128 湧き立つ心
とうとう2人は再会しました。(まだユーキは気づいてないですが)
今回は朱葵の視点と、ユーキの視点から。
朱葵はユーキを見つけたところ、ユーキは清水寺に向かったところです。
2人の間には観光客が大勢いて、朱葵の目から、ユーキの姿はちらちらとしか映らない。朱葵の前に立ちはだかるようにして囲うファンたちが、壁をつくっている。
だけど、朱葵には分かる。あれは確かにユーキだ。朱葵に群がるファンを気に留める様子もなく、まっすぐ前を見つめている。朱葵と同じように、柵に肘を立てかけて。写真を撮るのでもなく、感嘆の声を上げるのでもない。ただ、遠くにある空を、じっと、瞳に焼き付けるように。
――やっぱりユーキさんて・・・・・・。
綺麗な人だ、と思う。周囲だって、ユーキを遠巻きにして見ている。
けれど、朱葵が言っているのは、そういう綺麗さのことではなくて。
初めて一緒に横浜の夕焼けを見たときも、海に陽が落ちる姿を見たときも、また、夜明けの瞬間を見たときも。景色を望むその横顔が、とても綺麗なのだ。
気持ちが甦ってくる。ユーキしか見えていなくて、ユーキだけが傍にいてくれればそれで良かったと、そう思っていたときの恋心が胸に湧く。
――やっぱり好きなんだ。
ああ。何て都合の良い感情なのだろう。
* * *
清水寺に向かうことにしたのは、朱葵が京都に来たばかりのころ、「京都の街を歩こう」と約束したときに、一緒に歩きたいと思った場所だったからだ。
――2人で歩く姿を夢見た場所は、ひとりの記憶に変えてしまおう。それから、朱葵くんのところへ行こう。
中学の修学旅行以来の京都は、意外と覚えているものだった。
京都駅からは歩いて行ける距離で、坂の、ねねの道を通るのだと覚えていたから、ちゃんと歩いて行けるように、パンツと、ヒールの低い靴を履いた。途中、「綺麗なお姉さんね〜。これ食べてって!!」なんて声を掛けられるのも楽しくて、ユーキの手には、すでにお土産がいっぱいになっていた。
「やば。買いすぎちゃった」
と、3箱目の八つ橋を買おうとして財布を出すときに気づいたのだった。
清水寺の入り口には人だかりができていて、ユーキは横目でそれをちらっと見やったが、特に興味もない様子で、そのまま中へと向かった。
「懐かしいかも」
夕暮れの高台は、キャミソールにジャケットを羽織っただけの格好では少し肌寒かった。だけど風はふわりと舞うような柔らかさで、それが懐かしさと混同して、暖かい気持ちになる。
「わぁ。空が同じ高さにある・・・・・・!!」
遠くのほうでは雲が夕陽色に染まり、見下ろすと緑の木々。景色は虹のように段差になっている。
「すごく綺麗」
心が満たされていく。そして、同時に、空しくなってくる。店が軒並み連なっている坂道も、この景色も、どうして、ひとりで過ごしているのだろう。
――やっぱり、好きなんだ。
ああ。諦めようと、決めたはずなのに。