あらすじ4
■「バレンタインは誕生日」 第67話〜第71話
バレンタインの夜、ユーキは「フルムーン」の誕生日パーティーに出ていた。また、朱葵もラジオ生出演の仕事があり、その夜は会えなかった。
次の朝、ユーキが家に帰ると、朱葵が家に来ていた。
朱葵の作った朝食を食べたあと、仕事明けの2人は、とりあえず寝ることにした。何だかんだで結局一緒のベッドに寝ることになり、朱葵は、隣で無防備に眠るユーキの姿に、思わず抱き合うときのことを想像する。
しかし、キャバクラナンバーワンのユーキに自分で満足してもらえるのか、という不安が生まれ、姿に見えないユーキの過去の男たちに、朱葵は嫉妬する。
午後になって目が覚めた2人は、お互いにプレゼントを渡す。朱葵のくれたプレゼントにユーキは感激し、2人はそっと、唇を重ね合う。
■「発覚と対策」 第72話〜第74話
足早に2週間が過ぎ、2人は仕事ですれ違い、会えない日々が続いていた。
3月最初の日曜日に、ユーキは、朱葵に会いに行く。
「待ってるんじゃなくて、自分から行かなきゃって思ったの。あたしたちには駆け引きなんてしてる余裕がないから、会いたいときはあたしが動こうって。だから、会いに来たの」
2人の距離はだんだんと近づいていく――。
だが、その様子を東堂に見られていたのだった。
朱葵は東堂にユーキとの関係を迫られるが、シラを切ることにする。
「何でそんなにあの人を警戒してんの?」
「すべてを投げ出してでも手に入れたくなる。男はああいう女を自分のものにしたくなるんだよ」
その夜、東堂は「フルムーン」に現れ、ユーキにも朱葵との関係を追及する。
「そんな風に言われる覚えはありません」
朱葵と同じように返すユーキに、東堂は、
「今は、そういうことにしておきます」
と言って、去っていく。
そしてユーキと朱葵は電話で話し合い、しばらく「会わない」「連絡しない」ことを決め、朱葵はユーキに促され、ユーキのアドレスを消去する。
■「見つかっちゃえばいい」 第75話〜第77話
東堂にばれないように連絡を一切取らないままの2人。朱葵は今までなかった孤独感を感じるようになっていたと気づく。
――こんなに弱い人間じゃなかったのに、いつから、誰かが傍にいることの心地好さを求めるようになっていたんだろう。
ユーキもまた、会えない時間が愛しさを強くさせているのだと実感する。
すると、ユーキは愛から不意に質問される。
「どうしておにいちゃんは、みきちゃんのことをママの名前で呼んでるの?」
ユーキは、改めて自分は何て呼ばれたいのか、と考える。
そしてある決意を持って、ユーキは次の朝、朱葵のマンションを訪れる。
午前中のオフが急に仕事になってしまい、東堂が迎えに来るまでの15分間のうちに、朱葵は出る支度をしていた。
そこへインターフォンが鳴り、東堂だと思って出ると、そこに立っていたのはユーキだった。
「まずいよユーキさん。今、東堂さんが迎えに来るんだ」
焦るときを尻目に、ユーキはなぜか落ち着いていて、言った。
「朱葵くん。あたしたち、東堂さんに見つかっちゃいましょう」
ユーキは朱葵の腕を掴み、東堂の待つエントランスへと向かう。