【受験終了記念】もう一度
西の空に浮かぶ真っ赤な太陽が、道を照らす
照らされた道を、私たちが歩く。
君は私の前を歩く
追い付こうとして足を速めるけど、追いつかない
君より速いテンポで足を動かしているのに
ふと、君が止まる
それがチャンスだといわんばかりに、私はさらに速度を上げる
もう少し、もう少しで、君に追いつく
あと10歩 あと8歩 あと4歩……
君はまた歩き出した
もう少しで届きそうだったのに
わたしは君に行った
なんで待ってくれないの、なんでおいていくの
泣き叫ぶ私 君はとうとう立ち止まって、振り向いた
「じゃあ、君はなんでついてくるんだ」
その冷ややかな目は、誰に向けている者なの
「君だよ」
なんで、私にその目を向けるの
「もうこないでくれ」
いやだ
「来るな」
ぴしゃりとそう言って、君はまた歩き出した
私は追いかけなかった
自らの体から塩辛い雫を一滴こぼして地面を濡らした
私はただ、もう一度欲しかっただけなんだ
私だけに向けてくれる、温かい目を
君が振り向いてくれることは、もう二度と、ない