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バグズ・ノート  作者: 御山 良歩
第二章 エレメル村
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十八話 神々の対談

今回の話は、中二病全開です。

昔の自分の行いをトラウマに思っているお方は、見ないほうがよろしいかもしれません。

 ぷかぷかと、体が浮くような感じがする。

 それはまるで、水の上の浮草のように、何もない真っ白な空間を漂う。

 薄らとしか、感じることのできない思考。

 そこで、俺はかすかに思い出した。そうだ、俺はネロに殺されたんだと。

 ついさっきまで、体の中心から溢れんばかりだった怒りは、もう残っていない。

 残ったのは、空しさと少しだけの後悔。

 ああ、ミスラとの約束を破ってしまった。あの時、自身の怒りに惑わされずに逃げればよかったと。

 レイラはどうなってしまったんだろうか?きっと、酷い目にあっているのは違いない。


 ごめんなさい、と頭の中で謝り続ける。

 俺が力不足じゃなきゃ、こんなことにはならなかったのに。

 俺がもっと強ければ、みんなを守れたのに。

 俺がもっと気をつけていれば、あんなことにはならなかったのに。


 謝罪と後悔ばかりが頭の中をぐるぐると回る。

 しばらくまた漂っていると、頭の先の方で誰かが立っているのに気がついた。


 顔を上げ見ると、それは五人の男女であった。


 一人は少年。あどけなさを残した、美貌の少年だ。

 肩ぐらいの銀の髪に、銀の瞳、金やら宝石で装飾された服を身に纏っていて、少年らしい笑顔を顔に浮かべている。

 一人は、妖艶なる美女。

 燃えるような紅髪を腰まで垂らし、その瞳もルビーのような赤。

 少しばかり、露出が多い気がするが、下品な感じは全くなく、とてもよく似合っている。

 一人は、頑健なる老戦士。

 真っ白なヒゲと髪を蓄え、その瞳には老いながらも光が宿っている。

 雰囲気も、歴戦の戦士のもので、いくつもの戦場を駆け巡ったことが容易に想像できる。

 一人は、活発そうな少女。

 セミショートの緑色の髪を風に少しなびかせ、こころなしか少女を中心に風が吹いているように感じられる。

 少女らしい微笑みが、皆の笑顔を誘う明るそうな少女だ。

 一人は、物静かな少女。

 足元まである少しウェーブのかかった青い髪を垂らし、先ほどの活発そうな少女とは真逆の静かな雰囲気を漂わせている。

 表情は無表情で、何を考えているのかはわからないが、きっと表に出ないだけで感情は豊かなんだろう。

 五人の男女は、いつのまにか俺を囲むように立っていた。


『・・・じゃ・・・打ち合わせ・・おり・・』


『わか・・・て・・・・』


 何か話しているようだが、断片的にしか聞こえない。

 全員が頷き、銀髪の少年が話しかけてきた。


「やあ、こんにちは。いや、ここははじめましてかな?」


「・・・・・・」


「ああ、返事はいいよ。その状態では喋れないだろうし。なにせ、魂がボロボロに斬りさかれちゃってるんだから」


 魂がボロボロ・・・?そうだ・・・俺は、ネロの黒剣で体中を切り裂かれて、それで、意識を失って・・・


「うーん、やっぱり魂に傷が多いと、記憶とか意思の残り具合も微妙だな」


「しょうがないじゃろ。ほぼミンチまでいっとたのに意識を残しておる、コヤツの方が立派じゃ」


「あはは、確かにそうだよね」


 少年は、楽しそうに笑う。


「さて、一応自己紹介しておくと、僕らは神様なんだよ」


 少年はそう言い、四人もそれに同調するように頷く。

 神様・・・本当にいたんだな・・・あんまりそんな雰囲気ないけど・・・


「こらこら、そんな失礼なことはダメよ?私たちは、心も一応読めるんだから」


「と言っても、魂むき出しな状態だから、嫌でも聞こえちゃうんだけどね!」


「・・・・・・右に同じく・・・」


 妖艶な美女が、活発そうな少女が、物静かな少女が続ける。

 まあ、神様だもんな。心ぐらい読めても、当然だろうな。

 じゃあ、なんで俺たちを助けてくれなかったんだ?


「助ける?ああ、神域のことか。そりゃ、僕たちが手を出すと絶対に爺にバレ―――」


「―――わしら神々は、あまり下界に介入してはならんと決まっとるんじゃよ」


 少年が何か口走ったところで、老戦士が遮る。

 ・・・なんか、ごまかさなかったか?


「そ、そんなことないわよ~(ちょっと!何言ってるのよ!)」


「魂に傷が付きすぎて、五感なんかも狂っちゃたみたいだね!(それ言っちゃたら、僕らの威厳がなくなっちゃうでしょ!)」


「・・・・・・右に同じく・・・(・・・・・・おっちょこちょい・・・)」


 全力でごまかそうとしてるみたいだけど、めっちゃ失敗してる。そっちの心の声まで聞こえちゃってるもん。

 俺に聞かれてることも気づかないのか、四人は少年を睨んでいるが、本人はどこ吹く風と俺に話しかける。


「まあ、そんなことはどうでもいいとして、君にはひとつやってほしいことがあるんだよ」


 やってほしいこと?一体俺になにができるっているんだ?


「君に頼みたいことは、ネロの消滅だよ」


 少年は、とても楽しそうに言う。

 俺は、先ほどの悪夢のような光景を思い出す。

 何もかもが燃えて灰になり、人としての尊厳を奪い尽くしていったネロを。

 ・・・死んだ俺に、できるわけないだろ。


「そこは生き返らせるよ。なんていったて、僕らは神様だからね。世界にとって有益なものを生き返らせるぐらいどうってことないよ」


 なんで、いまさらあいつ消さなきゃいけないんだ? 


「彼が神域でやったからさ。神域は、僕らが見ているからねすぐにわかったのさ。本当は、彼をほおっておいてもいいんだけどね、あの力は少々危険というか、神獣があれっていうか・・・ぶっちゃけて言えば仕事が増え―――ゴホンッ・・・彼の行いは、生命の理に反逆している。僕たちも、あれを見過ごすわけにはいかないんだよ。だから、君に彼を殺してほしいんだ」


 ・・・見ていたんならわかってるだろ?俺じゃあいつには勝てないよ・・・ 


「あはははは、そんなことは百も承知さ。それに、そんな傷だらけの魂じゃ、戦うどころか生き返ることもできないしね。まあ、そのために、僕らが出てきたんだから」


 ・・・出てきた?神様が出てきたってことは、加護でもくれるのか? 


「そういうことじゃ」


「ちなみに、加護は全員分よ」


「一人分の加護だけじゃ、絶対に勝てないからね!」


「・・・・・・右に同じく・・・」


 さっきから、右に同じくしか言ってないんじゃないか? 


「・・・・・・気のせい・・・」


 初めて、物静かな少女の他のセリフを聞いた気がする。

 でも、加護がいくらあっても俺じゃああいつは・・・


「戻れる時間は、君が死んだ直後だ」


 少年は、そう言った。

 戻れる時間は、死んだ直後・・・ならば、まだレイラを助けることができるのか?


「ああ、そういうことだよ。どうする?僕のお願いを受けるかい?」


 ニヤリと笑い、少年は俺に問う。

 確かに、あそこで俺は死んでしまった。

 だが、まだ生き残れる。そして、加護もあればあいつと戦えるかもしれない。

 皆の復讐も終わっていない。傷一つ残していないで、死ぬわけにはいかない。

 そして―――レイラも助けられる。


「どうやら、覚悟は決まったようじゃな」


「じゃあ、皆いくよ?」


 五人は一回頷き、手を前に出して俺に向ける。

 それぞれ、突き出して手の前に、黄、赤、緑、青、そして銀の光の球が現れる。

 老戦士が言う。


「我が名において、汝に加護を授ける。我が名は”轟雷戦神トール”!―――気張って行けよ若者よ」


 妖艶な美女が言う。


「我が名において、汝に加護を授ける。我が名は”煉獄炎神プロソフィア”!―――頑張ってね」


 活発そうな少女が言う。


「我が名において、汝に加護を授ける!我が名は”暴乱嵐神テンペスト”!―――負けないでね!」


 物静かな少女が呟く。


「・・・・・・我が名において、汝に加護を授ける。・・・我が名は”絶寂氷神コキュートス”・・・。―――・・・頑張って・・・」


 最後に、少年が言った。


「我が名において、加護を授ける。我が名は”狡罠謀略神ロキ”!―――さあ、僕らを楽しませてくれ!」


 光の球は、俺のからだにしみわたるように消えていく。

 体に、力があふれていく。今までの感覚が靄のかかったようなものから、鋭利なものへと変化していく。

 しかし、意識はだんだんと霧がかかるように薄れていく。

 ・・・これは・・・いったい・・・。


「安心して、魂を現世に戻しているだけ。幸いにも、あなたの体は壊れてないからね」


 美女が、赤子に言い聞かせるような優しい声で、俺を送る。


「ネロを殺せば、君にとってたぶんいいことが起きるよ。神の名に誓って、約束しよう」


 消えゆく意識の中、そんな面白がっている少年の声が聞こえた。




          *




『 称号【罪を背負う者】の、秘奥能力(シークレットスキル)が、解放されました 』


『 第一発動条件、【満身創痍】を、確認しました 』


『 第二発動条件、【憎悪拡大】を、確認しました 』


『 最終発動条件、【魂身一致】を、確認しました 』


『 秘奥能力(シークレットスキル)【燃え盛る憎悪の太陽】を、発動します 』


『 【燃え盛る憎悪の太陽】の発動につき、存在各位(ランク)最終形態(ファイナルフェイズ)まで、強制的に存在進化(ランクアップ)します 』


『 混沌百足(カオスセンチビートル)・異常種から、覇鎧蟲帝(ビートルロード)に強制的に存在進化(ランクアップ)しました 』


『 【燃え盛る憎悪の太陽】が発動しましたので、固有能力(ユニークスキル)が解放されました 』


『 固有能力(ユニークスキル)過剰燃焼(オーバーヒート)】が、解放されました 』


『 固有能力(ユニークスキル)【回帰する生命の白炎】が、解放されました 』


『 固有能力(ユニークスキル)【終焉の黒太陽】が、解放されました 』


『 固有能力(ユニークスキル)焦熱気(コロナ)の波動】が、解放されました 』


『 覇鎧蟲帝(ビートルロード)の基礎能力が、付与されます 』


『 能力(スキル)【覇気】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)【蟲ノ王】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)【最上位魂魄武具生成】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)全種把握(オールコンプリート)・魔蟲種】を、獲得しました 』


『 最終形態(ファイナルフェイズ)存在進化(ランクアップ)時、条件【無傷】を達成しましたので、能力(スキル)【堅牢なる無傷鎧】は、能力(スキル)【不壊の王鎧】に昇華し、世界法則に組み込まれました 』


・・・・・


・・・



『 加護【轟雷戦神トールの覚悟】を、獲得しました 』


『 轟雷戦神トールの加護により、能力(スキル)電子操作(エレクトロマスター)】は、能力(スキル)【天雷招来】に昇華しました 』


『 轟雷戦神トールより、神器【天槌《雷帝の天罰(ミョルニル)》】を、授与されました 』


『 加護【煉獄炎神プロソフィアの情熱】を、獲得しました 』


『 煉獄炎神プロソフィアの加護により、能力(スキル)万象発炎(パイロキネシス)】は、能力(スキル)【罪滅の獄炎】に昇華しました 』


『 煉獄炎神プロソフィアより、神器【灼砲《天穿つ朱き閃光(クリムゾンユニコーン)》】を、授与されました 』


『 加護【暴乱嵐神テンペストの無邪気】を、獲得しました 』


『 暴乱嵐神テンペストの加護により、能力(スキル)【疾風迅雷】は、能力(スキル)【神風縮破】に昇華しました 』


『 暴乱嵐神テンペストより、神器【疾刀《鎌鼬(カマイタチ)》】を、授与されました 』


『 加護【絶寂氷神コキュートスの静寂】を、獲得しました 』


『 絶寂氷神コキュートスの加護により、能力(スキル)【水流操作】は、能力(スキル)【絶望の呪氷】に昇華しました 』


『 絶寂氷神コキュートスより、神器【絶盾《次元の拒絶(イージス)》】を、授与されました 』


『 加護【狡罠謀略神ロキの正義】を、獲得しました 』


『 狡罠謀略神ロキより、神器【邪槍《死に至る千の呪棘(ゲイボルグ)》】を、授与されました 』


『 狡罠謀略神ロキより、神器【死鎌《首切り王の粛清(ギロチンサイズ)》】を、授与されました 』  


『 狡罠謀略神ロキより、神器【逆剣《覆された勝利(フラッガーラッハ)》】を、授与されました 』


『 狡罠謀略神ロキより、神器【反杖《反転する黒白逆十字(セント・モノクロス)》】を、授与されました 』


『 条件【五柱加護】【最終進化到達】【主神宣言】【試練踏破】を達成しているため、覇鎧陽蟲帝(サン・ビートルロード)・魔神種(主神格)に、転生可能です 』


『 転生しますか? 』


     【YES】or【NO】


『 ****によって―――閲覧制限が、解除されました―――隻眼極光槍神オーディンによって、強制的に【YES】が選択されました 』


『 主神格獲得につき、主神基礎能力が付与されます 』


『 能力(スキル)【限定創造】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)【眷属生成】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)【能力付与】を、獲得しました 』


『 能力(スキル)【神罰】を、獲得しました 』


『 主神の許可を確認、時間を逆流させ、蘇生を開始します 』


 



――――――さあ、復讐の時だ。  

いつの間にか、PV約九十万ユニーク約二十万いってました。

いつも見てくれて、ありがとうございます。


エレメル村編も、あと少しです。そして声だけだった神様、やっと登場です。



神様の名前とか、神器の名前は神話のものから少しだけいただいております。

『あれ?この名前と効果って合わなくね?』と疑問に思った方は、報告してくれてもOKです。てか、報告してください。

いい名前があったら、そっちに変えるかもしれません。



訂正

・スキルに、【神罰】を追加しました。

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