない人が声かけたら逃げるでしょ。ってかなんでついてくるのよ。」
と私はたぶん息がまだ整っていない口でなんとか身振り手振りをまじえながらまくし立てた。
「だって、俺ここである結婚式の二次会に呼ばれてるから。だから君と一緒に行こうかと思って声かけようと思ったのに。
逃げちゃうんだもん。あ〜絶対勘違いしてるぅ と思ってさ。」
開いた口がふさがらないとはこの事だわ。
「最初に言ってよね!!!」
私はこの数分の恐怖体験を勘違いなのかと思うと腹立たしくなって思いっきり大きな声で怒鳴っていた。
せっかくの楽しい雰囲気もさっきのことを思い出すたびに薄れ、私は彼を目で追っていた。
良く見ると、背はだいたい180センチくらい?おっきいくせにクルクルといろんな席に廻ってはお酒を注いだり、
料理を取ったりしている。
くせっ毛な栗色の髪に大きな瞳、体格もがっしりしていて、胸板も厚そう。
あまりにも熱い視線を送りすぎていたらしく、近くに陽子がいることさえ気づかなかった。
「なぁに?さらってば友君狙ってるの?」
狙ってる?まさか。あんな怪しいやつ、私を小さいと2回も言ったヤツなのよ。
気にしてるのに。
「まさか。」
私は陽子を軽く睨みつけると、肩をすくめてみせた。
「なんだ、違うの?結構かっこいいのに。」
紹介しようか?という陽子の誘いを丁重にお断りして私は外のイスに座った。
もう夕方。
空の色がオレンジ色に染まり青白い月がみえた。
ここちよい風が吹いている。
遠くに街の灯りが星のように輝いていた。
「きれい・・・。」
思わず言葉がでていた。