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バグズ・ノート  作者: 御山 良歩
第三章 百年後の世界
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四十六話 皇国殲滅作戦―爆槌―

やっと四装も終わった。

プロットでは凄いチョイ役だったのに、こいつら目立ちすぎだよ。

 北門


 南門では、魔術を使い殲滅力を競った戦いであった。

 東門では、毒を使い搦め手を交えた戦いであった。

 西門では、速さの極致を競った戦いであった。

 ならば、北門の戦いは何であるか?

 目にしたものはこう語るであろう。

 北門は、世界で最も純粋な暴力―――”力”の戦いであったと。


 轟っと風切り音を立て巨大な斧が振り下ろされる。決して速くはない一撃。

 しかし、それだけで大地が裂けた。

 轟っと風切り音を立て巨大な槌が振り下ろされる。決して遅くはない一撃。

 しかし、それだけで大地は砕けた。

 ギロチンのような巨斧と金属の塊にしか見えない巨槌がぶつかり合った。

 それだけで、大地が引き裂かれ、潰された。

 

 巨斧を両手で握りこみ、振るうのは紅色の騎士―――コーカサス。

 巨槌を肩に担ぎ、振り回すのは筋骨隆々の小男―――爆槌。


 二人が打ち合い続けてから既にもう一時間は経過していた。しかし勝負はいまだ決まらない。

 コーカサスの持つ巨斧は【塵斧《死せる激龍の慟哭(ドラゴンフレア)》】という名の神器だ。

 爆槌の持つ槌も神器ではあるが、コーカサスの持つ神器は二言ではなく五言の、それも正真正銘主神が作り上げた神器。圧倒的なまでに武器としての格が違う。

 しかし、爆槌はその差を経験で補っていた。

 コーカサスはムーによって命を授かってからまだ半年も経過していない。

 だが、爆槌は既に二百歳を軽く超えている。実にコーカサスの四百倍以上生きているのだ。

 身体能力と武器はコーカサスのほうが上、しかし技術と経験は爆槌のほうが上と、決定打がどちらも決まらず千日手となっていた。

 

「かっかっか!まだ終わらんか!」


「・・・・・・【焔龍刃】・・・」


 巨斧に紅蓮の焔を纏わりつかせて一閃し、紅色の斬撃を爆槌へ飛ばす。

 振り積もる粉雪を蒸発させながら飛ぶ高速の紅撃は、阻まれることなく爆槌の腹に直撃した。

 しかし焔は空しく消え、爆槌の体には焦げ跡どころか煤すら残っておらず、ケロッとしている。


「温い、温いぞ!ワシらドワーフは大地を寝所とし、炎と共に生きる一族!この体を焼くには、地獄の業火でも生温いぞ!」


 あいも変わらず妙にハイテンションでそう叫びながら、爆槌は巨槌を振り下ろす。

 コーカサスは巨斧を傾けて持ち、眼前に迫り来る巨槌を柄で滑らせる。

 だが、爆槌は踏み込んだ右足を支点として、横へ変えられた運動エネルギーを利用し、その場で一回転して無防備なコーカサスの脇に巨槌を叩き込んだ。

 ガンっと曇った音がし、コーカサスは地平線へと吹き飛んだ。

 コーカサスは放さず持っていた巨斧を地面に突き刺し、強引に静止する。

 もちろん、コーカサスの身に傷はない。

 創造主であるムーが保持している決して破られない外骨格と、例え一握りの灰となっても再生できる生命力ほど頭のおかしい能力は流石に持ち合わせてはいないが、コーカサスは見た目どおり再生ではなく不壊を強く受け継いだ眷属、この程度ではかすり傷さえ負わない。

 

 このように、耐久の面に関しても一人と一匹の戦いは終わらない。

 そして、互いの防御を貫けるほどの攻撃を放とうとすれば爆槌は経験で、コーカサスは直感でそれを判断し全力でそれを放つのを阻止する。

 しかし、戦局全体としてみれば決して拮抗などはしていなかった。

 むしろ、魔神勢が圧倒的に押していた。

 北門を攻めるのはコーカサスだけではない、アルゼンの無限の軍隊にベルゼの従体もいる。

 爆槌とコーカサスの戦場を避けるように侵略は進み、門は既に陥落寸前。だが、防衛の主戦力である爆槌はコーカサスが抑えている。

 北門突破は既に目の前まで見えていた。


「・・・・・・北門・・陥落・・寸前・・」


「おお?確かにあの童共じゃあ神の軍勢を抑えるには力不足じゃなあ。だが目的は達成された!」


「・・・・・・目的・・?」


「修行だ!伊達にこの北門の守護騎士をやってるやつはおらんが、まだまだ青すぎるのでなあ!これも良き経験!自らを圧倒する軍勢の経験、そして次々に倒れていく死地にて踏ん張る意地、ましてや相手が神の軍勢など滅多に味わえるものなどではない!」


「・・・・・・本末・・転倒・・」


「確かに、ワシの行っていることは防衛するものとしては本末転倒!勝てるかもどうかもわからん敵に余裕を見せることは愚の骨頂!しかし!」


 声を張り上げ、爆槌は腰を落とし、槌を地面へと突き立てる。 

 

「それを見せるということはそれだけの技があるということ!見よ、我が秘術を!

 『この意思は決して砕けず、この覚悟は如何にしても消えず

  友の死を超え、王の命がため、血を啜り狂気を食らい

  ただ血と鋼鉄の大地にて鎮座しつづける!

  我が名の下に、顕現せよ!

  ―――【未練の屍壁】』!」 

 

 爆槌の両手が曇った茶色の光を帯び、地面に溶け込んでいく。

 すると、周辺に散らばっていた精霊騎士団の肉体が茶色の光を帯び腐敗し、ぐずぐずに溶けていく。

 次々と死体を溶かす光は死体を食らうごとにより大きくなっていき、全ての死体を溶かしきった時ぼろぼろになった城壁に取り付いた。

 そして出来上がったのは、奇妙にして醜悪なる血と泥と骨によって構成された新たな城壁であった。

 固まって真っ黒になった血と泥がぐちゃぐちゃに混ざり合ってマーブル模様を描き、ところどころに見える白骨の腕は何かにすがりつくように空を引っかく。

 ベルゼの蟲は先ほどと変わらず真っ直ぐ城壁に突撃する。

 すると、蟲がぶつかった場所から大量の腕が生え、蟲を止める。

 しかし、それだけでは飽き足らず腕は血と泥の中に蟲を引き込んでいく。

 蟲は抵抗するがそれも空しく、次々に増えていく腕によって押さえつけられ城壁に飲み込まれていく。

 そして、ゴリゴリガリガリと身の毛のよだつような何かを削る音が響き、蟲は消滅した。


「ワシの種族はあくまでもドワーフ!そしてドワーフは土と火に親しきものであり、その優れた技巧により生み出す者の一つ!ただし、ワシが作れるのはより死と土に近き不死種と連携したこれだけなのでなあ!童どもの死は無駄にはせん!その未練を死後もまた、教皇様がため働いてもらおう!」


「・・・・・・陰湿・・」


「何を言おうが、ワシはワシの信ずる道を歩み続ける!さあ、これで互いに城壁に対する心配は無し!続きを始めようではないか!」


 そう叫び巨槌を地面に叩きつける。

 すると槌の先端が赤い光を放ち始める。

 コーカサスはその光を見て、咄嗟に巨斧を自らの前に楯のように構えた。

 瞬間―――大爆発がコーカサスを襲った。

 大地を捲り上げ、まるで火山の噴火のように土煙と轟音を上げ、爆炎は大地を這いずり回る。

 

「かっかっか!我が槌は、墳土の神と爆火の神より力を頂し神器!【爆槌《壊潰塊(オンリーメイカー)》】!この槌が触れし大地は、全てを破壊する爆薬と化す!すなわち!この大地全てが、ワシの武器でもある!」

  

「・・・・・・【塵撃】・・・」


 土煙にまぎれるように爆槌の真横に回り、コーカサスは巨斧を振りぬく。

 轟っと音を立て巨斧は振りぬかれるが、残念なことに手ごたえは皆無。

 それもそのはず、一瞬だけ晴れた土煙の先にいたのは、地面にぽっかり空いた穴。


「ワシはドワーフ!土と火に愛されしもの!精霊術もお手の物だ!」


 コーカサスの周囲の地面が隆起し、コーカサスを閉じ込めるように包み込もうとする。

 コーカサスは巨斧での破壊を一瞬にして決断し振りかぶる、しかし巨斧はそこで止まってしまった。

 視線を向ければ巨斧には頑強な岩が纏わりついていた。

 いくら頑強と言えど、たかが岩程度でコーカサスの怪力をとめることはできない。

 だが、その岩を砕く一瞬の隙、そこが爆槌の狙いであった。

 

「吹き飛べえ!【大爆殺(エクスプローション)】!!!」


 穴から飛び出し、コーカサスを包む大地を上から叩き潰した。

 瞬間、先ほどまでとは比べ物にならない大爆発が発生した。

 一里先でも鼓膜が張り裂けかねない轟音が世界を震わせ、未練の屍壁の一部と蟲は衝撃波で吹き飛んだ。

 土煙は空高くまで昇り、地割れは地平線まで走る。

 生存は絶望的、しかし爆槌は構えを解かない。

 

「かっかっか、これでも死なんか!」


 そう言って目を細めた先、土煙にまぎれ立つのは一つの紅い人影。

 コーカサスだ。だが、その姿は先ほどとは変わり果てたものであった。

 全身の外骨格には細かなものも含めれば無数のの亀裂が入っており、特に左肩から腹にかけ大きな亀裂が走っており、真っ赤な血が滲みでている。

 そして―――右腕が肘から消滅していた。


「爆発の衝撃を、右腕で相殺したか。咄嗟に右腕を犠牲にする判断は見事!しかし片腕ではもうその斧は振れんだろう!」


 爆槌が言うとおり、巨斧の重量は恐ろしく重い。

 常人なら持ち上げることは適わず、町で消し炭になった冒険者も身体強化をフルで使ってあれなのだ。

 コーカサスは持って生まれた強靭な肉体があるゆえ使えるのだが、それも両手でのこと。

 片手でも扱えないことはないが、それは使うというより振り回しているといって言いだけのお粗末なものとなってしまうだろう。

 コーカサスは右手を、正確には右腕を下ろし、自らの手があった場所を無言で見つめる。

 そして、何かに気がつくように左手にもつ巨斧の視線を向け、そして自らの目の前に巨斧を深く突き刺した。 

 爆槌は、その行動をようやく自分の危うさに気がついたものだと思った。

 巨斧を置いた行動は、自らに対する降伏の行動であると思った。

 だからこそだ。

 その次の行動は、あまりにも予想外のことであった。


 コーカサスは、左手で腰の剣を抜き放ち、巨斧の柄を断ち(・・)切った。

 

「ほお!?」


 勘違いしている者も多いが、神器とは全てが不壊ではなく、また神が創ったものだけが神器でもない。

 神器の本来の意味は、『神』の力を降ろすのに相応しき『器』、つまりそれなりの耐久度は求められるが不壊である、もしくは神が創造しなければいけないといったことはないのだ。

 巨斧―――ドラゴンフレアも、元々は巨獣の骨を削り作られた武器、巨獣を殺せ骨を加工できた以上、巨斧が破壊されないことはない。

 ただ、神の力を降ろすからには普通の手段では壊れないほどの強度は求められるが、それが生成できるのなら早い話人間が制作したものでも神器となることはできるのだ。

 

 コーカサスは剣を鞘に納め、切り落とした柄の部分を持ち上げる。

 爆槌は、もはやコーカサスが何をやろうとしているのかもわからない。神器を断ち切った腕前は評価するが、その行為に何の意味も見出すことができず、ただ茫然と見ている。

 そしてコーカサスは柄を見て小さく頷くと、石突を手前に持ち―――右腕に刺した。

 そのまんまの意味である、爆発により消滅した部分に丁度合うように切り落とした柄をぐりぐりと刺し込んでいき、柄が食い込むごとに右手からの出血はよりひどくなっていく。


「おいおい、そいつは笑えんぞ眷属よ。己の腕を失い、気でも違えたか?」


 爆槌はその行為をショックによる自傷行為と判断した。

 客観的に見ても、爆槌の判断は間違っていないだろう。

 だが、一つ重要な要素を見逃していた。

 コーカサスは、世界で最も奇怪にして超常たる生命体―――神の眷属であると。


 まず最初に、石突とは反対側にある柄の断面が五つに裂けた。

 そして五つの棒は折れ曲がり、二つの間接ができあがる。

 腕の切断面から赤い管と青い管が這うように柄に巻きついていく。

 管が五つの棒の先まで伸びると、紅蓮の炎が柄から放たれ・・・残ったのは真っ黒に焦げた柄ではなく、紅蓮に染まった腕。

 いやそれは腕ではなく、龍を模した籠手であった。

 まだ残っていた肩まで飲み込んだ籠手は、傍目から見ても生きているとわかるほど生命力を放っている。

 コーカサスは元の腕より一回りほど大きくなった右腕を確かめるように握ったり開いたりする。

 爆槌は驚愕すら超えて、呆れの表情でそれを見ていた。 


「・・・もはや、驚愕すら無駄に思えてくるものだなあ!まさか、柄を骨代わりにして腕を生やすとは!これだから、神は面白い!」


「・・・・・・・・・」


 爆槌の賞賛を聞き流し、コーカサスは新たに生成された右腕で巨斧を持ち上げる。

 柄が短くなったことで重心が前よりずれてしまい、多少ブレはみられるがそれでも振り回されるといった印象は見受けられず、以前よりも数倍増強された剛力で、ぶんっと素振りをする。

 更にコーカサスは、空いている左手で剣を再び抜き放つ。


「二刀流か!確かに柄が短くなったそれならできるだろうが、片手で切られるほどワシの体は柔ではない!」


「・・・・・・否定・・・」


 爆槌の言葉を、コーカサスは素っ気なく否定した。

 コーカサスは左手の剣と右手の巨斧を重ねる。

 

「・・・・・・―――灯れ、【灰炎の枝(レーヴァーテイン)】」


 コーカサスの手元に灰色の炎が灯った。

 蝋燭のような、小さな小さな灰色の炎。

 揺らめくそれは、そよ風で消えそうなほど頼りない光で手元を照らす。


〈我等が命は御身がため〉       『例えその火が消えようと』

    【この胸に灯る火種は消えることはない】    《我等の尽きぬ慟哭を燃料に》

(ワレラノオワラヌゲッコウヲタネビニ)    {伸びよ育てよ、灰色の枝よ}


 巨斧から老若男女すべてが入り混じった声が聞こえた。

 そしてまず最初に、一本の棒・・・枝が飛び出た。

 灰色の炎の枝は成長し、次々に枝分かれし、一本の大樹へと変化していく。

 爆槌は駆け出した。

 経験ではあらず、爆槌を駆り立てたのは本能。

 より大きく、より天へと登るほどに、灰色の枝は威圧感を高めていく。

 だが、止めるには爆槌の初動はあまりにも遅すぎた。


「・・・・・・【破灰樹の倒木】」


 灰炎の大樹は、振り下ろされた。


 爆槌は咄嗟に精霊術を唱え、自らを守る()を作り上げた。

 周囲から鉄分を奪い取り、土の中で結合させ、一時的に精霊の加護を与え耐熱と耐久性を上昇させる。 そしてできた鈍色の真ん丸な球体はまさに卵の殻、もちろん卵の殻ほど脆くはないが。

 殻のせいで周囲の状況はわからない。

 精霊による通信も、神の眷属が出現したことで精霊が怯え、ずいぶん前からまともにできない。

 殻の中で息を潜めること数十秒、加護が消えたのか殻はぽろぽろと崩れていく。

 一瞬焦った爆槌ではあったが、外の空気が入り込んでも何もないことから攻撃が終わったと判断した。

 内側から殻を突き破って外へ踏み出せば、一面濃い砂埃の世界であり何も見えない。

 いや、砂埃に紛れて、一つの人影が爆槌の目に映った。

 巨大な斧を構えた灰色の人影―――コーカサス。

 何故か見るも鮮やかな紅ではなく、どこか汚れた感じのする灰色へと鎧の色を変えているが、それは先ほどの大技を放ったことによる反動である、そう判断した。

 輝きを失った灰色の鎧に、先ほどまでの覇気は感じられない。

 巨槌を握り締め、大地を踏みしめ、大きく振りかぶる。

 

「ふんぬうううううううううっ!!!」


 爆槌は雄たけびを上げながら、コーカサスに迫る。

 そして、後数寸といった場所で―――コーカサスは振り返ることすらせず巨斧で止めた。

 ガキンッと鈍い音が響く。

 爆槌は三歩後ろへ下がり、巨槌を再び振りかぶった。

 狙う先はコーカサス・・・の足元の地面。

 巨槌のスキル―――【地雷地帯】を発動すれば、コーカサスの足場を崩せる、先ほどの灰色の炎で焦げた地面なら確実にやれる。

 勝利への方程式を作り上げた爆槌はにやりと笑い、その巨槌を振り下ろした。

 

 だが―――【地雷地帯】は発動しなかった。

    

 ポスンと、小さな煙が巨槌の下で昇る、

 なぜ?と疑問の声を上げることすら忘れ、爆槌は呆然としてしまう。してしまった。

 刹那、爆槌の体を巨斧が切り裂いた。

 右肩から左腹まで、巨斧が通過する。

 ゴフッと、血を吐き出し、爆槌は倒れこんだ。

 

「・・・・・・お返し・・・」


「・・・カッカッゴフッ・・ゲフッ・・・案外腕のことを根にもっとるようじゃないか・・・」


 最初のように腹に響く大声でなく、血を口から吐き出しながらほとんど死に体で爆槌は言葉をつむぐ。

 上半身下半身でなく右半身左半身に真っ二つに切り裂かれた爆槌は、一本しか残っていない腕で体を転がし、うつ伏せの状態から仰向けになる。

 生命の源はどんどん流れていっており、もはやいつ死んでもおかしくはない、そんな状況に関わらず爆槌の表情は非常に晴れやかな笑顔であった。


「・・・お主も、存外無茶をやるようなやつだ。まさか・・・大地全てを焼いて灰に変えてしまうとは・・ゲフッ・・・カッカッカ・・それなら、ゴフッ、ワシの槌も使えんわけだ・・・」


 そう、【灰炎の枝】でコーカサスが狙ったのは、最初から爆槌ではなかった。

 爆槌が爆槌である唯一の能力、【地雷地帯】を奪うため、コーカサスは大地を狙って【破灰樹の倒木】を発動していた。

 炎の眷属であり、ムーからも炎の能力を受け継ぎ作られたコーカサスの本気の火力を受けた大地は、現在半径十キロ全てが灰と炭になっており、もはや灰砂漠といってもいいほどである。

 

「・・・・・・・・・」


「・・・語ることはなし・・・ゴボッ・・・それも良かろう。さあ、止めを・・・」

 

 コーカサスは巨斧を上段に構える。


「・・・・・ああ、堅物も、双子も、狼も死んだか。ワシも、そちらへ行こうぞ・・・」


 巨斧は炎を纏い、ギロチンの如く爆槌の首を切り落とした。

 

 いつも白しか映らぬ北の門に、見惚れるほど綺麗な紅が立ち昇った。

次回皇国殲滅作戦最終回、お待ちを。


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