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21モフ目

お読みいただきありがとうございます

 おはようございます。きつねうどんおいしいです。

 結局米じゃなくうどんを食べているけど、目的はそれだけじゃない。

 この村、米どころだけあって村のすぐ横を川が流れている。結構な川幅があるから手ごろな岩があるだろうという捕らぬ狸の皮算用で戻ってきた。

 さて、食べ終わったから移動しますか。

 このまますんなり川まで行くそう思っていた時期が僕にもありました。

 新しい畑の開拓なのか、村人が何人か地面を掘り起こしているその場で、僕の目はくぎ付けになった。

「この岩どう頑張っても動かんでな」

「ぜな。ハンマーの技でもびくともしないとか」

「魔法でくだけるけ?」

 それをくだくだなんてとんでもない。

「すいません。その岩もらえませんか?」

「なんだ兄ちゃん」

「岩が欲しいとかかわってるぜな」

「ちょっと【儀式】で使いたいんですよ」

「まあ、この場からなくなるなら問題ないでやんす」

「では、ちょっと失礼して」

 浮遊岩核を取り出して岩に近づける。

 ≪岩石を確認しました。取り込みますか?≫

 もちろんです。

 稲妻のようなエフェクト光とともに岩が形を変え核を抱え込む。が、大きさが足りないのか六割ほどしか覆えていない。それでも浮遊岩としての力はあるのか、埋まっていた穴から浮き上がる。

「なんかすごいぜな」

「ありがとうございました」

「こっちこそ邪魔な岩がなくなって助かったべ」

 さて、アイテムボックスに戻して、戻……せないだと?

 ≪地形オブジェクトです。格納はできません≫

 うわ、もう地形として認識されるのか。

 しょうがない。押していこう。

 変な目で見られるのは甘んじて受け入れようではないか。


「ピッチャー第216球、投げました!」

 え?多い?

 まあ、それはともかく。

 川に到着した僕は、砂利ばかりの河原に浮遊岩を落ち着け、淡雪、ワタツミ、マイスナとともに浮遊岩に石をぶつける簡単なお仕事をすすめている。小石サイズでも取り込めるようで、僕は手ごろな石をストレートで投げて、淡雪は少し大きめの石を少し遠くから抱えて飛んできて、ワタツミは川底の石を飛ばして、マイスナは小さい石をせっせと運んで。

 そのかいあって、浮遊岩は僕一人くらいなら乗れるくらいの大きさまで成長している。

 ちなみにワタツミは淡水でも特に問題ないようだ。

 ≪岩石量が一定値に達しました。コアルームを作成します≫

「みんなちょっとストップ」

 石を取り込ませる作業を中断する。石をぶつけるたびに発生していたエフェクト光が浮遊岩全体を覆い、

「大きくなった?」

 いびつな球体だった形が立方体へ、そして大きさも三倍ほどに膨れている。

「コアルームってことは、あの中は空洞か?」

 ぐるっと回っても入口らしきものはない。下面にも。ということは上か?

 ジャンプじゃ届かないし、淡雪にはまだ乗れない。ふむ。【空間】魔法の応用で行けるかね。イメージするのは短い距離の転移。

「ジャンプ!」

 発動とともに視界が一瞬ぶれ、次の瞬間には高い場所に立っていた。

「成功だな」

 さて入口は、後ろに階段があるな。

 内部も立方体か。一辺は僕の身長の三倍ほど。そしてその空間のど真ん中に核が浮かんでいる。

 ≪所有者のスキルに【空間】を確認。コアルームを転移ポイントに設定しますか?≫

 む?僕のイメージで作った【空間】魔法に関係なく指定できるのか?、ああ、デメリットはなさそうだから許可していいな。

 ≪スキル:拠点転移 が有効化されました。なおこのスキルには熟練度が存在しません。発動時間は一律三分。クールタイムはなし。範囲指定はパーティー。戦闘時他特殊条件下では発動しません≫

 おう。スキルとして別枠なのか。えらく長く説明されたけどそれだけ扱いが特殊なのかな。

 ≪拠点の高度を変更しますか?≫

 高さ変えれるのか。まだ石をくっつけるからそのままでいいよな。っていうか、くっつけれるよな?

 ≪成長面積率:0%≫

 成長はここからかよ!

 このあと無茶苦茶石をぶつけた。


「ぶもおおお」

 投げるのに疲れて休憩していた時にそいつはやってきた。

「ワイルドボアか。モフナーがかつにしてくれたやつだな。淡雪、あれ夕飯にするか?」

「きゅい」

 あたりはだいぶ暗くなってきている。腹も減ったしそろそろ飯にしてもいいころだよな。

「さあ淡雪。やっておs「ばしゅっ」

 あれ?イノシシが真っ二つ?

「きゅ~」

 ワタツミさんあなたですか。久しぶりだったから活躍したかったのね?


ワイルドボアの腿 品質:良


血抜きがうまくいきあまり臭みがない。脂肪分は少な目。


 もも肉じゃなくて腿がまるまるでした。それが二本。三本あったらいろいろ突っ込みたいけど、まあいいや。

 ≪おめでとうございます。従魔:ワタツミ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


イルカ:ワタツミ Lv:6 up


 HP:112 up

 MP: 58 up



 STR:13 up

 VIT:13 

 DEX: 7

 AGI:22 

 INT:21

 MIN:15


 ≪おめでとうございます。従魔:マイスナ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


フェルトパペット:マイスナ Lv:3 up


 HP:22 up

 MP: 5 up



 STR:8 up

 VIT:7

 DEX:7

 AGI:4 up

 INT:3

 MIN:3


 さて。飯にしますか。

 浮遊岩の放置が怖いからここで食べよう。

「淡雪はこの腿で、ワタツミは自分で獲る?」

「きゅ~」

 川魚でも平気らしい。

 泳いでいくワタツミを見送りつつ、今日はイノかつにしようかね。


「さて、今日はもう寝るか」

 夕食後もひたすら石を投げ続け、このあたりのめぼしい石はだいたいなくなってしまった。野宿するのは構わないけれど、川の水でぬかるんでいるのでこのままテントを張るのは具合が悪い。どうせ明日も石を投げ続ける一日になるだろうからもう少し上流に行こうか。

 メンバーは淡雪、ドリー、マイスナといこう。

 適当な場所を見つけ、今日はもう終わりだ。




 おはようござい……なんじゃこりゃあぁぁぁ!

 改めておはようございます。朝テントから出たら、浮遊岩が育っていました。

 それにともない、夕べ確認したあたりの手ごろな石が、その数を大きく減じています。

ぴっ

 マイスナが片手を上げて挨拶をしてくれるのでそれを返すと、石を一つ抱え、浮遊岩に押し当てる。

「もしかして、一晩中石を運んでいた?」

ぴっ

 どうやら正解らしい。いくら寝ることのないパペットだからってそんなに頑張らなくてもいいと思う。

 ≪おめでとうございます。従魔:マイスナ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 そりゃ一晩中やっていればレベルも上がるよね。


フェルトパペット:マイスナ Lv:4 up


 HP:25 up

 MP: 6 up



 STR:9 up

 VIT:7

 DEX:7

 AGI:5 up

 INT:3

 MIN:3


 さて、ここからどうしようか。すでにめぼしい石はないし。そろそろ岩のレベルでくっつけてやりたい。移動するにしても浮遊岩を動かすのが大変になってきているし。

 ふむ。浮遊岩の高度を上げておいて、【拠点転移】で岩を持って行くか。アイテムボックスにいれれば重さは関係ないしな。

 そうと決まれば早速高度を上げよう。


 高度を上げた後どうやって地上に戻るか考えていなかったよ。

 幸い元の場所に【拠点転移】で戻れたからよかったけど。あと、【拠点転移】は地上に戻る場所をいくつか設定できるらしい。

 米をすぐ入手できるようにあの村をポイントに設定したさ。村を設定したことでさっきの場所はポイントから消えた。というか、一番最初に高度を上げるときだけ一時的に設定されるものだったらしい。

 というわけで、岩を探すために川をさかのぼろうか。メンバーは淡雪、ワタツミ、マイスナとしよう。

 では、久しぶりにワタツミにまたがって出発だ。


「これ、つるはしとかあったら捗るかなぁ」

 川をさかのぼること一時間。あたりの石が少し大きくなってきた。中には僕の体くらいのサイズの岩もある。

「ここにアイテムボックス置いておくから、石箱の中によろしく」

「きゅっ」

「きゅ~」

ぴっ

「では始め!」

 そうして僕らは二時間ほど石を集め続けた。


「さて。一度石をくっつけに行くかな。マイスナ、一緒に行くか?」

ぴっ

 少し石を集めるのに飽きてきたので、ちょっとだけ気分転換だ。浮遊岩の面積的な問題でつれていくのはマイスナだけとする。

 マイスナを肩に乗せ、【拠点転移】を発動。

「ふむ。絶景だな」

ぴっ

「おう。じゃあ、手伝い頼むな」

 コアルームへの階段の脇に、集めてきた石を積み上げる。

「とにかく面積を広げないとな」

 家を建てるにしても何をするにも、圧倒的に面積が足りていない。

 少々怖いけれど、ふちにどんどん石を押し付け、面積を増やしていく。


 いい加減、石の山が小さくなってきたころにそれは起きた。

 突風というような強い風が急に吹いた。僕はなんとか耐えたものの、体がフェルトであるマイスナは体重がとても軽く、僕の目の前で風に飛ばされた。

「マイスナ!」

 その時の僕は、マイスナを助けることしか考えていなかった。とっさに手を伸ばして飛びつく。今いる場所なんか意識していなかった。

 そして僕は、気づけば見覚えのある噴水の前に立ち尽くしていた。

 マイスナは……デスペナルティーで呼べないか。淡雪とドリーは召喚可能だな。僕が死んだことで送り返されたか。

「あれ?毛皮丸くん?」

 どこかで聞き覚えのある声で呼ばれた。

 はたしてそこにいたのはDr.白衣。

「やっぱり毛皮丸くんだ。こんなところでどうしたの?」

「ちょいと死に戻っただけさ」

「へー。どっかのボスに挑戦してきた?」

「いや、墜落死」

「へ?」

「だから死ぬほど高いところから落ちたの」

「そんなところ近くにあるの?」

「それは秘密だ」

「そ、そう。頑張ってね」

 白衣君と別れ、道具をいろいろ補充する。

 このまま拠点制作を続けるには、ステータスも人手も足りないな。

 まずはレベルアップ。そして新しいモンスターだ。


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