85.探索⑤
「あ、でもちょっと待って、今の状況ってようするに、そのセルバってやつが見つからないっていう状況なんだよね?」
「そうなるな」
カザヤの言葉にレクスルがうなずく。
「あ、そうだ。『万能感知』の地図を使って調べれば」
カザヤがフーヤを見る。
「試したけど、この森に居るみたいな感じで具体的な場所は出てこなかった。『万能感知』が壊れたのかと思った」
フーヤがそう言いながらため息をつく。
「・・・・・・もしかして、だからこんな効率悪そうな方法で探してたってこと?」
「そうじゃないなら、こんな探険話乗らない」
「・・・・・・なんか釈然としないというかなんというか、もうちょっと早めに教えておいて欲しかったような、とりあえずセルバ探し続行ということでいいの?」
「嗚呼」
フーヤがうなずく。
なお、フーヤとカザヤが話をしている間、レクスルは一心不乱に白い塊を撫で続けている。
「あ、そうだ。フーヤに任せっきりで今何処に居るか分からないし、俺も地図出していい?ええと、『解放』っと」
カザヤは自身の『万能感知』の地図を出す。
「ええと、今居るのがここで、セルバは何処に居るのかっていうと・・・・・・もう少し右の方?」
カザヤの言葉に、フーヤはカザヤの『万能感知』の地図を覗き込む。
「・・・『解放』」
フーヤが自身の『万能感知』の地図を出す。
「嗚呼、なるほど。精度が違うのか」
レクスルが白い塊を揉みしだきながら、フーヤとカザヤの地図を見比べてつぶやく。
フーヤの地図では、セルバで絞り込むと森全体が表示されるのに対して、カザヤの地図は森の西部分が表示されていた。
西部分自体もそれなりに面積が広いが、フーヤの森全体よりは格段に面積が絞られる。
なにより、最初からこれが判明していればここまで無駄に探し回ることもなかった。
「これからは調べ物ある時はカザヤを使い倒すということで」
フーヤが地図を『封印』しながら告げると、カザヤの顔が引きつる。
「フーヤ、何か怖いからその表現辞めて」
カザヤも地図を『封印』しようとして、ピタリと止まる。
「そういえば、フーヤ地図見てなかったけど、適当に探してた?」
「真逆、地図は頭の中に入ってたから。虱潰しに探していた」
「・・・・・・普通はできないことをそんないとも簡単に」
「まあ、フーヤだからな」
「レクスルさん、そういう風に思考停止するの辞めたほうがいいと思う、本当に」
「行こう」
フーヤは行き先の進路を西へ変更した。
◇ ◇ ◇
「・・・・・・一応、カザヤの地図で反応した範囲に来たけど」
フーヤが立ち止まる。
「え、そうなんだ。周囲の光景に変化があんまりなくて全く分からなかった」
カザヤが周囲をキョロキョロと見る。
「でも、セルバってやつ居ないね」
「地図を見た感じだと、範囲が広かったからな。そう簡単には見つからないだろう」
レクスルがそう言うと同時に、レクスルの腕に抱かれていた白い塊がフーヤの肩に乗る。
「キュ」
「・・・・・・重い」
フーヤが露骨に顔をしかめる。
しかし、レクスルとカザヤの目があるため先程のように倒そうとしたり、肩から振り落とそうとする真似はしない。
白い塊は、耳をひくつかせながらフーヤの首に尻尾をまとわりつかせる。
「フーヤが、気に入られているのか・・・」
レクスルがぼそりとつぶやく。
「そういえば、この子、名前とかないと不便だし、名前つけようよ」
カザヤの提案にフーヤとレクスルが目を見合わせる。
「既に、ルーン=ルナティック様から賜った名前がある可能性が高いと思うのだが」
レクスルがそう言いながら、白い塊に目を向ける。
「・・・・・・シロ」
「フーヤ、ちょっと適当すぎない?もうちょっと考えたりとか」
白い塊、改めシロは名前が気に入ったのか、カザヤの文句をものともせず頭をフーヤにすりつける。
フーヤは何も言わず、動こうともしなかったが、目は明らかに不服を訴えていた。
「気に入ったみたいだし、ひとまずシロでいいか、レクスルもいい?」
カザヤがレクスルを見ると、レクスルはゆっくりうなずく。
「嗚呼、フーヤに懐いているのが釈然としないが、とりあえずルーン=ルナティック様にお会いするまではその名前で呼ぼう。くれぐれも丁重に扱うんだぞ、フーヤ」
「・・・・・・名指し」
「それは仕方がないんじゃない?フーヤ、前科あるし」
「・・・・・・前科」
「カザヤ、やり返すためとはいえ、フーヤを刺激するのは辞めた方がいい」
「え、別にいいじゃん」
「前にフーヤを散々馬鹿にした奴が居るんだが、行方不明の後、腕を失って記憶喪失で発見されたことがある」
「え、ガチの前科じゃん」
「・・・・・・大丈夫、カザヤの言葉はそよ風みたいなものだから」
「そっか、ならいいや・・・とはならないんだよな」




