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固有スキル【交換】でいらないものを邪魔者に押し付けて成り上がります!  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻、コミカライズ1巻
準男爵編

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第81話 甦ったもの

 魔の聖域から国土を守る辺境の地、サランディア領。

 スピネルは辺境軍最強の軍人かつ領主でもある。

 両親は魔物との戦いで命を落としており、代々の領主はほとんどが短命である。

 スピネルの持つ白い剣も代々伝わる由緒ある剣であり、守護者の意志はこの剣と共に受け継がれている。



「一体なんなのだあの者は…… テロ事件の時も年齢にそぐわぬ実力だったが、あの時は本気でなかったのか? いや、今回も全く全力を出している様子ではなかった」



 カンッ、カンッ、カンッ。



 外ではクオーツとクラウスが木剣で打ち合いをする軽い音が響く。

 手慣れている感はあるが特に剣の才能がある、というわけではなさそうだ。


 スピネルは渡された書状を見直す。


「『固有スキルは【浮遊】。上空からの一方的な攻撃を得意とする。《《それ以上の能力はない》》』か。そんなはずはあるまい」


(広範囲の完全回復魔法、しかも欠損まで治している。聖女並みのスキルがなければ到底不可能だ。それにたかが【中級風魔法】でS級のグレートドラゴンたちが一瞬で葬り去られた。マジックバッグから出した物資の量も異常だった。だが、食事や睡眠を必要とするあたり、普通の人間のようなのだが……)


「どのみち書状で釘を刺されているから、何も聞けぬな。『状況が落ち着くまで協力させる』、とあるからもうしばらく様子を見させてもらうか」




◇◇◇




「クラウスさんの剣にはディアゴルド流が垣間見えますね」


「その通りです。といっても、基礎的なことを2週間ほど学んだのみですが」



 しばらく強力な魔物が現れていないので、こうしてクオーツ様と剣の鍛錬をしている。

 僕の出番はあまりなかった。


 ただ、サタンウルフを倒した時に稀に発生するファイナルアタックにより呪いを付与され、療養中だった兵士が何人かいた。


 そこで、スピネル様に治していいかどうか聞いたところ、


「……貴殿には私と同等の権限を与えている。兵士の治療ももちろん権限の範囲内だ」


 というのでアンチカースで治したら、


『これで前線に復帰できる! 皆の足でまといにならずに済む! 感謝するぞ!』


 と喜んでいたのが印象的だった。


 冒険者で一応貴族で、従者もつけずに行動する変わり者。

 ここに来たばかりのときは直接会っていない人からはそう思われていたようだが、アンチカースを施して以来、かしこまられるようになった。




◇◇◇




 そろそろ王都に帰還してもいいかな、と思い始めた頃。


「これが終わったら、少し周辺を散策いたしませんか?」


 クオーツ様からのお誘いだ。

 稽古で汗をかいた服を着替えた後、砦の周辺を当てもなく二人で歩く。



「あなたの想い人は今どちらに?」


「ギルド本部で受付を担当しています」


「そうなの。美人でしょうか?」


「ええ、一般的に言ってそうかと」


「貴族なの?」


「ええ、おそらく」


「相手のことを知らないの? 貴族かどうかさえわからない?」


「…………」


 おそらくエリアは貴族だろうが、本人の口からはっきりと聞いたわけではない。



「答えられない程度の絆ならば、私と……」



 直後、空の色が薄紫色に変わった。

 何が、と具体的にわかるわけではないが異変が生じたような気がする。

 隣にいるクオーツ様の顔が真っ青だ。


 ふと、空で赤い閃光が三度走る。

 これは確か緊急事態の火魔法での合図だ。


「クラウス、早く戻りましょう。この合図は生まれて初めて見るわ。それにこの空気……」


「どうしたんですか?」


「いえ、早く!」



 僕はゲートを開いて、火魔法が使われたと思われる場所へゲートを開きクオーツ様と共に移動する。



◇◇◇



 出てきた場所では、多数の兵士が倒れている。

 息はあるようだが生気が感じられない。


 スピネル様は白い剣を構えているが、動く様子がない。


「何だ、また人間(ザコ)が現れたのか」


「久しぶりに封印から解放されたのだ。もう少し遊ぼうではないか」



 2体の人型の魔物がどっしりと構えていた。

 一体は龍の鱗を全身に生やし、頭の両側から真っ直ぐな赤い角が生えていた。

 もう一体は先端に水晶の髑髏をつけた歪な形の杖を持ち、頭から捻じ曲がった黒い角の生えた悪魔だ。



「スピネルさん、これは一体?」


「クオーツ、下がれ。クラウス、お前も逃げるのだ」



「逃すわけなかろう。昏き闇に怯えよ、『獄黒の魔檻』」



 黒い角の悪魔が言うやいなや、僕たち3人の周りに禍々しい黒い柵が現れ、四方を囲まれる。


「こんな人間(ザコ)に【暗黒魔法】を使うとは」


「さきほどこやつらで遊ぶと言ったではないか」



 2体はこちらを見て嘲笑っている。


「くっ、これはこの世の終わりか…… 【結界師】も世に現れていないというのに」


「スピネル様、どういうことですか?」


「お兄様、あれは文献にあるヘルブラッドドラゴニアとアビスデーモンではないのですか?」


「そうだ。ご先祖様が【結界師】スキルを持つ者とともに命懸けで封印した魔界の者だ。魔の聖域の最北には魔界と繋がるアビスゲートがある。アビスゲートの向こうに魔物を追い返しゲートを封印したときに打ち損じていたこの者たちも共に封印していたのだが、なぜ今復活したのか…… この2体しかいないところを見ると、アビスゲートの封印はまだ解けていないと思われるが」


「ふっ、哀れで脆弱な人間(ザコ)よ。冥土の土産に教えてやろう。少し前に妙な魔道具を持った人間(ザコ)が現れてな。我らの封印を解いたのだ。何を思ったか知らぬが、我らを従えようと魔道具を向けたが、出力のまるで足りぬ魔道具など我らに効かぬ。そのままその人間(ザコ)の魂ごと食らったのだ。醜く汚れていて酷く不味かったが、久しぶりの食事だったが故仕方なし」


 いつもお読みいただきありがとうございます!

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