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固有スキル【交換】でいらないものを邪魔者に押し付けて成り上がります!  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻、コミカライズ1巻
準男爵編

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第72話 師匠と弟子 

「………………」


「どうしたの、クラウス? 呆けていたようだけど」


「いえ、永い記憶だな、と思いまして」


「?」


「何でもありません。エルフ特有の弱点って、何がありますか?」


「ヴェルーガと戦うつもり?」


「はい」


「せっかくあいつが記念に始末しないって言ってたのに」


「エルフは、ユグドラシルの領域から離れれば生きていられない。あとは、物理攻撃に弱い」


「マスター!」


「そうですか。あの人もうエルフじゃないから領域から離れても死なないでしょうね。物理で何とかしましょう」


「クラウよ、どうせ死ぬなら無傷のこの者に賭けるしかあるまいて。……なるほど。頼む、奴を止めてくれ!」


「どうしたんですか、マスター! 無責任な! クラウスに何ができるというのです! あっ、これは……」


「そういうことです」





◇◇◇





 僕はヴェルーガの前に立ちはだかる。


「ヴェルーガさん。止めにしませんか?」


「ヴェルーガさま、だ。羽虫が……。死にたくなければ失せろ。我の気が変わらぬうちにな」


「せっかくエルフから人間に戻れたのですから、ユグドラシルに縛られることはありません。野望を捨てて普通の人間として生きていきませんか?」

「人間としては生きていくさ。ただし、祖先の無念を晴らすがな」


「それはただの八つ当たりです。あなたは【ユグドラシルの絆】を断ち切りましたが、まだ過去の亡霊に縛られている」


「違う! これから栄光ある未来を紡いでいくのだ! 大したステータスもない羽虫が我に逆らおうなどと…… 何、これは!」


「セレスティアルヒール!」


 僕は光魔法の全体完全回復魔法を発動し、まだわずかに息のあったエルフ達が回復する。


 回復したマスターは勝利を確信してヴェルーガに話しかける。


「ヴェルーガよ、気づいたか。お主はもはやエルフではなく人間だ。種族特性の【鑑定】もなくなっておるから教えてやろう。クラウスの【交換】によりステータスは逆転した。もはや勝ち目はない」




「なん………………だと………………」




「お主が多くのエルフを殺めたことは許されぬが、さりとて祖先からの被害者であることにも変わりなし。ゆえに、この領域からの追放で赦してやる」


「ふざけるな……そんなこと認められるか……」



 マスターの雰囲気が変化する。


「これは代々の【ドルイドマスター】の総意である。『ヴェルーガ、我が弟子よ。もう苦しむことはないのだ』」



「師匠……今さら、今さら、ふざけるなあぁぁぁぁ!」



 激昂したヴェルーガを赤いオーラが包んでいく。

 そして【交換】で弱体化したはずのヴェルーガのステータスやスキルが徐々に強化されていく。



「「「ヴェルーガのステータスが上がっていく……」」」


 エルフ達が驚愕の表情を浮かべる。


「我を舐めるなよ。『断罪の時牢』での積み重ねを奪えると思うな!」




 あ、そっか。




 僕はヴェルーガの《《経験》》を【交換】する。

 幾千年分の経験が僕に刻まれていく。

 一方のヴェルーガは強化が止まる。



「貴様! 何をした! それが我のステータスか。偽りのステータスやスキルで粋がりおって!」


 ヴェルーガは【鑑定】のスキルを取り戻していた。

 最大MPも200だったのが500まで上昇している。

 これ以上何が起きるか分からない。

 彼が改心する可能性がない以上、仕方ない。


「マスターさん、かまいませんね」


「『すまぬ、人間よ。頼めた義理ではないが、せめて苦しまぬよう一撃で頼む』」



 【MPバースト】、パワーアップ、スピードアップ、そして、オーラブレード発動!

  

 そして、【ステルスサーチ】を発動しつつ【時空魔法】の転移でヴェルーガの背後にまわり込み、【不意打ち】を発動させ必殺の一撃で心臓を一突きにする。



「ぐっ、ここまでなのか……。だが、ただでは死なん! 『破壊の目!』」



 ヴェルーガは顔だけこちらを振り向いて睨み、自身を貫いているドラゴンブレイドを握り込んで【破壊魔法】を発動する。

 ミシッ、ミシッと音がしたあと、ドラゴンブレイドに亀裂が走り、砕け散っていく……。



 ヴェルーガは体を翻し、僕と対峙する。



「ぐふっ、まだ…… まだ終わらんぞ! くらえ、『スキルルーイン』!」


「『させぬ!』」


 瞬間、僕とヴェルーガの間にマスターさんが転移で割り込んでくる。


 そして、マスターさんから光の玉が吸い取られ、ヴェルーガは光の玉をグシャッ、と握り潰した。


「どこまでも邪魔しおって……」


「『我らの失態だ、この者の固有スキルを破壊させるわけにはいかぬ。感謝するぞ、人間。ヴェルーガよ、我とともに安住の地へ逝くのだ……』」


「師匠……」



 ヴェルーガの目から光が消え、ついに全身が光の粒子となって消えていった。

 



◇◇◇




「終わったのね……」


「はい」


「クラウスよ、大変迷惑をかけたな」


「マスターさん……」


「変色したユグドラシルはどうしたらいいのかしら……」


「もはや儂にも分からぬ。幾多の叡智を持っていた【ドルイドマスター】が砕かれたのでな」


「マスターさん、ユグドラシルについてお話があるのですが」


「マスターでいいぞ。まさか人間に救われるとはな……」


「誰にも聞かれない場所に移動してもいいですか」


「わかった。私の転移についてくるのだ」







(『君たちを救うのは名も無き人間だよ』、だったか。【未来視】の人間よ、喜べ、当たっていたな)


 その場に残されたクラウディアは遠い昔のことを思い出していた。





◇◇◇





「してクラウスよ、話とは?」


「ヴェルーガが【ユグドラシルの絆】を破壊した際に悟った真実です」


「【ユグドラシルの絆】を断っても人間に戻るだけで死にはしないということか?」


「それもありますが…… ヴェルーガが『不幸な事故』と言っていたことについてです」



 いつもお読みいただきありがとうございます!

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