26 新しい年
クリスマスの次の日の朝は、夜の華やかさを失っていて、寂しい。
風も冷たさを増して、容赦なく体を冷やしていく。
ユーキは、そんな朝の六本木の街を、少しだけ歩いた。
いつもは店を出てすぐにピカピカ通りでタクシーを拾うのだが、その朝は、街の寂しさに吸い込まれるように、ユーキは歩き出した。
ドレスの上に、ラビットファーのコートを着て、朱葵からもらったアンバランスなマフラーを、巻いて。
――どうすることが正しかったんだろう。
この先のことなんて分からない。
だから、今の自分の気持ちだけを大切にしていればよかったのか。それとも、これから待ち受ける現実を予想して、自分の気持ちに嘘をついて、突き放せばよかったのか。
この先のことなんて分からない。
だけど、分かっていた。世界の差は、2人にとって、逃げ切れない障害になる、と。
ユーキは、自分が選んだ道を、何度も自分自身に問いかけた。
けれど、もう、戻れない。
選んだ道を、戻すことはできない。
ユーキは、アンバランスなマフラーを外して握り締めると、タクシーに乗り込んだ。
* * *
12月31日。「フルムーン」では、キャバ嬢たちのカウントダウンパーティーが開かれていた。
「3・2・1・ハッピーニューイヤー!!」
賑やかに新年が始まり、フロアは一層華やかになった。
「ユーキさんっ。今年もよろしくお願いします」
キャバ嬢たちは、まずユーキに挨拶をする。
「今年もよろしくね」
ユーキも挨拶を返す。
「ユーキさん。このあと、みんなで神社にお参りに行きませんか?」
と、ひとりが言って、周りがそれに乗り出す。
カウントダウンパーティーのあと、みんなで初詣に行くのは毎年恒例になっている。
「そうね。行きましょう」
「やった!! じゃあ決まり!!」
そしてそれは、ユーキの参加あってのことだった。