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84.探索④


「ちなみになんですが、フーヤさん。これどこまで歩く気なんでしょうか?」


「・・・・・・」


「あの、さっきのこの子見つけてから、何も話さないの辞めてもらっていいでしょうか」


「・・・・・・」


「何か喋ろうよ」


「うるさい」


 フーヤが後ろを向く。

 フーヤたちは、フーヤを先頭にカザヤ、レクスルという順に並んで再び森の探索へと繰り出していた。

 しかし、何の発見もなく、景色の変化もほぼないというそんな中、ただひたすらに歩き続けて数刻ほど。

 カザヤが痺れを切らすのも無理はない。

 なお、カザヤの後ろを歩くレクスルはカザヤから受け取った白い塊を抱きしめていてご機嫌であり、時折撫でていることからも相当気に入った様子である。


「まあ、そもそもそんなに辺鄙な地というわけじゃないし、こんなものだろうとは思ってた。予想以上に開けた場所も見つからないけど」


「・・・・・・なんか、謎の洞窟がとか未知の植物がとか想像してたんだけど」


「・・・洞窟は『万能感知』の地図で分かるし、未知の植物なんてそうそうないし、仮にあったとしてもこの世界の植物をろくに知らないカザヤが見つけられるとは到底思えないんだけど」


「それはそうなんだけど、なんというか」


 カザヤの声が徐々に小さくなるのを見届けるとフーヤは再び前を向いて歩き出す。

 カザヤも無言で歩き出し、レクスルは撫でるのに夢中になりながらもついていく。


「・・・・・・それで、話の続きなんだけど」


「何の話?」


 フーヤの言う話に心当たりがなかったカザヤが首をかしげる。

 なお、レクスルは話が聞こえているのかいないのかフーヤたちについて歩きつつも白い塊を撫で続けて話に反応する様子を見せない。


「村の様子がおかしいって話」


「あ、何か人が少ないって話だったっけ?」


 カザヤがそう言うのとほぼ同時にレクスルが顔をあげる。


「フーヤ、言っておくがこの子は無関係だと思うぞ」


 フーヤは、米神に手をやりつつも足を止め、レクスルを見つめる。


「・・・・・・怪しいとは思うけど、根拠は?」


「ルーン=ルナティック様の使いなのだとしたら、変なことをするはずがない」


「そんなことはないと思うし、まだヲタ女神関連って決まったわけじゃないけど、まあ、とりあえず一旦除外して考えよう。レクスル、どうしてだと思う」


 レクスルは白い塊を撫でながら答える。


「まず、村の規模を見るに百人もいかない、精々五十人前後くらいだと思う。それで、人を見かけない理由として若者は街へと出ていったという理由も考えられるが、それではおばあちゃん以外に見かけない理由にはならない」


「それで?」


 フーヤが先を促す。

 カザヤが二人を交互に見ながら、張り詰めた空気の中でゴクリと喉を鳴らす。


「おばあちゃんの様子に何か怯えた様子は見られなかった。だが、村の様子がおかしいことには違いない。それで、村に薄く霧が常にたちこめていることを踏まえて考えると、セルバの仕業だと思う」


「何それ?」


 カザヤが首をかしげる。


「この世界の魔物は、大体が本能のまま突っ込んでくるというか、狩りの対象として人間を見てるんだけど、中には特殊な手段を用いて人間を害する魔物もいる。そういった魔物は要注意として魔法学校とかでは、念入りに教えられたりするのだけど、逆に普通の人たちには直接攻撃してくる魔物ばかり目立って、存在自体をあまり知らないことの方が多い。セルバもそういった魔物」


 フーヤの説明にカザヤは首をかしげながらうなずく。


「それで、その魔物はどういうやつなの?」


「人を己の空間、つまり縄張りに誘いこむ。その上で生かしながらじわりじわりと生命力を吸う。それで、一番の特徴が閉鎖的な村に狙いを定めてその村を霧で覆う。霧の影響で人々は連れ去られた人を認知できなくなる」


「・・・・・・それって、かなり不味いやつなんじゃ」


 カザヤの顔が分かりやすく青ざめる。

 フーヤとレクスルも真剣な顔つきで視線を交わす。


「それで、連れ去られた人々はセルバの空間に囚われているわけなんだけど、その空間は森の中の開けた場所というのが相場が決まってる」


「ええと、フーヤさん。その、セルバってやつが居る可能性っていつから気付いていたんですかね?」


 カザヤの問いかけに、フーヤは少し考え込んでから答える。


「・・・・・・村についた時から」


「早くない?」


「霧なんて本当にあるかどうか分からないくらいだったし、確証は全くなかったから黙ってた。それに、海辺の霧なんてよくある話だし」


「・・・・・・ちなみに、レクスルはいつ気付いたの?」


「今、フーヤに指摘されて考えてそうではないかと思い至った。フーヤがわざわざ指摘するなんて余程だからな。ひとつひとつ可能性を考えていって残ったのが、セルバ」


「なるほど、なるほど、とりあえず、そのセルバを探し出せばいいのか、ようやく探険っぽくなってきた」


 カザヤが目を輝かせる。

 そんなカザヤにフーヤがため息をつく。


「・・・カザヤ、不謹慎」


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