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バグズ・ノート  作者: 御山 良歩
第三章 百年後の世界
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三十四話 酒宴

 鉄の門をくぐり抜けたその先、そこはまさに絶景であった


『おおお・・・』


 綺麗に敷き詰められた石畳に、あちこちに見える見慣れない構造物。

 ここからでも見えるぐらいの大きな噴水が見えたり、ずらりと並んだ色とりどりの屋台があったり、果てには低空だが空を飛ぶ船まで見える。

 思わず声を上げてしまうほど、エレメル村は変わりまくっていた。

 空から見たときもそうであったが、近くで見るとより一層変わっているのが見える。

 これはもう、村じゃなくて国だな。いや、実際に国になってるんだろう。 

 国防と言うか、戦力的には問題ないだろうし。


『随分と立派になったものだな』


「えへへへへ、そうでしょ。皆で頑張ったんだよ」


 ちなみに今の俺はレイラに抱き上げられている。

 えっ?『巨虫(ビックキャタピラー)』じゃでかくて持ち上げられないだろって?

 俺もそう思うんだが、なんとレイラはかなり腕力があるみたいだ。俺がわざとサイズを小さくしたってのもあるかもしれないが。

 それでも三十キロ。これも加護の効果なのかね?


「それじゃあ、もうすぐ皆も集まるからもうちょっと待っててね」


『・・・?皆って・・・生きていたのはレイラ達だけじゃないのか?』


「うん、エレメル村のころの皆は全員生きてるよ。知らなかったの?」


『いや、知らないが・・・そもそも、なんでレイラ達はまだ生きていられるんだ?この世界から俺が消えてから百年経ってるはずだろ?』


「うーん・・・内緒!」


 残念なことに教えてはもらえないようだ。

 まあ、後で村長に聞けばいいだろう。

 ちなみに今はいない。門を超えたところで、別の門の防衛の件で戦後処理的ななにかをしなければいけないと言って先に行ってしまった。

 偉くなるってのも大変だな。


「こんにちは、レイラ様!」

「先ほどミスラ様が大魔術を発動していたようですが、お怪我はございませんか?」

「おや、珍しい。その魔物ペットですかな?」


 大通りを歩いているといたるところからレイラに言葉がかかる。

 無邪気に笑う子供、心配そうにレイラを見る主婦、俺を不思議そうに見る老人、ありとあらゆる人種人層からかかる声に、レイラは全て丁寧に返答している。

 慕われてるなー。

 俺なんか、挨拶したら殴りかかられたよ。神界の事だから、どこで常識が捻じ曲がってるかわからないから、俺が悪かったのかもしれないけど、無言で殴りかかってくるのはやめて欲しい。

 まあ、紆余曲折あって仲良くなったけど。単に人見知りだったよあいつ。

 特に何を考えるというわけでなくその光景を眺めていると、子供たちが遊びで上に乗ってくる。

 少々騒いでいてうっとおしいが、子供のやることだ。好きにやらせておこう。

 そう思っていると、横から現れた女性が子供を持ち上げる。母親か?


「こらっ、魔物なんかに乗ったら危ないでしょ!降りなさい!」


「えー、でもこいつ暴れないよ?」


「そうなわけないでしょ。確かに『巨虫(ビックキャタピラー)』はよほどのことがないと暴れないけど、万が一があったら・・・あれ?その模様・・・」


 子供の母親は、何故かこちらを凝視してくる。なんだなんだ、俺の模様に何かあるのか?

 と、ここで奇妙なことが起こった。

 茶色から赤、子供の母親の右目の色が突然変色したのだ。中心には、真っ黒な十字が刻まれている。

 なに?中二病にでも目覚めちゃったのか? 


「あんたもしかして・・・」


「こんにちは、ヘレンさん」


「え、ああ、こんにちはレイラちゃん。この魔物なんだけど、もしかして・・・」


「しー、まだダメですよ。中央協会で、久しぶりに皆で集まるそうですから、ヘレンさんも暇があったら行ってみて下さい」


 それだけレイラが言うと、ヘレンと言われた母親は意味ありげに笑みを浮かべ、手を振りながら行ってしまった。

 いったいなにがどうなんだ? 


「それじゃあ、もうちょっと時間があるみたいだから私がこの国を案内させてあげる!」


 レイラも気にしてないようだし、大したことじゃ無さそうだな。

 

『ああ、頼む。百年の間に色々と変わっているみたいだからな』


「ふふふ、百年もあれば、全部変わっちゃうよ。まあ、私がいれば大丈夫だけどね!それじゃあれっつゴー!」


 こうして、虫と巫女の新エレメル村の見学が始まった。




          *




「最初はここ、大広場だよ!ここの名物はなんといっても巨大噴水!おっきいでしょ!」


『門から見えてた噴水か。豪華だな・・・どれだけ金掛けたんだ?』


「むー、そこは気にしちゃダメだよ。それに、国の水はここから引いてるんだから、役に立ってるから贅沢ってわけじゃないんだよ。実用性あるんだから」


『でも、ここまででかくする必要はないんじゃないか?』


「大きくないと、名物にならないでしょ!それにここはいつも涼しいから夏は大人気の場所なんだよ。次いこ次!」


 



「次はこの国の特産品を一手に引き受けている工房。結構機密技術とか多いから、中央に近いんだよね。あ、そうそう、あそこに見える空を飛んでる船もここで開発されたんだよ」


『そりゃ凄いな・・・ところで工房自体の耐久性も高いのか?』


「え?そりゃ機密防衛のための戦力は高いけど・・・なんでそんなこと聞くの?」


『いや~なんか爆発事故を起こしそうな感じがするから』


「むうう、そんなこと起きな(―――ドカーン!!!)いはずなんだけどな・・・?」


「おーい、また工房のやつらがやったみたいだぞー」


「誰か回復魔術使えるやつ連れてきてやれ~」


「ったく、今月何回目だよ・・・十二回目か?」


『なんか凄く慣れてるっぽいんだが・・・』


「そ、そんなはずないもん。報告書だって、月に二・三回しかないって書いてあったもん!」


『起きてることには起きてたんだな』


「ううう・・・後で予算組んでおかないといけないかな・・・?」


『頑張れ』





「次は商店街だよ!」


『おお、いい匂いだな』


「ここの料理はおいしいんだよ。私はあそこのシャーベットが好きかな?ムーちゃんも何か食べたい?」


『それじゃあ、そのレイラのお勧めとやらにするか』


「わかった―――ちょっといいですか?」


「へ?ああ、こんにちはレイラ様。何か御用・・・と聞いてもここに来たなら用は一つしかありませんよね」


「いつものシャーベットお願いします」


「すみませんね。先ほど工房のやつらが加熱実験を行うから冷たい甘味が必要だとか言って、買い占めちまったんですよ。今から作るとなると三時間はかかりますね」


「・・・・・・・・・」


『(あ、笑顔が固まった)』


「どうします?三時間ここで待ちますかい?」


「いえ、いいです。それじゃあまた・・・・・・・・・工房の予算五パーセントカットと・・・」


『私情で予算を組み替えるのはやめてやれ』




          *




 結局、新エレメル村の見学は夕方まで続いた。

 道中は少々問題が起きたりもしたが・・・まあ、そんなに気にすることじゃない。

 魔物嫌いの人間が少し騒いだから、腕を出して脅しただけだ。もちろんレイラには気づかれてないぞ。


「ちょっと疲れたね、ムーちゃん」


『いや、俺は影に入っているから疲れてないが・・・レイラは大丈夫か?』


「私?私は大丈夫だよ。これでも毎日鍛えてるんだよ!」

 

 力こぶをつくるように腕を曲げて力を篭めているが、村長のようにムキムキになってるわけもなく、ぷにょっとした腕が見えるだけだ。

 大人ぶりたがって背伸びしようとする子供のほほえましい光景だな。


「むうう・・・変なこと考えてない?」


『気のせいだろ。それじゃあ、最後にどこに行くんだ?』


「最後はここ、中央教会だよ!」


 さまざまな場所を巡り歩いてたどり着いた最後の場所は、俺が最初に注目していた魔水晶の大木を覆う建物―――中央教会であった。

 今まで見てきた中で新エレメル村の中で、一番豪華な建物だ。下手したら大広場の噴水よりも金がかかってるかもな。


「ここはね、この国の中枢でもある教会で、いろんなところを兼ねているんだよ」


『へえ、例えばどんなのなんだ?』


「もちろん教会もあるし、裁判所、重要会議、防衛拠点、緊急時の避難場所としても使えるんだよ!」


『結構多種多様だな』


 まあ、拡張してあるとはいえこの狭い領地の中にわざわざ分ける意味もないだろうしな。効率的にはこっちのほうがいいのだろう。

 レイラは袖から金色の板を取り出し、門にかざすと、重圧な灰色の門は内側からゆっくりと開いていく。

 これはまさか、カード認証の自動門か?技術もどこまで発展してるんだよ。 


「早速中に行こうね」


『入れるのか・・・って、そういやレイラはここのトップだっけ?』


「うん、それじゃあ行こっか!」


 門兵に訝しげに見られながら教会に入っていく。・・・ああ、魔物に話しかけてたらそりゃあれだよな。

 しかも知能があるやつならともかく、知恵がないことで有名な魔蟲種の最下位だしな。

 俺はある程度小声でレイラ以外には聞こえないように喋ってるから大丈夫かもしれないが、レイラは遠慮なく大声で喋ってるからなあ・・・まあ、レイラが気にしていないなら大丈夫か。


「~~♪~~~~♪」


 軽快に鼻歌なんて歌いながらレイラは奥へ奥へと進んでいく。

 上機嫌だな・・・と思うが、俺の感覚をごまかすことはできない。

 この鼻歌は継続的な解呪の呪文だ、この一本通路には、限りなく巧妙に隠蔽された迷いの魔術がかかっている。

 普通なら気がつかないほどの薄い魔力。この迷路を作った魔術師は相当な腕だな。多分ミスラなんだろうけど。

 三分ほど歩き続けていると、霧が晴れるように扉が目の前に現れた。

 

「ムーちゃんは気づいていたかもしれないけど、この通路はお母さんの魔術がかかっててね。関係ない人は入れないようになってて、解除には個人個人で設定された呪文を唱えないと解けないようになってるんだよ」


『やっぱりか・・・ちなみに全員鼻歌なのか?』


「私はこれにしてるけど、面倒くさい人は一言で終わらせたりもしてるみたいだよ。私もやろうと思えば短くできるけど・・・今はもっとムーちゃんと一緒にいたいから・・・」


『うん?最後のほう何て言ったんだ?』


「なんでもない!それじゃあ、入ろっか!」


 一瞬顔を曇らせた後、振り切るように首を振って笑顔になり、扉を開く。

 幾何学的な模様の刻まれた重圧な木の扉は、軋みながら独りでに開いていく。

 その先にあったのは・・・


 パパパーーーーン!!!


「「「「「「「「「おかえり、ムー!」」」」」」」」」


 クラッカーを構えたエレメル村の皆であった。

 言葉を発することもできず、全員を見渡すと正面にはこちらを眺める村長とミスラ。

 二人とも、顔を綻ばせながらクラッカーを持っていた。


「いやー何年ぶりだ?八十年位か?」


「おいおいぼけてんじゃねえよ。百年だろ百年。本当に、久しぶりだ」


「元気だったかい?」

 

 俺の返事を待つこともなく、こちらに集まり話しかけてくる村人たち。

 皆、俺に再会できたことを純粋に喜んでくれている。

 上を見上げると、レイラがニコニコと眩しいほどの笑みを浮かべている。


「この百年間、皆、ムーちゃんのためにがんばったんだよ。エレメル村を悪夢(ネロ)から救ってくれた英雄、皆ムーちゃんの帰りを楽しみにしてたんだよ」


「おう!それに、ただ待ち続けるのも退屈だったからな、皆で国を造ることにしたんだよ」


「今は王国、皇国、森国、龍国、商国の五大国家につぐ湖国て呼ばれるぐらいにまで成長したからね、あのころは馬鹿な事をなんて言ってたけど、努力は実るもんなんだね」


「さあ、英雄様の帰還だ!宴だ宴だ!」


 冷えた酒を並々注いだグラスを持った男が、次々に皆に酒を配り始める。

 バケツリレーの感覚で配られていく酒は、思わず喉を鳴らしてしまうほど透き通った旨そうな酒だ。

 酔うことはないが、是非とも俺も飲んでみたい。

 だが、流石に味覚は共有できるが巨虫(ビックキャタピラー)』のままでは飲みにくい。皿を置いてもらってついでもらうのもいいかもしれないが、個人的に酒は上にある泡も一緒に飲むのが好きなのだ。

 街の中ではダメだったが・・・ここなら影から出ても大丈夫か?

 

『レイラ、ここに元エレメル村以外の人間はいるか?』


「ううん、例え恋人でも夫婦であっても子供であっても、絶対に入れさせてないよ。それに、あの迷いの通路は賢者であっても簡単に解くことはできないくらい複雑になってるから、間諜の心配はないよ」


『そうか・・・なら俺が出ても大丈夫か?』


「・・・うん、大丈夫だよ」


『よっしゃー!』


 手を伸ばして影から一気に飛び上がる。

 突如影から這い出てきた俺に皆がギョッとするが、レイラや村長達が特に反応していないことや、元々俺が影に隠れて暮らしていたことを思い出したのか、苦笑しながら近寄ってくる。

 近くでじっくり眺めるやつもいれば、珍しそうにペタペタ触ってくる奴もいる。ちょっとくすぐったいな。


「でかく・・・いや、小さくなったな!」


「というか、随分とごつくなったねえ・・・鎧かなにかかいこれ?」


『俺もいろいろあったからな、その酒俺にもくれ、飲みたい』


「おういいぞ!一番でけえジョッキ持ってきてやれ!」


 合図と共に奥から運ばれてきたのは、酒樽に直接もち手がつけられたジョッキ。

 中身が入っている分流石に重いのか、男二人がかりで運ばれている。誰だよこんなの作ったやつ。


「おい、それ俺のだろ」


「こまけえことはいいんだよ!もう一個あるからそっちで我慢しろ!」


「ちっ・・・それ作るの結構かかったんだぞ・・・」


 まさかの村長。いや予想できる範囲か。村長もかなり大男だし、あれぐらいなければ満足できないんだろう。

 運ばれてきた酒樽ジョッキを持ち上げ、皆を見渡す。


「さあ、乾杯だ。全員酒は渡ったか?」

 

「「「おう!!!」」」


「乾杯の音頭はお前が取れ、ムー!」


『それじゃあ、俺の帰還を祝って―――――乾杯!』


「「「「「「乾杯っ!」」」」」


 ガシャンと、騒々しくガラスのビンがぶつかり合い百年ぶりの宴が始まった。




          *




 ちょうど皆がほろ酔いしてきたところで、早速本題にいくことにした。

 すなわち、皆が何故ここまで長生きできているかだ。

 レイラは俺の加護を受けているから、もしかしたら不老になっているというのもあるから理由がつくのだが、他の村人は理由がつかない。

 今確認しても、あの頃から誰一人欠けずここに全員そろっている。これは明らかにおかしい。

 もしかしたら、俺の願いを曲解してオーディンが叶えた可能性もある。

 そのことも含め、色々と皆に聞かなければならない。


『なあ、レイラ。結局、皆は何で生きているんだ?』


「なにそれ、生きていちゃおかしいの?ダメなの?」


『いや、別にそういうわけじゃないんだが・・・俺がいなくなってから百年経ったんだろ?それが本当なら皆はもう寿命のはずじゃないか。それなのに、なんで昔と同じぐらいしか年をとってないのかなって』


「別になんだっていいじゃん、アハハハハハハハッッ!!!」


 レイラは小さなコップに注がれた酒を飲み干しながら、くるくると回り笑う。なんかおかしい。

 目がとろんとしているし、顔も真っ赤だ。もしかしなくても酔ったなこいつ。

 レイラの様子がおかしいことに気がついたミスラが、こちらへ歩いてくる。


「あらあらこの子ったら・・・普段はお酒なんて滅多に飲まないのに、ムーに会えたことがよほど嬉しかったのか飲みすぎちゃったみたいね」


 ミスラは体から漏れ出ている霧を集め、揺りかごのようなものをつくりレイラをそこに乗せる。

 気体であるはずの霧のベッドはすり抜けることなくレイラをしっかりと受け止め、レイラもよほど心地よかったのか気持ちよさそうに眠ってしまった。

 霧の実体化って割と高難易度の技じゃないのか?ミスラも魔術のレベルが上がってるな。

 しょうがない、レイラに聞くのは無理そうだからミスラに聞くとしよう。


『なあ、ミスラ。何で皆は寿命を超えて生きてられるんだ?』


「えっ?逆に何でムーは知らないの?」


 質問したのに、驚きの表情で返されてしまった。

 何?俺が原因だったのか?


『いや知らないから聞いてるんだが・・・』


「よくわからないわね・・・まあいいわ。理由は私たちが普通の人間ではないからよ」


『普通の人間でない・・・?ということは、不死種か何かになったのか?』


 確かに不死種になったのなら理由はつくが、不死種への変化は外法を使わなければ変化できない。

 さすがに俺も、皆が外法を使ったとは思いたくない。


「はあ・・・そんなわけないじゃない。第一私は『霧魔』よ。不死種じゃないわ。それに、私たちが上位転生したのはムーのせいでしょ?」


『ふう、不死種じゃなかったか。よかったよかった・・・って、え?俺が原因?』


 びっくりするほど心当たりがない。どちらかというと、蘇生させたオーディンのせいじゃ・・・いや待て。

 オーディンに蘇生を任せる前、俺は一体何をした?

 まさか・・・


『【回帰する生命の白炎】か・・・!?』


「そうそう、そんな名前だったはずよ。私たちは、あの炎に焼かれて一回死んで、もう一回蘇ったのよ。前よりも上位の種族に転生して」


 何のことはないといった感じで話すミスラだが、あまりのことに俺は絶句していた。

 今の話からして、【回帰する生命の白炎】の効果は、一度体を消失させた後それを基礎にして、より上位の種族へ転生するということがわかった。この世とあの世を一周する、まさに”回帰する”だな。

 しかし感心している場合ではない、これはやばい。説明が書いていないわけがわかった。

 なにがやばいというと、それなりに上位種族への転生が難しい人間が転生できてしまったことだ。

 魔物ならまだいい。あれらは生態と言うか存在自体が異質なので、多少早いぐらいなら問題も起きない。

 しかし、人間は魔物と違い知恵と欲がある。

 欲が率先して暴走を起こさないため、人間にはある種制限といったものがかけられているのだ。

 ”強力な固体が生まれにくく、上位転生がかなり困難”といった制限が。

 【回帰する生命の白炎】は、その制限を焼失させてしまったのだ。しかも上位転生のおまけつき。

 おいおい、もしかして神界の仕事の量が異常だったのは、これの後処理も入ってたんじゃねえよな?

 

「ちなみに俺は、『大地人』だ!」


「私は、『精霊人』ね。属性は木みたい」


「俺は『酒仙人』だ!」


 俺たちの話が聞こえたのか、次々に村人たちが自分の種族をあげていく。

 なんか一人おかしいのがいた気がしけど、気のせいだろうな。 


『ちなみにフラウとレイラはなんなんだ?』


「俺か?俺は『剛人』だな」


 よかった、今のところやばい種族はいない。


「レイラは『半神』だったけな?」


 アウトォォォォォォォォォォ!!!

 おかしい、レイラには【回帰する生命の白炎】使ってないはず・・・いやもしかして、俺の加護か?

 いや加護って言っても、そんなに大したもんじゃない。あくまでイージスを所有権を譲渡するために、加護を与えただけだ。


「ムーの加護は、加護から寵愛に変わってたわよ。多分加護を与えるときにめいっぱい魔力を注ぎ込んだのが原因ね。神の魔力が混じって半神に昇華したみたい」


 残念、俺が原因みたいだ。

 あの時オーディンとアマテラスが横で言っていたことがようやくわかったわ。

 別に俺はロリってわけじゃねえぞ、アマテラス。気をつける必要なんてねえよ。  


 それにしても・・・今日はやたらと驚きの出来事が起きたな・・・。

 エレメル村はエレメル国に独立してるし、皆寿命を超えて生きてると思ったら上位種族に転生してるし・・・事実は小説より奇なりってか。

 

 ・・・あれ、なんかおかしい気がする。


『・・・ミスラ・・・皆が復活したのは、俺が【回帰する生命の白炎】を使ったからでいいよな?』


「ええ、ムーの魔力を感じたから間違いないわ」


『くっくっく・・・そうか・・・』


 俺は息を深く吸い、全力で叫んだ。

 



『―――結局お前蘇生してねえじゃねえか、オォォォォォォディィィィィィィィィィィィンンンンンンンンンン!!!』





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[一言] 鈍感主人公めぇ…流行りはもう終わってるんだぞぉ?
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