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第七節 転移先は・・・

よろしくおねがいします

お尻の辺りがなんとなくムズムズする気がして目を覚ましました


若干、頭がボンヤリしていますが、ゆっくりと体を起こし、あたりを見回してみたのですが、視界がぼんやりしていて、どこにいるのかわかりませんでした


「あぁ・・・眼鏡どこにいったの?・・・眼鏡・・・眼鏡・・・」


眼鏡を探すため、近くをキョロキョロしてみると、右後ろのベッドサイドテーブルの上に眼鏡があったので、それをかけ、改て辺りを見回してみると、知らない部屋にいました


煤けた感じのする木の壁に囲まれていて、安っぽくて硬いベットと簡素な椅子だけが幾つか並んでいた部屋でした

かすかに嗅ぎ慣れた薬品のような独特な匂いがしていますので、ここが何処かの治療室であることは察することができました

そして、目線をさげると、私の尻尾を気持ちよさそうに抱き枕にして寝ているアスがいました

気持ちよさそうな寝顔を見て、相変わらずかわいいと思い、何気に頭を撫でようとそーっと手を伸ばしたとき


(そうだ、こんなことやっている場合じゃないです、

 神殿の皆がどうなったのか調べなければ)


そう思いだし、アスを揺り起こしました


散々揺り起こして、ようやく目を覚ましてくれたアスでしたが、目をこすりつつ上体を起こすと、私を見るなり「つかまえた」と呟き腰のあたりに抱き着いてきて、また眠ってしまいました


改めて揺り起こしてみたのですが、今度は一向に起きてくれません

途方に暮れていると、部屋に熊耳をつけた体の大きな女性が白衣を着て現れました

私は、やってきた女性の顔を見て安堵しました


「ベアルスさん、無事だったんですね、

 神殿の皆も無事なんですか、

 魔物はどうなったんですか」


気が急いてしまったのか、矢継ぎ早に質問してしまいました

しかし、女性はちょっと困惑した表情を浮かべましたが、すぐに笑顔で返してくれました


「少し混乱しているのかな?

 はじめまして

 私は、熊獣人族の医師でベアラスというの、

 狐獣人族のあなたのお名前を教えてくれるかな」


どうやらべアルスさんとは別人のようです

容姿はどこから見てもそっくりなのですが・・・


ベアラスさんは私が寝ているベットの傍にある椅子に腰かけると、少し笑顔を浮かべながら、私の返事を待ってくれるようでした


「すいませんせした、知合いにあまりにもそっくりだったので、

 私はツナです・・・えっと、この子は義妹のアスフィーネです」

「ツナちゃんにアスフィーネちゃんね、改めてよろしくね

 ことろで、どこか気持ちの悪いところとか、痛いところはないかな」

「ありません・・・あの、ちょっといいですか?」

「なにかな、遠慮しないで何でも言って」

「ここは何処でしょうか?」

「ここはあたしが経営している、しがない治療院の寝室よ

 あなたたちは家の路地裏に倒れていたところを、

 たまたま、往診の帰りに見つけてここに運び込んだのよ」

「そうなんですか・・・助けていただいてありがとうございます」

「いいの、いいの、助けるのが仕事だからね・・・」


そして、真剣な表情でベアラスさんは、私に問いかけてきました


「それで最初に言っていた魔物や神殿て、いったいどういいうことなの

 最近、大勢の人が魔物に襲われたって話も、

 ここら辺に神殿があったって話も聞いたことが無いんだけれど

 その神殿というのがあなたたちのお家なの?」

「はい、私たちが住んでいた神殿は・・・」


ベアルスさんにそっくりだった事も理由かもしれませんが、人当たりもよく優しそうなベアラスさんを、特に警戒することもなく、私は神殿で起こった出来事を掻い摘んで説明しました


「そうだったの・・・

 アンタたちは街の外から転移してやってきたと言うわけね

 それじゃぁ少し説明が必要ね

 ここは「アルステイム」ていってかなり辺境にある街なの、

 でも、近くに「夢幻回廊迷宮」っていう結構大きなダンジョンがあって

 そこで取れる魔力結晶やドロップアイテムなんかの売買を産業の中心に

 結構発展しているわ

 近くには、大きな湖や鉱山があったり、「雪幻の樹海」っていう魔物の

 巣窟みたいな森があったりするはね

 とりあえずはこんなところかしら・・・

 他になにか聞きたいことがあったらいつでも聞いてね」


「ありがとうございます」


「あっそうだ、アンタたちが住んで居たっていう神殿については、

 私の方でも何か情報がないか調べておくわね

 さぁ・・・今日はもう疲れたでしょう・・・もう一度、寝たほうがいいかもね」

「そうさせてもらいます・・・いろいろとありがとうございます」


ベアラスさんに促されるままに私は、アスに抱き着かれたまま再び眠ることにしました

ふむ・・・前にもこんなことあったような・・・



私たちの体調は五日ほどかかってようやく良くなりました

その間、アスは知らないところにきてしまった不安があるのか、私の傍を離れようとすることはありませんでした

そして、翌六日目


「体調の方はもう問題はないわね

 さてと、神殿のことだけど、何の情報も得られなかったわ、

 ごめんなさい」

「こちらこそ、いろいろ面倒をおかけしてすいません」

「それで、これからのことなんだけど・・・

 もしよかったら私の知り合いのところで働いてみない?

 国民互助支援組織 通称「ギルド」のアルステイム支部ってとこなんだけどね

 丁度、人手がたりなくて職員を募集していたところなのよ

 そこなら住み込みで働けるし、情報もいろいろと集めやすいと思うし、

 どうかな・・・」


ベアラスさんは問診のあと、私に新しい定住先を紹介してくれました


(病気でもないのにいつまでもお世話になるのはなんとなく心苦しいし

 神殿についての情報が少しでも得られるんなら良いかな・・・

 あとはアスの気持ちを確認をして・・・)


「アスはどうする、私はいいと思うけど・・・」

「お姉ちゃんと一緒なら何処にだって行くよ」

「うれしいこと言ってくれるわ・・・」


そういいながら、アスを抱きよせ、頬をスリスリしました


「よろしくお願いします」


そうベアラスさんに返事をしたのでした

ありがとうございました

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