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83.探索③


「見たことない生き物だったし、これで正解」


「いやいやいやいや、だからといってこんなすぐに燃やすか?かわいそうじゃん」


 平然としているフーヤに掴みかからんとするカザヤ。

 レクスルは、燃えている白い塊を見つめている。


「フーヤ、この生き物もしかして・・・・・・」


 レクスルがそう言って、フーヤを見る。それと、ほとんど同時に、その生き物のまとう炎が消える。

 なお、生き物は焼き尽くされることなく、何事もなかったかのようにこちらに一歩踏み出す。


「なるほど」


 フーヤはそう言うや否や風の刃を放つ。しかし、首に直撃したものの、傷ひとつない。


「・・・・・・」


 土塊に閉じ込めるも、あっという間に脱出される。

 追撃と言わんばかりに上から押し潰すように落とされた岩も、下敷きになったのに何事もなかったかのように這い出された。


「最終手段」


 水球に閉じ込められた白い塊は気持ち良さそうに水球の中でいびきをかいて寝ているように見える。


「これ、起きたら出てくるんじゃない?」


「そうだな」


 カザヤとレクスルが水球を覗き込む。


「魔物ではなさそうだけど、知らない生き物で、攻撃に凄まじい耐性があり、呼吸しなくても生きていける・・・・・・」


 フーヤは空を見上げる。

 木々の隙間から見えるのは憎らしいくらいに澄み切った青空。


「ヲタ女神に会ったら文句を言うしかないな」


「ルーン=ルナティック様の使いなのだとしたら、それこそ丁重にするべきだろう。フーヤ、解放してくれ」


 レクスルの真剣な眼差しを避けるようにフーヤはカザヤに目を向ける。


「やっぱり、かわいそうだし。解放するべきだと思う。いや、待って、気持ち良さそうに寝てるみたいだから起きてからでもいいと思う」


「つまり、ここにはこの生き物を焼き尽くすべきだと思う僕の味方は居ないのか」


 フーヤが愕然とする。

 最も、表情は一切変わっていない。


「そりゃ、なんというか、かわいそうだし」


 カザヤが、白い塊を見つめながら言う。


「まあ、危険を避けるためと考えればフーヤの行動自体は間違えてはいないんだが、今回はルーン=ルナティック様の使いの可能性が高い。保護するべきだ」


「いや、それが嫌なんだけど・・・・・・分かった」


 フーヤはレクスルの冷たい瞳を見て、ふてくされつつも承諾する。

 フーヤはゆっくりと魔法を解く。

 カザヤが落ちてきた白い塊を受け止める。

 白い塊は起きることもなく、すやすやと寝ている。


「これって、狐かな?」


「この世界に狐も狐に似た生き物も居ない」


 カザヤの疑問に即答する勢いでそう答えるフーヤ。


「つまり、これはルーン=ルナティック様の使いにしてこの世界に存在しない存在ということか」


 レクスルが目を輝かせる。


「カザヤ、レクスル。世話頼んだ」


 フーヤはそう告げて前に進もうとする。


「もしかして、世話から逃げるつもりだったりする?」


「当然、関わりたくない」


 カザヤの問いかけにフーヤがきっぱりと答えると、カザヤは苦いものを食べたような表情になる。


「ここまで来ると、なんというか・・・・・・というか、何をそこまで女神様を嫌ってるのさ」


「ルーン=ルナティック様が嫌いというよりも、どちらかと言うと面倒事に巻き込まれそうなのが嫌なだけだろう。ルーン=ルナティック様とフーヤはそれなりに気も合うようだからな」


「えっ、そうなの!?」


 カザヤの大きい声にフーヤは耳を塞ぎ、レクスルも少し距離をとる。


「レクスル、根拠のないことをカザヤに吹き込むな」


 フーヤがレクスルを睨むように見るとレクスルは見つめ返す。


「恐らく、前世の話題だとは思うが俺には分からない話題を話し込んでいただろう。仕方がないことだとは思うが、羨ましいことだと思っていた」


「へえ、それでフーヤ。女神様と話ししてた話って何?」


 カザヤの純粋な疑問にフーヤはため息をついて答える。


「・・・・・・この前はメイド服のスカートの丈はどれくらいがいいかについて話してた。カザヤは当然、丈は短い方がいいよな?」


「ええと、エプロンドレス派」


「第三勢力」


「まあ、エプロンドレスがマイナーなのは知ってる。でも、これだけは譲れない。大体、一般的に言われているメイド服はお客様を迎えたりする時用で、普段着はエプロンドレスだったことを知らない人が多すぎる。実用的かつかわいい。エプロンドレスこそが最強」


「ちなみに、エプロンドレスをなしとすると?」


「クラシカルな長めの丈」


「・・・・・・何故こうも人は分かり合えないのか」


「・・・人、だから?」


「フーヤ、カザヤ、何の話かよく分からなかったのだが、つまりどういう話なんだ?」


 話が一段落ついたと判断したレクスルが二人の話に割って入る。


「「なんでもない」」


 二人の言葉が綺麗にハモった。


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