六話 ぼくのかんがえたさいきょうすきる
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『 存在進化が、完了しました 』
『 鋼装巨蟲・異常種の、基礎能力が付与されます 』
『 能力【鋼装強化】を、獲得しました 』
『 能力【超突猛進】を、獲得しました 』
『 能力【疾風怒濤】を、獲得しました 』
異世界生活三日目だ!
昨日の大虐殺の結果、俺は一個上位種に進化できたみたいだ。
それにしても、たかが『緑鬼小僧』二十体で進化とか、どんだけ俺の種族は弱かったんだ?
まあ、普通は捕食される側が捕食する側を倒すことなんて出来ねえしな、俺が普通じゃないんだろう。
種族も異常種だし。
・・・泣けてくる。
よし!では気を取り直して、体から確認してみよう。
やたらと、棘のようなスパイクがついた黒い鋼鉄製の鎧。
以前より、遥かにでかくなった体。
それはまるで・・・
(ただのでかいイモムシに、鋼鉄製の皮膚をつけただけだな)
いや、嬉しいよ、でもさ・・・俺は芋虫から卒業したかったんだよ。
しかも、この鋼鉄の鎧、さっきからやたらと木に引っかるんだよ。
誰だよ、こんな棘つけたやつ、邪魔だよ。てか正直いらん。
あと体、でかくなりすぎというか、前のが一メートル前後だったのに対してこの体、五メートルは普通に超えてるぞ。
まあ、これなら『緑鬼小僧』に負ける事はなさそうだが・・・。
・・・これは諦めるものとして、次にいこう。
切り替えは大事だ。
さてと、次はステータスだな。
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《種族》 鋼装巨蟲・異常種
《能力》 【絶対捕食】【同属吸収】【麻痺耐性】【粘糸生成】【鋼糸生成】【猛毒耐性】【鋼装強化】【超突猛進】【疾風怒濤】
《称号》 【輪廻異常者】【不釣り合いな魂】【罪を背負う者】【屍喰い】【鬼殺し】【罠師】【下克上】
《加護》 無し
《祝福》 無し
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ふむふむ、色々と増えてるな。
説明はっと・・・
【鋼装強化】:鋼装を強化するよ。一定時間で切れるし、使ったらしばらく使えないから使いにくいよ。
【超突猛進】:いわゆる突進。頑張って使えば使える回数が上がるよ。
【疾風怒濤】:移動が速くなるよ。でも、せいぜい三倍くらいだよ。少しだけ長く持つよ。
おお、なかなか使える能力ばかりだ。
ちなみに、効果時間は【鋼装強化】は三十分、【疾風怒濤】は二時間みたいだ。
【超突猛進】は、今のところは一日十回が限界みたいだ。
回数制限は厳しいが、なかなかのものだ。
今度使って、確かめてみよう。
最後に称号は・・・
【鬼殺し】:鬼族を大量に殺した上、鬼の主も殺したよ。この殺人鬼―――じゃなくて殺鬼蟲が!
付属能力:鬼族に対する攻撃時の威力増加
【罠師】:大量の生物を、罠にかけた。高みの見物か、こら!
付属能力:罠にかかる確率、上昇
【下克上】:本来なら、絶対倒せるはずない生物を、倒した。まあ、全部罠のおかげなんだけどね。
付属能力:上位種に対する攻撃時の威力増加
いつも思うんだが、このムカツク説明はどうにかならないのか?
俺の怒りは、頂点に達したー!
て、感じにいつかなりそうだ。
とりあえず、称号も今回はまともなものばかりだな。
説明は、いらつくが。
う~ん、能力とかは大体わかったから、何か狩りにでも行くか。
実戦でしか、わからないことって多いもんな。
*
「キシャァァァァァ!!」
ドンッ!バキバキ!
「ギャー!」
ドンッ!バキバキ!
いや~さっきは使えないって言ってごめん。
めっちゃ活躍してるわ。
まず、トゲトゲの部分。
避けたやつとか、そういう奴はこの棘に引っかかって一撃必殺!
何回も戻らんなくていいのがいい。これ、役に立つわ~。
次、能力だな。
なんと、能力は重複使用ができるみたいだ。
だから新しく手に入った【鋼装強化】と【超突猛進】と【疾風怒濤】を、重複発動させた時は、やばかった。
だって、山にもう一つ大きな洞窟が、できたもの。
ありゃー、やばかった。
急いで止めなかったら、貫通してたよ。マジで。
ちなみに、前の洞窟は、でかくなりすぎて入れなくなってしまたので、自作の洞窟にお引越し。
荷物は、【鋼糸生成】と【粘糸生成】で持ってきた。いわゆる、とりもちロープ。
あっ、獲物もね。
『緑鬼小僧』うまー。
しかし、巨虫の時は足りていた量でも、鋼装巨蟲には、全くと言っていいほど足りなかった。
・・・しょうがない、新しい獲物を探すか。
*
「プヒー」
「ギャッギャッギャッギャッ!」
なんと、獲物を探していたら決闘現場に来てしまった。
東ぃ~、『緑鬼小僧』四匹に、それを成長させたような・・・よし!『緑鬼隊長』(今命名)一匹。
西ぃ~、なんかエロそうな顔した二足歩行の人間型豚。う~ん、名前は・・・『好色豚』だな。『好色豚』二匹。
ちょっと相撲風に紹介してみた。始まるのは相撲じゃなくて、殺し合いだと思うけど。
「ブヒ、ブヒヒ、ブヒー!」(ようやくこの時が来たな、『緑鬼小僧』共)
「ギャ、ギャギャギャッ!」(それはこちらのセリフだ。『好色豚』め)
「ブヒー、ヒッヒッヒ」(今日こそ貴様の息の根を止めてやる。そして、ここが誰の土地か知らしめてやるわ)
「ギャギャギャ!ギャギャッギャー!」(笑わせるな。ここは先祖伝来の我ら、『緑鬼小僧』の地、貴様らよそ者にくれてやる場所などない)
「ブヒブヒブヒッヒー!」(戯言を!いつまでそう言ってられるかが楽しみだ)
言葉は、さっぱりわからないから少し翻訳(想像とも言う)してみた。
でもあの会話、『緑鬼小僧』とか『好色豚』には本当に通じているのかねぇ?
種族が変わったら、言葉もわからないと思うんだが。
それにしても、いつまで前口上言ってるんだろう。あれって士気上昇しか効果ないから、正直こんな少人数でやっても意味ないと―――おっ、始まった。
暇なので戦力分析。
チーム『緑鬼小僧』
・『緑鬼小僧』四匹『緑鬼隊長』一匹
・武装は、『緑鬼隊長』が錆びた短剣で、『緑鬼小僧』が棍棒。
防具は両方共腰の布だけ。
チーム『好色豚』
・『好色豚』二匹
・武装は両方とも、刃が欠けた剣。防具はボロボロの革の軽鎧。
・・・どうなんだろう。一対一では、『好色豚』の方が強そうだが、今は集団戦だ。
数的に見れば、『緑鬼小僧』。
質的に見れば、『好色豚』。
まあ、直ぐに決着はつくと思うよ。
えっ、なんでかって?
決まってるじゃないか、もちろん―――乱入するからだよ。
*
悲しい・・・戦いだったね。
起こしたのは俺だけど。
まさか、突進を止めに来るとは思わなかった。
結局、能力の重複発動をした俺の敵でなく、両者共はねられて死んだ。
鬼畜の三段スキルコンボだね。
これから【黒き砲弾】とでも、名乗ろうかな。
ちなみに、三連スキルコンボは【覇激連突】と名付けよう。
そんなことを考えていたら、またアナウンスがかかった。
『 能力【覇激連突】を、獲得しました 』
まさか・・・自分の考えた技が、能力になろうとは・・・。
*
今日の戦果。
『緑鬼小僧』四匹、『緑鬼隊長』一匹、『好色豚』。
『緑鬼小僧』は、もう食べたことがあるが、『緑鬼隊長』と
『好色豚』は、初めてだ。
ちなみに、昨日出てきたやたらデカイ奴は、『緑鬼小僧』よりデカイ『緑鬼隊長』と比べても、まだデカかった。
ということは、『緑鬼隊長』の上位種か?
とりあえず、今は食事の方が重要だ。
まずは、『緑鬼小僧』三匹。一匹は、もし『緑鬼隊長』や『好色豚』がまずかった時用。つまり口直し。
バキバキ、ボリボリ、グチャグチャ。
相変わらずの美味さ。新鮮さもそれに輪をかけている。料亭に出せるね。
次、『緑鬼隊長』。
ガリガリ、バキボキ、ゴリゴリ。
・・・素晴らしい。
昨日のデカブツよりは下だが、それでも『緑鬼小僧』を超える美味さがある。
筋肉質な肉は、歯ごたえがあり、味が薄い骨もその食感を楽しめる。
最後、『好色豚』。
ポキポキ、ポリポリ、ニチャニチャ。
・・・イッツワンダホー!
思わず訳のわからない英語を言ってしまうほど、美味だった。
ちなみに、味は豚肉的な。
しかし、それはスーパーで売られているよな安い肉でなど決してない、一枚何千円レベルの最高級豚肉、いやそれさえ超える。
ジューシーな肉、柔らかい脂身。それら全てが調和しあって最高の肉を構成している。
こんどから、『好色豚』中心に狩ろうかな。
そう思わせるほどだった。
大満足の食事だった。そろそろ果物も探すのもいいかもしれないな。
そう思い、寝た。
実は、もっと早く出す予定だった、オーク。
ゴブリンに出番を取られていました。