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3モフ目

遅くなってすいません

ようやくモフモフしてきました

 モンスター用ブラシ、450F也。

 道具屋でブラシを買えば所持金はまた底をつく寸前。っていうか、何も買えねぇ。


 なんていうのはどうでもよく。広場の片隅で淡雪のブラッシングタイム。

「ふはははは!モフモフになるがいい!」

「きゅいっ」

 淡雪はおとなしくブラッシングされている。

「気に入ったか?」

「きゅい」

「そうかそうか。気に入ったか。ふはははは!」

 周囲の目など気にしてはいけない。

 いけないったらいけない。

 ≪スキル:高笑い ブラッシング が有効化されました。≫

 !?

 な、なんだってーーーーー!?

 慌ててスキル画面を確認してみれば


スキル:テイム:105 [1/3]

    召喚:10

    格闘:12

    筆記:20

    読書:50

    鑑定:12

    識別:12

    解体:12

    ブラッシング:73

    高笑い: 5


 なんかいろいろ増えてた。

 待て待て待て待て。整理しよう。落ち着け。まだ慌てる時間じゃない。

 ブラッシングはいい。実際に淡雪をモフモフにして恍惚とさせていたから。

 高笑いってなんだ。さっきのしか考えられないがどんなスキルだ?

 とりあえずはもう一度。

「ふはははは!はーっはっはっはっはっは!」

 周りの人の視線が痛いが気にしてはいけない。気にしちゃいない。これはスキルの検証なんだ。


 泣いてなんかないったら。


スキル:テイム:105 [1/3]

    召喚:10

    格闘:12

    筆記:20

    読書:50

    鑑定:12

    識別:12

    解体:12

    ブラッシング:73

    高笑い:21


 うん。育ってる。【高笑い】育ってるよ。


『高笑い:相手の注意を引きつける』

 

 え?

 これだけ?

 モンスターにも効くなら使い道はまだあるけど。

 すっごい微妙なスキルだことで。


 で、次だ。

 【テイム】がずば抜けて伸びてる。ってか、テイム可能枠も増えてるよね。枠のほうはまあ、熟練度が100になったところっていう予想は立てられる。

 問題は何の行為で【テイム】が伸びたのかってことだ。思い当たるのはブラッシングしていたことだけど、【ブラッシング】は別項目だ。

 しばらく悩んでみてもわからん。

 淡雪が体をこすりつけてくるので頭をなでてやる。

「きゃう♪」

 うーむ。

「きゃふ」

 ん?淡雪が腹を出して転がった。

 ……。てぃんときたので、足の付け根から腹のあたりまでなでまわしてやる。

 うーん。モフモフ。

 モフモフ

  モフモフ

   モフモフ

    モフモフ

     モフモフ

      モフモフ

       モフモフ



 はっ。

 気が付けば三十分ほどが過ぎていた。

「この魅惑のもふもふぼでぃめ」

「きゃふー」

 ≪スキル:愛撫 が有効化されました。≫

 !?

 またかよ!


スキル:テイム:150 [1/3]

    召喚:10

    格闘:12

    筆記:20

    読書:50

    鑑定:12

    識別:12

    解体:12

    ブラッシング:73

    愛撫:32

    高笑い:21


 【愛撫】の熟練度が単純に上乗せされてるわけじゃないな。

 【ブラッシング】と【愛撫】に共通すること…。

「淡雪が喜ぶこと?」

「きゅい?」

 可能性は高そうだ。だが。

「淡雪もモフモフ度アップしたし、依頼の錬金術師さんとこ行くかねー」

「きゅい」

 スキルの検証なんぞ一人でできることなんて限られてる。

 まずは金だ。


「はい。依頼完遂確認しました」

 依頼人の錬金術師はNPCで、何の問題もなく淡雪の抜け毛の引き渡しは完了した。裏もまったくなく、逆に拍子抜けしたくらいだ。救済イベントか何かかね、これ。

 まあ、何はともあれこれで二十万Fが手に入ったわけだ。

 必要なのは、【皮革加工】の入門書と入門キット、【付加】の入門書と入門キット。


「さて写すぞ!」

 入門書を二冊傍らに置き、気合を入れる。

 キットを買って図書館に来てみれば。相変わらずプレイヤーの姿はない。写本し放題。

 今回はメモ程度ではなく、一冊丸ごと写すのだ。これが終われば【皮革加工】【付加】を取得するための前提条件が整うんだ。気合も入る。


ぽーん

 ≪派生スキル:写本 が有効化されました。≫

 おおう。意識が飛んでた。

 現在15:03。とりあえずあと数行だった写本を終わらせる。

 で、【写本】だって?

『写本:本を丸ごと写す。写したい本と白紙の本を重ねて使用。速度は熟練度依存。写本中ほかの作業ができる』

 便利だな。時間さえかければ図書館丸ごとコピーできるってか。

 まあ、こっちはいいとして音の正体はなんだ?周りを見渡しても音を出すようなものはないけれど。さっきからちらちら視界の左上あたりに影がうっとおしいけど。

 と思ったら、これ、アイコンか?メニューを開けばフレンドメッセージのところにアイコンがある。

『やっほー。ログインしたよー』

 モフナーか。

 現実ではまだ一日経ってないんだよな。

『図書館にいる』

『ダッシュで行きます』

『入口集合で』

『あいあいさー』

 さて。片づけるとするかね。


「よっ。昨日ぶり」

「そっか、こっちではもう昨日なんだよね」

 外に出てみれば、モフナーはすでに来ていた。

「淡雪ちゃんは?」

「図書館はモンスター禁止だから送り返してる」

 うん、呼ぶか。

「きゅい!」

 詠唱すれば召喚されるのはすぐだ。

「なんかモフモフ度アップしてない?」

「たっぷりブラッシングしたからな」

「きゅい♪」

「で、どうする?」

「まずは装備!そして狩り!」

「なら武器屋と防具屋だな」

「毛皮丸も装備整えないとね」

「大丈夫だ、問題ない」

「だって初期装備でしょ?」

「これで午前中にうさぎ狩ってきた」

「え?」

「【格闘】を有効化してるんだよ。防具は明日にでも作る」

「作るって生産行くの?」

「生産もやるの」

「器用貧乏な」

「うっさい。せっかく24時間ログインなんだからできることは全部やりたいじゃないか」

「毛皮丸らしいというかなんというか」

「伊達にプラモからボーンカービングまでやってないぜ」

「ここでもやるのね」

「おう」

 あきれられようがなにしようが趣味をあきらめるつもりはない!

「それじゃ、行こうか」


「またマニアックな武器を…」

「別にいいじゃない」

 武器屋でさんざん迷ったモフナーは、結局、鎌を買って有効化した。

「農業系行くやつはともかく、戦闘のメインウェポンで鎌選ぶやつってお前くらいじゃね?」

「だからいいんじゃない」

 こいつは昔からこうだった。流行しているものにはあえて手を出さず、常にマイナーな方へマイナーな方へ進んでいく。

 飾らないから付き合うのは楽なんだけどな。

「じゃ、行くか」

「ごーごー!」


 草原は相変わらずプレイヤーで埋まっていた。

「すごい人だね」

「だから午前中はちょっと奥で狩ってた」

「それじゃあ初戦闘いってみよー」

 


 二人と二匹になって狩りの効率が上がったのか、日が落ちる前にモフナーとニャコのレベルは上がった。

「やっと上がった」

「僕は上がらない」

 1から2へ上がるより2から3に上がる方が、必要な経験は多いよね。

「そろそろ戻ろっか」

「待った。あれ」

 僕が見つけたそれ。

 一羽のウサギが五羽のウサギに取り囲まれていた。

「ウサギの世界にいじめ?」

「いや、真ん中のやつ、周りのと種類がちがうっぽい」

 念のため【識別】してみれば。


ワイルドラビット オス

パッシブ

野生のウサギ。ウサギにしては毛が固め。


 お、ちょっと情報量増えた。


ファーラビット メス

パッシブ

モフモフウサギ。モフモフ初心者向け。


「ぶっ」

「毛皮丸?」

 おい運営!わかってるじゃないかGJ。

「運営がこっち側の人間だった」

「なんかよくわからないのがわかった」

「とりあえず周り片そう」

「うん」

 殲滅?一分でドーン。

 

 周りのウサギを片づけても、ファーラビットはいつまでたっても襲ってこなかった。パッシブのまま。むしろ、鼻をうごめかせながら、つぶらな瞳で見上げてくる始末。

「何このかわいいモフモフ」

「戦闘にならないねー」

 これはあれか?あれなのか!?

 行っちゃいますか?

「来るか?」

 びくっと反応してもうかわいいなにこのモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ。

「おーい、かえってこーい」

 はっ

 このウサギは魅了持ちか!?※運営注 断じて違いますが同類は歓迎します。

「スキル:テイム」

 手をかざして唱えれば。

 ≪ファーラビット メス のテイムに成功しました。名前を登録してさい。≫

 きたーーーーーーーーーーーーー

 名前、どうするか。


ファーラビット:トト Lv:1


 HP:15

 MP: 8



 STR: 7

 VIT: 5

 DEX: 5

 AGI: 9

 INT: 4

 MIN: 4


スキル:跳躍 蹴り


 ≪召喚可能枠がありません。送還されます。≫

 お馴染みの立体魔法陣が浮かんで、新たな仲間、トトは消えていった。

「あれ、ウサギちゃんは?」

「無事テイム成功。でも召喚可能枠がないから送還された」

「えー、いいなー!」

「モフナーもそのうち増えるさ」

 そうしてモフナーをなだめすかし、僕らは街へと帰った。


次回、アイテムボックスができる

                       はず


2/06誤字、表記修正

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