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17モフ目

お読みいただきありがとうございます

 おはようございます。

 すでにシンシナティの背に揺られて移動中です。

 ようやく日本食を食べれるようになるかと思うと胸が高鳴ります。

 恋でも心臓病でもありません。

 食欲で高鳴ったっていいじゃない。

 ついでといっては何だけど、ストーンサークルの情報も仕入れてきた。島のストーンヘンジよりもかなり規模は小さいらしいけど、うまくいけば淡雪のクラスチェンジができるかもしれない。

 のんびり歩いても半日ほどらしいから、今日の目標はそこに行って、あとどれだけすすめるか、だな。


 エンカウントする雑魚に目新しいやつは特になく、蹴散らしながら進む。

「ぷう」

 おっと。トトの探知に何か引っかかったな。

 草むらから飛び出してきたのは黒い、蟻?


猫耳アント メス

アクティブ

勢いでやった。やっちまった感はあるけど反省も後悔もしていない。


 運営―――――!!!!!!

 それは、形容するのもおぞましい。

 大きさ自体はソルジャーアントとそう変わらないだろうか。

 六本の足。頭、胸、腹でくびれた体。二本の触角。

 そこまではいい。

 何故に蟻の頭に猫耳が生えてやがる!

 これ、十分にクレーム案件じゃね?

 いや、スクショをとって掲示板に張るべきか。

 とりあえず。

「トトさんやっておしまい。可能な限り素早く!」

「ぷう」

 結果は、うん。頭蹴ったら泣き別れしたよ。

 【解体】でさわるのもいやだから、このまま放置だな。

「ぷう」

 トトの再びの警告。

 ほぼ同時にまた蟻がとびだしてくる。


キャットテイルアント メス

アクティブ

猫耳があれば尻尾もあっていいじゃない。だってモフモフだもの。運営。


 うん。

「汚物は消毒だッヒャーーーーー!」

 死体も残らないように燃やし尽くしてくれよう。

「(エフェクト)光になれぇぇぇぇ!」

 ハンマーはなくて大丈夫。

 痕跡は残さず。

 記憶も残さず。

 掲示板に上げるけど記憶にとどめてはいけない。

 みなさん?いいですね?


 さて。

 目の前にストーンサークルが見えていますが、ここに来て極め付けのモノに出会いました。


着ぐるみアント オス

アクティブ

ここまで来たらやれるところまでやってやる!


 運営。おい、運営。プレイヤーの精神的衝撃はどうでもいいのかよ。

 そいつの見た目は着ぐるみだ。ネコの。

 まあ、着ぐるみ部分だけはかわいいといえるだろう。子供あたりが着ていればほのぼのとしているかもしれない。

 だが、お前はダメだ。

 何が悲しくて着ぐるみの顔のところから蟻の頭がそのまま見えなきゃならんのだ!

 それが六本足でカサカサ動き回るし。

 SAN値チェックが-5Dくらいで削られていく。

「トトさん、やっておしまい」

「ぷう」

 今度もまた、トトの回し蹴りで頭を飛ばしてもらおうとしたけど、

「効いてない、だと!?」

 着ぐるみの素材が耐打撃でもあるのか、大したダメージになっていない。

 ならば火だ。

「ナウマクサンマンタバサラダンカン」

 着ぐるみに火球がかすり、あっという間に燃え広がる。

 が、一瞬で火が消える。

「焦げ目一つない、だと?」

 着ぐるみは腹立たしほどつやつやしている。

「いいなぁ、あのモフモフ」

 すぱぁんとトトの回し蹴りが僕の尻にきまる。

 ウン、マジメニヤリマスヨ。

「インダラヤソワカ」

 雷ならどうだ。

 ああ、うん。効いてないね。

 顎をカチカチ言わせて威嚇してくれてる。

 しかし、【陰陽】って威力上がんねぇのな。

 仕方がない。SAN値的にあまりやりたくないけど、接近戦を挑むか。

「シンシナティ、突撃だ」

 チャージを発動して肉薄する。

 そして、着ぐるみの毛の流れで、すべった。

「は?」

 どんな性能の着ぐるみだ!

「シンシナティ、ドリー。あれ、踏み潰せる?」

「ぶるる」

「めぇー」

 うん。わかってる。聞いてみただけだからそんな嫌そうな声出さなくてもいいじゃないか。

 しょうがない。鉈どたまかち割ってくるか。

 相変わらずカチカチ威嚇してくれているけど、それ以上のことをしないな。

「ていっ」

 鉈はあっさり頭に食い込み、着ぐるみ、もとい、アリは動かなくなった。

 うん。

 弱点にはとことん弱いタイプだったのかなっ。

 明るくいってもむなしいだけだな。

 この着ぐるみには興味があるから、【解体】してみようか。


蟻の毛束 品質:普通


蟻のアレの毛。あなたも好きね。


 運営。おい、説明。

 立ち直るのに十分ください。


 はい、立ち直りました。

 トトを送り返して淡雪を召喚。

 さあ、クラスチェンジはできるかな?

 ストーンサークルには、見た覚えがあるような陣が引かれていた。

 中心まで来ると陣が光だす。

 ≪クラスチェンジ可能な従魔がいます。選択してクラスチェンジを行ってください≫

 うん。いけそうだ。

 ウィンドウから淡雪を選択。

 選択肢は


フェザードラゴン


 の一択。

 さてはモフモフ度がアップするな!?

 迷うことなく選択。

 オレンジ色のエフェクト光に包まれた淡雪はその姿を大きく変えた。

 僕の頭に乗るほどだった大きさはドリーほどに。

 頭には短いながらも二本の角が。

 背中には蝙蝠のような、それでいて短い毛におおわれた翼が。

 そして何より、ラヌーゴドラゴンのときより柔らかく長い、羽毛のような毛が覆っている。

 これは堪能せざるを得ない。

 だが待て。

 まずはステータスの確認だ。


フェザードラゴン:淡雪 Lv:1


 HP:201 up

 MP: 92 up



 STR:25 up

 VIT:30 up

 DEX:14 up

 AGI:20 up

 INT:18 up

 MIN:16 up

スキル:幼体 水中行動 飛行new 噛みつきnew ブレスnew


 これは育ったなぁ。でも、まだ幼体は残っているか。

 おっと、ブレスの属性指定ができるのか。

 ここは光にしておこうか。

 では。

 モフモフを堪能させていただこう。

 減ったSAN値も回復させるのだ。


 そうして淡雪をもふりながら移動すること三日。

 僕の前に田んぼが広がっている。


また土曜日に更新しますよー

一週間に一話。いつまで続けられるかな。

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