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固有スキル【交換】でいらないものを邪魔者に押し付けて成り上がります!  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻
地方都市メイベル編

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第41話 末路 

 捕まったノトリーは軍から激しい拷問を受けていた。


 【拷問術】スキルによる電撃や火炙り、水責めなどが連日行われた。だが『痛い、痛い』とうめくばかりで何も聞き出せない。


 それどころか刺激を与え続けると簡単に気絶するので、拷問官は『こんな軟弱者は初めてだ』と呆れるくらいだった。


 そこで物理的に痛めつけるのではなく、甘い言葉をかけたところあっさり陥落した。


「全て話せば解放してやるぞ」


「お前の国よりいい待遇を与えてやろう」



◇◇◇



 ノトリーは自国での扱いはそれほど良くなかった。

 権力者が富を独占して努力しても成り上がる目のないスパイト王国よりも、裕福な平民もいて努力次第で上を目指せるティンジェル王国が妬ましかったのだ。


 自分が裕福な側に立てないからティンジェル王国を憎んでいたが、自分も裕福な側に立てるとなれば祖国を裏切るのに躊躇いはなかった。

 テロが成功すれば出世を約束されていたが、ノトリーからすれば別にどちらの国からでも構わなかった。




 それからノトリーは自分の知ることを全て話した。

 牢獄も汚く暗い部屋から明るく広い部屋に移されて、食事も豪華になりノトリーはこれからの自分の待遇を確信していた。


 ただ、魔道具に関しては使い方は知っていたが仕組は知らなかった。

 またスパイト王国の内情についても大したことは知っておらず、スパイ以下の情報しか得られなかった。



◇◇◇



 ノトリーが自白したこととクラウスのスキルで得られた情報の照合が済めば、軍はもうノトリーなどに用はない。

 固有スキルも【虚栄心】という特に役に立たないものだった。

 【虚栄心】は、自分よりレベルの低い者に対して威圧を行い与えるダメージが30%増加し、逆にレベルの高い者には萎縮して受けるダメージが50%増加するというものだ。


 王都に移送されたノトリーは暗く汚い牢獄に入れられ、話が違うと騒ぎ立てるがその話を聞く者は誰もいない。


 拷問中の甘言につられる愚か者だし、いつ裏切るかわからないのだから当然だ。


 

◇◇◇



 ティンジェル王国は武闘会でのテロ事件についてスパイト王国に抗議した。

 しかし返ってきたのは、『ノトリーなる者はこの国にはいないし、魔道具についても知らないが、そちらがそう言うのであればこちらで調べるのでその者と魔道具を引き渡せ』であった。



 当然引き渡すわけもない。

 国王の命を狙い何人もの犠牲者を出しているにもかかわらず、この返答に対してスパイト王国に対して軍を出して攻めるべきという意見も出てくるが、そうはならなかった。


 代々この国について引き継がれている事項があるのだ。



◇◇◇



 かつては、スパイト王国に領土を接するティンジェル王国や東のカイト帝国も、スパイト王国を我が物にせんと攻めていた。


 スパイト王国はティンジェル王国とカイト帝国の中間にあり、両国を行き来するには今のところここを通るしかない。


 厳密にはスパイト王国の北に広がる魔の聖域か南の海を行けばいいが、魔の聖域を通行できるわけもなく、海には魔物がいるため船を使っての航行が現実的ではないので陸路を使うしかないのだ。


 交通の要衝となっているスパイト王国であるがそれ以外に価値はない。

 独自の産業があるわけでなく、両国からの通行税を収入の柱の一つとしなければならないほど貧しいのだ。


 そんなスパイト王国だが、この国を攻めようとすると何故だか軍の責任者やその家族がことごとく不幸に遭ったのだ。

 『スパイトの呪い』と俗称されている。

 その原因を探るも分からずじまい。

 スパイト王国からの入国を厳しくしても変わらず、闇魔法カースの行使も疑われたがその痕跡も見つからなかった。



 スパイト王国をあまり貧しいまま放っておくとそこからの難民が大量に流れてくるので、人道的な援助金という名目でティンジェル王国もカイト帝国も返ってこないであろう金を貸している。

 お互いに相手の国でないと手に入らないものがあるため仕方がなく行なっているのだ。



 そんなわけでティンジェル王国には、『スパイトの呪い』が解明されるまで手を出すな、と引き継がれている。

 ティンジェル王国も当時より領土が広がりあまり他国を征服するということもなくなったため、現在は『スパイトの呪い』を探ることも少なくなっている。




◇◇◇




 ノトリーはスパイト王国から自分の存在を無かったことにされているのを聞かされ、ようやく自分が使い捨てにされたことに気がついた。

 渡された魔道具も実験用でいなくなってもいい人間が選ばれていたのだ。

 全てを話せば高待遇で迎えるのではなかったのか、と叫んでも、



「全て話せば、(処刑して拷問の苦しみから)解放してやるぞ」


「(自白している間は)お前の国(の牢獄)よりいい待遇を与えてやろう」

 

 だったので、もう彼は処刑を待つばかりだった。

 



◇◇◇




 そして、ノトリーは使い捨てにされた祖国とティンジェル王国を恨みながらテロから1か月後、異例の速さで公開処刑された。


 被害者や遺族の溜飲を下げたが、国の上層部は今回のテロ事件がノトリー一人の命で償い切れるはずもなく、いつかはスパイト王国にこの責任を取らせようと苦い思いをするのであった。

 

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