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固有スキル【交換】でいらないものを邪魔者に押し付けて成り上がります!  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻、コミカライズ1巻
準男爵編

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第69話 エルフとの問答 2

「あの、もしかして聖メルティア教国がスパイトと手を組んでいるのもご存じなのですか?」


「手を組んでいるわけではないわね。お互いに利用しようとしているだけ。スパイトはメルティアの聖女の癒しの力がほしい。メルティアはスパイトの【錬金魔王】の魔道具がほしい」


「そのことは国王様には知らせているのですか?」


「まさか。推移を見ているだけよ。例外はエルフもドワーフも含めて世界が滅びそうになったときくらいね。今までそんなことなかったけど。人間世界はお互い争って勝手に滅びて、またどこからともなく復活するのを繰り返しているのよ。今回も多分そうなる」


「この国の王にも言わないことを僕に言ってもいいんですか? 喋るかもしれませんよ」


「あなたはそういうことは口外しないタイプね。仮に喋っても、【時空魔法】で記憶を消せるし、【上級闇魔法】であなたに喋らないよう呪いをかけてもいいわ」


 何てこというんだ、このエルフ。

 怖くて喋れないじゃん。

 ん? 待てよ?


「呪いの魔法の行使は術者の何かを犠牲にするはずですが、それでもできるんですか?」


「それは普通の人間の話ね。エルフならMPを少し多めに消費するだけで人間を呪えるわよ。君に話してもさして影響はないと思ってのこと」


「そうなんですか。もしかして未来を見れたりしますか?」


「いーや、さすがにそこまでは。過去にそんなスキルを持った者がいたけどね。未来を見ても、実用に耐えないのよ。なぜだかわかる?」


「…………なぜでしょう? 消費MPが多いのにあまり先の未来を見られないからでしょうか」


「それもあるわね。でももっと根本的な理由があってね。未来を見たら、見た本人が行動を変えてしまうからよ。そして、そこから未来がズレていくから、遠い未来はかつて見た未来の通りにならないことが多かったの。近い未来なら大体見たとおりになっていたようだけど」


「そのスキルを持った人を知ってるんですか?」


「もうかなり前だけどね。その人間は【未来視】というスキルを持ってたわ。遠い未来を見て、自分の国が滅びるのを知った彼は、その未来を回避するためいろんな行動を起こしたわ。でもその甲斐なく、彼の死後国は滅びた。『未来は変わるけど、大きな流れは変えられなかった』と死の間際に言っていたの。健気な人間だったよ。感動すら覚えたわ」


(そう言えば、『君たちを救うのは名も無き人間だよ』、とも言ってたわね)


「…………」


「寿命が短い人間が、何かを成そうともがいていく。または諦めて怠惰に過ごすか。生まれ持った才能を活かすか、気づかずに腐らせていくのか。あなたはどんな最後を迎えるのか。先に分かってしまうと面白くないから、私は未来を知りたいとは思わないわ。イレギュラーしか楽しめないの、私は」


「長生きゆえに、ですか」


「そうね。あ、【交換】スキルを持つ君に会えたら聞こうと思ってたことがあったんだけど。あなたは本当にクラウスなのかしら?」


 質問の意味がわからない。

 話が飛びすぎだ。



「? どういう意味でしょうか。僕は正真正銘クラウスです。もしかしてエルフは他者になれる魔法でもあるのでしょうか?」


「そんな魔法はないわ。他者を真似するスキルは知っているけどね。あのね、何かを交換するスキルは今までもあったの。例えば、同意がある者同士でスキルを自由に交換できたり、自分の何かを捧げて世界から代わりのものを受け取ったりね。でも、こんなに交換できるスキルを見たのは初めてよ。悪意ある者と、という条件はつくけど」


「その悪意ある者っていう条件が厳しいんですけど……」


「で、他者からいろんなものを交換したあなたは、クラウスと同一人物なのか? ということよ」


 スルーされた。


「何を交換しても僕は僕です」


「そうかしら? HPを交換し、腕力を交換し、マイナススキルを普通のスキルと交換し、レベルを交換し、もし他人と様々な交換をしなかったとしたら、今のあなたはいないわけでしょ。元のスキルやステータスを全て入れ換えたら、それはクラウスではないのではないかしら。あ、【交換】スキルは交換に出すともうスキルが使えなくなるからそれはおいとくとして」


「それでいくならレベルアップしてステータスが変化したらみんな別人ということになりませんか?」


「普通そうは思わないよね。それは人物に連続性があるからだと思うの。でも交換だとレベルアップによる成長をすっ飛ばしているから連続性はないよね」


 なんなんだこのエルフは。

 だいたい千年生きてる存在に口で勝てる気はしないけれども。


「以前、初めて盗賊と遭遇したとき、恐怖の()()を相手と【交換】して難を逃れました。そのあとで、もし()()を【交換】していたら僕は別人だっただろうな、と考えていました。だから、スキルとかステータスとかではなく、僕の人格に連続性があればいいんではないでしょうか」


「でも人間って歳を取ったり死ぬような目にあったりしたら性格が変わることがあるわよね。それは連続性がないと思うんだけど、それでも同一人物だよね。人格ではないんじゃないの?」


「んー…… 新しい存在を一から作らない限り、その存在は変わらないと思います」


「なるほど。ちょっと面白かったわ。からかってみたんだけど、まじめに答えてくれるなんてね。私としては【交換】スキルでたとえあなたが別人になったとしてもどっちでもいいんだけどね。時々ね、誰かと話をしないと寂しいんだよ、心がね」


「エルフの故郷とかないんですか?」


「あるわよ。でもね、退屈なのよ。みんな長生きばっかりだし。何も変わらない世界よ。閉じられた世界。世界の存続のためには大事だと分かってるんだけどね。私は【時空魔法】が得意だから簡単に外に出られるけど」


「どうやって帰るんですか?」


「【時空魔法】のゲートで帰るだけ。おもしろくないでしょ。たまに音声だけ繋げて様子を確認しているけどね。せっかくだしちょっとだけやってみようかな。『ゲート』」


「『……クラウ……、……クラウディア、返事しろ。繋がったか。ユグドラシルが大変なんだ。お前の手でもいいから借りたい。今すぐ戻ってこい』」


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